初回訪問の事前準備 Part1
以前に宣言してた「初回訪問の事前準備や仮説の立て方」について、自分の思考の整理のためにnoteを書いてみました。
そして書いてみたらとてつもなく長くなったので、こちらは3部作のPart1ということで区切って記載します。
時短事前準備
「いきなり時短とかサボってんじゃねぇ」と言われそうですが、これは担当する企業規模や担当社数によって、事前準備にかけられる時間が大きく変わってくるからです。
自分が担当する企業数によって、1つの初回訪問にどのくらいの時間を割り当てられるのかが決まってきます。担当企業が3社しかないエンタープライズ営業の場合は死ぬほど時間をかけるべきですし、かけられると思います。その時には色んなフレームワークとか、アカウントプランとか作りまくればいいです。
ただ担当企業リストが50社(既存、新規含む)を超えてくるあたりから、1社にかけられる時間がとてつもなく少なくなります。
The model体制でインサイドセールスがアポイントを入れてくれるような組織の場合、フィールドセールスは更に調べる時間が少ないケースがあります。私も最初のころは全く調べる時間が取れず、移動中の10分で死に物狂いで調べるとか極めて無計画な営業でした。
また事前準備をしっかりやろうとすると、1時間なんてあっという間に過ぎてしまいます。皆さんも経験あると思いますが、初回訪問行ってみたら「もう全く案件化する気がしねぇ」ってことありますよね。自分の担当企業数が数社だけなら企業分析にかけた1時間はその後も役にたつかもしれませんが、やはり50社を超えてくると「完全に無駄な1時間」になってしまいます。
もちろん、ベストはしげのさんがおっしゃっていた「就職するつもりで調べる」だと思います。
これまでも他の方々が事前準備に関するnoteを記載されていましたが、今回はそんなコッテリ調べる系の事前準備ではなく、如何に限られた時間で事前準備をするのか、について書いています。
3C分析+1C
数あるフレームワークの中で、私が事前準備に使っているのは3C(Company、Customer、Competitor)にChannelを加えた形になります。まぁフレームワークと言ってもそんな仰々しいものではなく、こんな感じの簡単なものです。
営業歴がそれなりにある人でも、事前準備といったらここでいう「顧客」のことのみ調べ、「そのお客様のサービスや製品は誰が使ってんの?」「その会社の競合ってどこ?」という観点が抜けがちです。
ちゃんとこちらのスライドのように書くケースもありますが、割合としては少ないです。あくまで頭の中にこのフレームワークをイメージし、その枠を埋めていくイメージです。最初の方は簡単でOKなので書いてもいいと思います。
そして3Cにプラス1Cとして「Channel」を置いています。「それやったら4Cちゃうんか」と突っ込まれそうですが、4Cと検索するとそれはそれで違ったフレームワークが出てきてしまうのです。
4C分析の定義
・Customer Value(顧客にとっての価値)
・Customer Cost(顧客が費やすお金)
・Convenience(顧客にとっての利便性)
・Communication(顧客とのコミュニケーション)
上記のフレームワークよりも、直感的に分かりやすい3CをベースにChannelを加えています。まぁChannelを加えているのは、私がCRMというカテゴリの営業で、提案できるソリューションがあるというのもあります。
提案する製品サービスの特性に合わせて、Channelは変更したり削除しても良いかもしれません。ただ大概はChannelによって、ビジネス全体の流れが変わってくるので抑えておいた方がいいと思います。とにかく、シンプルなのでこの3C+1Cのフレームワークを使ってます。
Company、お客様の調べ方
この事前調査の仕方も色んな手法があります。ホームページを隅々まで見る、IRで掲載されている中期経営計画を見る、株主向け資料見る、業界紙を漁るなどなど。
けどやはりそれを全てやってると1時間なんてあっという間に過ぎてしまいます。
そこで私が使っているのは四季報です。主要ネット証券口座を作れば、最新の四季報が無償で閲覧可能です。四季報で見ているのは、何よりも企業概要ページにある4行くらいで書かれている文章です。
