触れたもの(2024前半)【映画・音楽】
2024年の上半期に触れたもの。映画と音楽に絞って。
1月に『哀れなるものたち』を観た。フェミニズムの文脈に明るくないため、文化人類学的な色をおぼえた映画だった。エンターテイメントとして楽しめた作品。
2月、映画館で『紅の豚』を観た。大学に入ってからジブリで1番好きな作品はこれだと感じるようになった。それはいったい何故だろう?なにが、この映画をこんなにも恰好良くさせているのだろうか?
『PERFECT DAYS』も観た。なんだかおちょくられている気分になってしまった。出演している役者さんたちは割と好きな方が多かったのだが、例のキスシーンが特に違和感。そうはならないだろう。
同じ日に『枯れ葉』を観た。『PERFECT DAYS』と同じ日に観て良かったと思う。割と似た雰囲気も醸しつつ、清貧のアプローチが違っていて嬉しかった。
この月はNo Busesの単独ライブに行った。以前、君島大空さんとラブサマちゃんとNo Busesの対バンに出向いたことがあったのだが、それぶりに旧メンバーの市川さん(ドラム)が登場しており、胸が熱くなった。
3月は就職活動をしつつ、友人たちとたくさん旅行に出かけていた。その合間に自宅で『ドライブ・マイ・カー』を観た。多分もう8回は観た。
4月は『オッペンハイマー』を観た。内容はやや歴史的な知識の不足からかわたしには難しいものだった。ただ劇中のあるシーンがとてつもなく美しくて、今でも鮮明に思い出せる。恐ろしいものを美しく描くことは映画の必要条件ではないけど、それでもそういう映画がわたしは好きだ。と思った。
そうそう、『悪は存在しない』を試写会で観た。あまりの衝撃に、このあと映画館に2回行くことになった。タイトルと予告だけの情報しか入っていないときは人間vs人間の善悪を巡る構図の映画かと勘繰ったし、そうだとしたら嫌だなと思った。陳腐じゃないか、そんなの。映画が始まり、しばらくすると人間vs自然の構図か?と思った。最終的にそれすらも違った(と個人的に解釈した)ものだから、もうびっくり。試写会でもフレーズとして出てきたある種「寓話的な」作品。正直ぶっちぎり2024マイベスト。
この月はペトロールズのライブに出向いた。
仙台GIGSで素晴らしい音楽を浴びたあと、近場の居酒屋で1人で飲んでいたら、後から入ってきたお客さんがわたしの大学のOBで仰天した。わたしの大学は決してメジャーではないし、ましてや仙台で、しかも同じライブに行った帰りに同じ居酒屋(ライブハウスから20分は歩く店)でばったり会うとは。驚いた。
ペトロールズのライブには5月にも行った。追加公演だったため、セットリストがツアー時と異なり、高揚した。
ペトロールズのライブと同じ週に、高松で行われたTempalayのライブに行った。綾斗さんのお母様、お祖父様お祖母様がいらっしゃったようで、いつもよりアットホームなライブだった。アンコールにも応えていて、正直なところ珍しいと感じた。同月にリリースされたアルバム収録曲の「NEHAN」は「ああ迷路」を彷彿とさせるテンポとサビの気持ちよさが本当にたまらない。「意味すらもう死んだわ」という歌詞も含みがあって好ましい。生で聴けて、身体の内面から嬉々とした。
5月はリバイバル上映されていた『偶然と想像』を観た。濱口竜介監督による短編集。なんて極上な映画!そう、映画を観ている!といった感覚にずっと浸らせてくれる作品だった。6月に別の映画館でも上映されていたから、計3回観た。わたしは第一話がお気に入り。「好きな人を傷つけることしかできない。人の好きは人を幸せにしてなんぼでしょうが。」という言葉がたまらない。
リバイバルといえば、『ピクニックatハンギング・ロック』も観た。いやらしくない妖艶さに完全にやられた。
6月は『関心領域』を観た。直接的な悲惨な描写はないのに、ずっと怖い。これはホラー映画と称しても構わないだろう、見えない恐怖の描き方はある種日本ホラーと似ているのかも?と思ったがいやいやこれはホラーなんかではなく実際戦時中に起こり得た出来事をモデルにしている作品だぞ、と思い至りまた恐怖。最後のエンディングだけ違和感があった。ただ、全編通して流れる不協和音を加味すれば、あのエンディングの違和感もある種の演出なのかもしれない。
映画と音楽に絞った2024年前半の振り返りは以上である。たのしい半年間だった。
現時点でも2024年後半にはたのしみなものが多く待ち構えている。映画だと『ルックバック』『めくらやなぎと眠る女』の上映が待ち遠しい。音楽だとまたもペトロールズのツアーとTempalayのライブのチケットがある。こんなにも日常を生きる糧がすでに存在している。本当に嬉しいことだ。
映画、音楽関係者の皆さん。いつもありがとうございます。