2020年5月19日(火)

2回目のテレワークであった。言い切ったものの特に何も起きない日だった。スカイプ通話も初めてする機会があったが、普通の電話と同じ感覚で話せた。テレワークに対してより好感度が上がったりした。

きっぱりと完結したと聞きつけ、このタイミングだとばかりに電子書籍で『鬼滅の刃』既刊分20巻を購入して一気に読んだ。面白いと感じたのは、描かれる感情の種類と質だろうか。主人公の炭治郎を初め、多くのキャラクターの動機に「優しさ」と「怒り」が入り混じっていることだ。少年漫画において「怒り」というのは、刃を曇らせるとか、それに囚われれば道を踏み外してしまうものというか、否定的なものとして描かれることが多かったように思うのだけれど、この作品のキャラクターたちはしっかりと激烈に怒って鬼と対峙する。そして、その「怒り」は悲しみや優しさを孕んだ多面的で重苦しいものだ。血しぶきのような直接的な描写だけでなく、内面の描写もグロテスクだと感じた。鬼を元人間として内面を掘り下げるエピソードは感極まるポイントでもあるのだが、一歩引いてみると、こんなに酷い話を少年漫画が扱っているのかという驚きもある。上弦の陸の兄妹の生い立ちなんかは本当に救いがなくて、辛く切なかった。鬼滅の刃を評する時に、内面の心情をほどんど台詞やモノローグで喋ってしまっていて説明的すぎるというものを目にしりした。ただ通して読んでみた時に、少年漫画のフォーマットの中で、あの重苦しい感情を他のどんな方法で描けたのか、自分には思いつかない。それに畳み掛けるような感情の発露は、意外とキャラクターのアイコンタクトから始まったりしていて、言葉はあくまでブースターとしての役割でしかないという面もある。
もう一つ感じたのは、この作品は「兄妹」を描くことがメインテーマのひとつに間違いないということ。炭治郎が鬼になった禰豆子を人間に戻そうとする、という物語の大きな幹があるのはもちろんだが、他のキャラクターたちは兄妹の関係に葛藤している。煉獄兄弟、時透無一郎と双子の兄、不死川兄弟、上弦の陸の兄妹、善逸と兄弟子、胡蝶三姉妹、上弦の壱・黒死牟と縁壱と挙げればキリがない。炭治郎と禰豆子が純粋な想いで繋がっているように描かれてるのに対し、多くの兄妹関係はもつれ絡まり複雑だ。だが、それが炭治郎と禰豆子の関係性を改めて浮き彫りにさせる。
実は連載の最後の方だけ読んでしまっているのだが、間のエピソードがどう繋がるのかという楽しみがあるので、続刊の発売を心待ちにしている。電子書籍も初めて手を出したものだったんだけど、まるで違和感なかった。2ページ見開きシーンとかは、むしろ綺麗で迫力あってよいと思った。

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