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とりあえず「音楽」を聴いて欲しい〈11月 毎日投稿〉
FoZZtoneの「音楽」。曲のタイトルとしてストレートなことこの上ない。
「FoZZtoneのおすすめの曲教えて」と言われて「まずは『音楽』を聴いて欲しいです」と答え、相手に「は?急に話通じなくなったんか?」という顔をされたことは、一度ではありません。
でもそんなめんどくささも気にならないくらい、自信を持っておすすめしたい曲。FoZZtoneは2002年に結成された日本のロックバンド。2015年に活動休止していて、私が最も活動再開を心待ちにしているバンドの1つです。
鳴っている音の全てから「わけ分かんないくらい音楽が好きだぜー!!」という気持ちが伝わってくる。それも、いろいろな角度から、いろいろな色、温度で。彼らがこの曲にこめた音楽への愛に共感するとともに、それを作品として表現するミュージシャンとしての姿勢や才能を、めちゃくちゃリスペクトしています。
バンドに出会ったのは2009年、当時私は中学3年生でした。ラジオでこの「音楽」を聴いて、衝撃に頭をガツンと殴られたような感覚になりました。
私にとって音楽は、物心付く前からの友達でした。母に聞いた話によれば、まだ言葉もしゃべれないうちから、お店でかかっているBGMに合わせて体でリズムを取っていたそう。
自分から言い出してピアノのお稽古に通い、小学校の合唱では誰よりも大きな声で歌い。中学生になって当然のように吹奏楽部に入部。学校の行き帰りも家に帰ってからも、暇さえあればイヤホンで音楽を聴いていました。音楽は年中一緒に遊んでくれて、ときには誰にも言えない本音を分かち合える友達。
でも途中から「あれ、なんか変だな」と思い始めます。音楽を好きなのは私だけではないらしい。私よりももっと上手に歌ったり、楽器を演奏したり、音楽についてたくさんのことを知っている人がいる。
私は音楽のことを誰よりも大好きだと思っていたけれど、音楽ともっと仲良くしている人が、この世にはいるらしい。ということは、音楽は私のことを一番好きではないの?
音楽は私とだけ友達なわけではなく、世界中の人たちと友達で、世界中を魅了する大天才だということを知りました。だって、こんなに素直で正直で優しくて、視野が広くて物知りで面白いんだから、そりゃあみんな音楽のこと好きになっちゃうのは当たり前だ。
世界中に愛されるカリスマとなってもなお、私のしょうもない愚痴や悩みにいつまでも付き合ってくれて、一緒に乗り越えようとしてくれました。音楽は小さい頃と何一つ変わらず、誰にも言えない本音を誰よりも理解してくれる、私だけの最高な友達です。それがなおさら嫉妬心を加速させるというか、不思議でたまらないというか。
当時の私が抱えていたそんな違和感を吹っ飛ばしてくれたのがこの、FoZZtoneの「音楽」でした。
音楽は、他の誰でもない私のためものであって、私だけのものではない。だからこそ、同じように音楽を愛する人と仲良くなることも、できるのかもしれない。
「音楽」が収録されている「The Sound of Music」というアルバム。こちらもまたド直球なタイトルです。彼らの音楽への愛が、さらに濃密で奥行きを持って感じられるので、せっかく聴くならアルバム通して聴くのが個人的にはおすすめです。
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