ここは四季報を作成している東洋経済社のアナリストが魂を込めて凝縮した文章になります。これ以外にもアナリストは色んなことを書きたくなるくらいの膨大な情報を収集しているのですが、あえて4行に凝縮しているのです。
四季報の良いところは客観的な意見なのです。お客様サイトで公開されている株主向けIR資料は基本的には良いことやバラ色の未来が書かれています。まぁ投資して欲しいわけですから。
四季報はそうではなく、良いところも悪いところも書いてくれて、しかもフォーマットが同じなので見る時間も短くてすみます。
後、できればこの行の一つ上の「連結事業」ってところも見てます。これは「この会社ってどんなビジネスがどのくらいの割合なの」ということです。セグメント別売上ですね。ザックリ、このお客さんが何でどのくらい儲けているのかが分かります。
このセグメント別売上も四季報以外の手段で抑えようとすると結構探すのに手間がかかります。書いてある場所がバラバラなのです。
情報量が多いのは上場企業ですが、非上場でも「未上場会社版 四季報」があります。これは無料で見られるサイトを私は知らないので、購入するしかないんじゃないかなと思います。
上場企業の課題特定の時短技
四季報とは別に、もう一つ時短でチェックする項目があります。それはEDINETで有価証券報告書のある項目を見ることです。
株式投資したことあるとか、経理関係の方ならご存知のEDINETというサイトがあります。とっても見た目はイケてないです。
左下の「書類検索」から対象の企業名を検索すると、有価証券報告書とか上場企業が金融庁に提出しないといけない様々なドキュメントが出てきます。まぁそれぞれの会社ホームページにも必ず掲載されているのですが、IRのデザインや配置が微妙に違うので、同じフォーマットのEDINETの方が探しやすいです。
ここから調べたい企業の有価証券報告書をPDFでダウンロードします。そし「対処すべき課題」という欄をみます。PDFでもショートカット(Macならコマンド+F)で「課題」と検索したら該当箇所にジャンプします。
この対処すべき課題という行は必ずあります。フォーマットとして書くことが定められているのです。中期経営計画とかはパワポスライドで綺麗に作られて分かりやすい反面、フォーマットがバラバラなのでどこに何が書かれているのか、全部見てみないと分かりません。
それに対し、有価証券報告書には必ず「課題」が書かれています。そしてフォーマットが同じなので、とてつもなく短時間に課題が特定できます。
ちなみに私は学生の時にこの技に気付き「御社ってこの辺りに課題感ありますよね?」と新卒面接で言ったら「ほー学生なのによく調べましたね」と言われました。あの時はすいません。3分しか調べてません。
既存のお客様の場合
salesforceにいると、既存のお客様の契約内容なんて当たり前のようにCRMに格納されています。ちょっとクリックすればどんな風に提案したのか、その時の担当営業やSEは誰か、提案書はどんなものかなんてのもすぐ分かります。
けど前職までは既存のお客様の契約内容を把握するだけでも大変でした。できる限り、既存のお客様の契約情報とかはCRMに格納し、モバイルとかでも把握できる環境は作っておいて欲しいです。
また作ったところで見るべき項目をダラダラ見てるとすぐに時間が過ぎてしまいます。チェックリストにして抜け漏れなくサッと把握しましょう。
・どんな製品をどのくらい契約してくれているか
・年間契約金額はいくらか
・契約期間はいつからスタートし、いつ終了予定か
・構築したパートナーはどこか
またこれはSaaS企業ならではかもしれませんが、CRMにはできればお客様のサービス利用スコアを格納したいところ。Slackの記事が分かりやすいですね。
ようはデータそのものではなく、ログイン率・データ増加量・レポートなど、お客様が自社サービスをどのくらい使いこなしているのか、スコアを弾いているのです。
これはsalesforceでもカスタマーサクセス部門が契約更新のために利用していると思われがちですが、バリバリ営業も使ってます。「データは入れてくれてるけど、アウトプット系は使ってないな」「自動化関連の機能使ってないな」とか、行く前から大体のことが分かります。
SaaS企業ならこの辺りのデータは取得できるはずなので、生データではなくサマリしたスコアのみでOKなのでCRMに格納し、営業の武器として使わせるのはオススメです。