演劇は役者だけで成り立つものはないのですが~演劇人あるある~
演劇人あるあるの第2弾です。1回目同様に、言われたときに実は演劇人が内心モヤっとした気持ちになるワードを、その理由とともに書いていきます。顰蹙も多そうな気もしてきましたが、取り急ぎどんどん行っちゃおうかと。
今回は、「演劇やってます」に対する「次いつ出るんですか?」です。
一般人(引き続き演劇人に対しての便宜的表記ととらえてくださいね。)の人に「演劇やってます」というと、「舞台で劇されるんですか?どんな役なんですか?」と聞かれます。
ちょっと詳しい人で「役者さんなんですか!?次いつ出られるんですか!?」です。
あと意外に多いのが「木の役とかですか(笑)」です。
木の役どれだけ難しいと思ってんだこの野郎、わざわざセットで済むものを役者にやらせてるってことは、そこに対する意図があるってことだぞ、木としての芝居求められてるんだぞ、想像力の限りを尽くして木として芝居に参加しろって言われてんだぞ、めっちゃむずいぞ!!!
というような意見はあるはあるとして、本稿の意図とはずれるので置いておくとして。
モヤっとするのは、演劇人=役者という認識です。
「役者じゃないです」というと「あ、裏方さんなんですね。(いつか出られるようになるといいですね)」とか、「なんで出もしないのにやってんですか?」とか言われます。
モヤっ。
演劇における主役は、もちろんどこまでも役者です。役者が自分の肉体を使って表現し、それを楽しんでもらう芸術です。ですが、演劇における「表方」は役者だけじゃないんですよ。
そして「裏方」もけして表方の下位にいるわけではありません。参加者全員が自分たちの技術と表現を用いて完成させるのが舞台芸術であり、演劇なのです。
さて、参考までに舞台にかかわる役者以外のメンバーを紹介させて頂こうと思います。目の前に演劇人が現れたら、「何をやってるんですか」と聞いて、答えに対してなるほどね、と言ってあげれば、演劇人の好感度激アップです。
まずは表方。
最初に演出家さん。
イメージとして映画監督を考えてもらえればいいです。英語でいうとディレクター。作品全体の「創造面」の責任者です。お芝居が面白くなければこの人が詰められます。ですので、役者も各スタッフもこのひとの作りたいものに協力します。
そして、制作さん。
企画制作の責任者です。公演をどう売るかの作戦を立てて実行に移す人。収益、集客を睨みながらの予算分配も制作の仕事。英語でいうとプロヂューサーです。当日の受付や接客も制作ですね。ちなみに制作の範囲、後で出てくる舞台監督の範囲は流動的なので、実務の割り振りは団体によって結構違うみたい。
そして脚本家です。
吉田の本業は一応ここです。舞台に乗せる脚本を書く人ですね。演出家と2人3脚でお芝居を作ります。
以上が表方。次は裏方です。
照明さん、音響さん、美術さん、衣装さんetc
一気に行きましたが、各プランナーです。それぞれの分野において、公演に合わせてデザインを考え、製作し、舞台に乗せます。自分たちの作品を板の上に乗せる喜びとプライドがプランナーにはあるのです。
そして舞台監督さん。
監督という言葉から映画監督と同じイメージを持たれるかもですが、こちらの舞台監督の仕事は、上記の各スタッフの進行管理と統括です。当日までのスケジュール管理を行い、当日になれば、舞台の最高責任者になり、事故が起こらないように無事に本番を迎えられるように、そして終えられるように当日スケジュールを進行します。英語でいうとステージマネージャーになります。
ここまで上げたのはチーフと呼ばれる責任者だけですが、その下に「サブ」または助手と呼ばれる人間が配置されます。それらの人間が機能的に動いて初めて演劇が成り立つのです。
さて、長くなりましたね。もちろん演劇人には「チケットを売る」というノルマが課されていますし、役者じゃないと売りにくいのが現状です。
でも、これだけ多くの人が携わってできる総合芸術。いっぺんのぞいてみてください。ちっちゃい小屋でもやってますから。