人生一訴えた日
わたくし、保育園年長くらいの時に熊を見たのです!
その頃わたくしはじーちゃんのおうちに住んでいて、
じーちゃんちは山の奥にありましたから
そりゃあ、マムシだたぬきだテンだなんだは慣れっこでした。
その日、わたくしはいつも通り一人でプリキュアごっこをしようと玄関から飛び出し、山奥へ続く一本道を横断して川辺へ行こうと思ったのです。
ただただ、わたくしだって赤子の頃から山育ちだったせいか非常に勘が働くのです!
なんか、悪い気がするぞ、右側になにか、、、、
と山奥へ続く一本道を見ますと
熊がのしのしとこちらへ歩いてくるじゃありませんか!!
で、でた!!!!!熊ッ!!!!!!!
私はすぐさま急ぎながらも音を立てないように家に戻り、半狂乱でじーちゃんに状況説明を致します。
「じーちゃん!!!!!!熊!!!!もうすぐそこにいる!!!!!!この家はもうダメだ!!!逃げなきゃ!!!!!!!!!」
もうこちらは必死。身振り手振りは既にアメリカ人以上、狂ったかのように唾を吐き散らしながらじーちゃんに訴えます。
しかし流石はわたくしのおじいさま。様々な死地を潜り抜けておりますから熊なんか物ともせず呑気なもので、
「なぁ~に、熊がきたらじーちゃんが鉄砲でこうよ」
と得意げに鉄砲を構える仕草をしてワハハと笑ってるじゃありませんか。(じーちゃんは猟師なのです)
もうまったく状況をわかってない!!
この男はダメだ!!!!!
キーッッ!!となりながら、わたくしは愛想をつかしせめてもの熊への抵抗で2階へ上がり、「もうこのままじゃ1階は壊滅だ、私も食べられるんだ」としくしく三角座りで涙を流し母の帰りを待つのでした。
結局熊はうちには来ず、熊の住処へ帰ったため、わたくしは今もこうしてぬくぬくと生きております。
その数年後じーちゃんは2度ほど山で熊と対峙致しますが、どちらも何もせず熊と語らうという形で追い払うお話はまた今度。
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