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わたしよりも彼と長い付き合いである友人に、
彼を偲ぶ会のビジュアルデザインをお願いした。

大いに宣伝する性質のイベントでもないので
完全に自己満足でしかない依頼なのに、
たおやかでポップでほんの少ししっとりした、
すてきなビジュアルを作ってもらえた。

何かがほどけて、繋がる。
やわらかな螺旋をえがいて昇っていく。
何かを言う前から、イメージが共通しているようで嬉しかった。
ほんとうにありがとうございます、obakenokuni

会の詳細はこちら
https://note.com/5milli/n/n16211b9d4068?sub_rt=share_pb

最初にいただいた何案かのなかには、
彼の象徴である「マイク」、彼に捧げる「花」が描かれたものもあった。

でもあえてそれらを省いてもらったのは、
彼の声はもうマイクがなくても世界に届くのだし、
花は彼のために捧げられる表現それ自体なのだと思うから。

パフォーマンス、アート、歌、声、それと祈り。

でも、わたしは彼のために捧げる花を持っていない。

わたしには歌もないし、絵も描けない。
立派なお墓はもうあるし、お香やお経には困らなさそうだし、
それに無数の盃が、これからも彼のために掲げられるだろう。

じゃあ、わたしにはなにができる?

彼と出会ってからずっと、
彼のためにわたしはなにができるだろう?
ということは考えてきた。

何か特別な才能で惹かれあったわけではない。
たまたま「話が合い」「ウマが合い」「波長が合った」
ただそれだけ。

総括するとできたのは「そばにいるだけ」だったし、
たぶんそれ以上を求められてはいなかっただろう。
それ自体、ちょっぴり艱難辛苦だったし。

なんとなくずっと、いまも、心にあるのは、
ソラネコというバンドの「歩く人」という歌。
おそらくもう、ネット上でもどこにも残っていない大好きな歌。

あなたは前を見て歩く人
あなたは前を向いて歩いているので
ぼくはちょっと後ろから様子をうかがいながら歩く人
だけどときどき道の端に小さな花が咲いてたら
あなたを追い越して花の名前を教えてあげたいな

ソラネコ「歩く人」

わたしは彼のために捧げる花を持っていない。

ただ、
わたしは彼のために、花を集める人であれたらいいと思う。


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