「ワンオペ」で可視化される世界-01
「ワンオペ」育児・世代間ギャップ
仲間内のどんな会合にもすっと現れて、いつもおしゃれでニコニコしていて、外国人がやるようなレディーファースト仕草とかを自然にこなし、どこにいってもなにをやっても器用で、スマートな立ち居振る舞いで、まさに「THE 天秤座ジェントルマン」の象徴みたいな存在だった男性が、ある日の飲み会で20時ちょっと前に、だいぶ疲れた顔でこう言いました。
「帰らなきゃ。いつもワンオペだ!って怒られててさ」
ああーーー。それだけでみんないろいろ察して「おつかれ!」と彼を出口まで送りだします。「最初の結婚でのお子さんは、すでにもう成人しているのに、これからまた0歳児かー。タフだね」と、褒めるような労るような呆れるような感想が、その場に残ったメンバーの口から漏れ出てきます。
バツイチ50代だった彼は、年齢がひとまわりより年下の女性と再婚して、お子さんが生まれたばかりなのです。(あ、ちなみにこれは10年以上前の話なので、そんな彼ももう60代ですね)当時の50代男性だと「俺が外で稼ぐ。奥さんは家のことをする」と信じて疑わなかった人のほうが多いでしょうけれど、現代のバリキャリ30代女性にそんなの通用するわけがありません。
あんなに華やかでカッコよかった彼が「ワンオペだって怒られてさ……」と顔色も威勢悪く呟く情けない姿は、まさに THE現実!そのものです。「イマドキは男性も家事育児しないならすぐ離縁されても文句言えないよねー。そんな簡単なことも予想できなかったのかな?」と女性陣はみんな表情ひとつ変えずにクールな感想です。だよねー。だよねー。だよねー。
夫は家でなにもしないお客様
30代の女性からのご相談で「相手が再婚の超!高収入(とかハイスペ)50代男性なんだけど、家のことは何もしないで私に丸投げの中年オヤジムーブ丸出しなので嫌になった」というテーマはわりと鉄板なので、ときどきそういうご依頼をいただくわけです。男性側ともお話しする機会があるけど、みんな悪気ゼロ。ゼロかよ。ゼロなのかよ。それがますますいかんのですよね。
年代が上がるほど「うちの夫は家でなにもしない」という話は増えるし、男性より女性のほうが収入が多い家族でも、女性が家事をほぼぜんぶ担っていたりするケースのお話はたくさん聞きます。きついなー。
あるある案件として「俺は外で仕事してるから当然」って、家で上げ膳据え膳でご飯出してもらって、掃除も洗濯してもらって、ゴミもいつの間にか綺麗になってて、子供も自動的にちゃんと育ってて、俺は仕事してるから偉い、ってどこのお客様かよ?(うちの父は、紛れもなくそれ系)
「専業主婦」って歴史は浅い
いわゆる「専業主婦」という存在が日本で一般に現れるのは、戦後の高度経済成長期がはじまる1950年代からです。
その頃、男性の多くが第三次産業に従事するようなサラリーマン社会が形成され、女性は学校を卒業後、数年間の会社勤めを経てサラリーマンと結婚して寿退社するのが「普通」とされました。同時に、国が主導して性別役割分業型の政策を進めたため、母親は子どもが3歳になるまでは家庭に入り育児に専念すべきだという『3歳児神話』もこの当時に言われ始めています。
なるほど。しかし、いまや純粋に「専業主婦」の状態の人は少ないのでは?
ちょっと眺めただけでこういう感じですね。1995年あたりで共働き世帯の数と反転して、いまや絶滅危惧種レベルに減少しています。
「主婦」は家事労働要員ではなかった
戦後は家族形態も大きく変貌し、三世代が同居するような大家族は減って、俗に言う「核家族」つまり「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子供」「父親また母親とその未婚の子供」の世帯が増えたわけです。
ですから「主婦」という言葉はいろいろ変遷があるのですが、いまのところ定義としては、こんなかんじらしい(広辞苑)
1 一家の主人の妻
2 一家の家事をきりもりしている婦人。女あるじ。
それにしてもですね、もともと「主婦」は家事労働要員だったわけではないんです。諸般の事情で「超絶!お金持ちの家」を結構たくさん見聞きしましたけど、どこも毎日来て家事をする「お手伝いさん」がいるそうですよ。
時代を遡れば、上流階級の人たちは子育てだって自分でしてませんよね。ときどき抱っこするくらいで、実際には乳母とかお手伝いさんがしていたわけですよね。それが当然で、それがステータスだったわけでしょう?
それなのに現代は「主婦」とか「女性」だからって、それまでなら何人かで役割を分担していたような労働や責任をたったひとりで背負わなきゃならないって、それっていったいどういうこと?誰がそんなふうに仕向けたの?
つづく。
占い世界でのあなたの探検が、よりよい旅路となりますように!