「匂いが命を決める」という本をタイトルに惹かれて読みました。個人的に気になった文章を引用していくつか紹介します。
ヒトだけではなく、犬や鳥、昆虫、魚といった生物の嗅覚の様々な事例がたくさん紹介されています。特に私は12章の植物は匂いがわかるのか?に関心を持ちました。
また、この本ではEノーズという言葉が取り上げられています。Eノーズとは人の嗅覚に近いセンサーシステムのことです。ネットでも検索すると分かり易くまとめられていました。
市場シェアをみても、今後さらに成長する可能性のある分野であるそうです。
<Eノーズの市場>
・飲食産業(品質管理)
・農林業(品質管理、害虫・農薬の検知)
・医療(がんや感染症の診断)
・屋内外の環境監視 など
しかしそんなEノーズにも課題があります。
AIと組み合わせることによる将来性についても記載されていました。
五感の中では視覚や聴覚が何かと話題になることが多いですが、嗅覚も結構大事だと思いました。駅前のパン屋の美味しそうな香りにつられて、買うつもりがなかったのについクロワッサンを購入してしまったことがありますし、匂いが人の行動操作に利用されるのも納得です。これは実体験かつ余談ですが、ファスティングを3日間ほどした時、その間は嗅覚がかなり敏感になりました。
五感のうち嗅覚による刺激は、他の感覚とは異なり、視床を経由しないで感情や本能を司る大脳辺縁系に直接送られるため、嗅覚は原始的や本能的な感覚と言われることがありますね。Eノーズが疾病の診断やセキュリティーシステムなどで役立つのは良いことかもしれません。しかし、今後さらに技術が向上して、ヒトと似たような高度な機能を持ち合わせるくらいにEノーズが到達した際、何かに悪用されることもあるのではないかと私は少し心配にもなりました。まだ匂いをデジタルで転送する方法が無いため、当分先の未来の話であるとは思いますが…
生物が生きていくうえで嗅覚はなくてはならない感覚であるとより考えさせられる一冊となりました。