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「ワンオペ」で可視化される世界-02

前回の続きです。

生活を支える基盤となる家庭は家庭でものすごく大変なんだけど、そもそも家に帰れない大量の労働とか雰囲気を作り出してる会社とか、社会のムードってのもあるわけです。まるっきり共感できないものから、それは仕方ないよねって理解できるものまで、オジさんオジイさんたちの言い分というのもあります。なんだかんだで誰も幸せにならない仕組みなんかいらないよね。

会社の机の下で上手に寝るメソッド

2001-2004年くらいのあいだ、新橋の治療院で働いていました。体育会系みたいなノリで先輩たちが厳しくて、わたしのあとの新人は入ってもすぐに辞めてしまうので、いつまでもわたしはいちばん下っ端のままでした。いつもいちばん最初に出勤して、いちばん最後に帰る。お給料はもちろん底辺レベル。福利厚生?なにそれ食えるの?この世にそんなものがあるの?ボーナス?ああ。言葉は知ってる。一生で一度でいいから見てみたい。

来る人はいろいろだったけど、夜になると若手のハイパービジネスマンの人たちがやってきます。「今夜はこれから泊まり込みなので、その前にちょっと充電」とか「もうすぐ株主総会なんだけど、1週間以上家に帰ってない」とかそんなかんじ。そんな人たちを見ていると、とりあえず22時には家に帰ってそのまま寝られる保証はあるんだから、自分はぜんぜんまだ甘いしマシかな?とかおもうようになるわけです。狂ってる。

「それだけはやめようとおもっていたのに、寝袋をついに買ってしまった。めっちゃ快適になった!これまではダンボールと新聞紙を敷いてたんですよね。腰が痛い」とか言う人もいました。え?キャンプじゃないよ。もちろん会社の机の下で寝るための寝袋ですってよ。

24時間働かなくていい

日本の「超!長時間労働」文化は、諸悪の根源でしょう?
気合いと根性で不可能を可能にする!そんなの長く続くわけないじゃん。

昔は経済が成長していて、人口がどんどん増えて、収入も増えて、「24時間働けますか(働けますよ)」って信じてるイケイケの人がいっぱいいました。そんなことを可能にしたのは、男は外で長時間労働、女は家で後方支援、という分業体制ですね。

多くの高齢男性はだいたい「俺がいちばん活躍して輝いていた」時代の話を繰り返しします。すごいね。すごかったね。みなさんのおかげでいまの私たちの生活はある。それは本当。あちこちでたくさん聞きました。戦争に駆り出されて陸軍に配属されて田んぼの腐った水を飲んでお腹を壊したとか、オーストラリアまで鉄鉱石の買い付けに行くのに、何度も飛行機を乗り換えて何十時間もかかって、向こうで凄まじい差別に晒されたとか、銀座のクラブでモテモテで豪遊しまくってたとか、なんかいろいろ。

現代から見ればそれは「仕事」じゃないよね?とおもうような活動の方が多いけど、なんだかんだで拘束時間がものすごく長い。毎日毎日夜中まで仕事と称して飲みあるいてるとか、休日には必ずお接待のためのゴルフに行くとか、そういう文化、今でも残っているの?そういうあれこれも仕事の一環としてカウントするとおっさんたちはずーっと外にいて、家にはほとんどいない。そりゃー家事や育児なんかできるわけがない。

24時間働かなくていいんだ。いいんだよ。

昔は週休1日だったんだよ

確かに父(現在85歳)が現役だったころは、休みは日曜だけ。それが当然でした。週休二日になったのはいつ頃かな?たぶん1980年代かな?父は土曜になにしていいかわからず、時間を持て余していました。そもそも夜中にしか帰ってこないし、単身赴任も長かったし、家にいないのが当たり前でした。

父はとにかく家のことはなんにもできないし、しないし、わかってない。電球が切れたら「電気切れたぞ」と言うだけ。トイレットペーパーがなければ「紙がないぞ」と言うだけ。ゴミは溜めっぱなし。洗濯も脱ぎっぱなし。なんにもしない。え?買い物?したことない。車の運転?したことない。は?力仕事?ないない。うちでいちばん非力だし。重い荷物?そんなのいちども持ったことがない。

そんなわけで「ワンオペ」なのはあたりまえ。それしかみたことないんだもの。だから最初は「父親も子育てする?」とかわたしには最初ぜんぜんイメージわかなくて、友人の夫とかが甲斐甲斐しく子育てしている姿を実際に見たときにはものすごく感動しました。おー!すごい!楽しそうにやってるじゃん。いいじゃんいいじゃん。こういうほうがいいじゃん。

異次元の?なんなのさ?

世界的に見ると先進国で少子化対策に成功した国は、男女ともに家庭と仕事の両立を促進するような社会作りに取り組んでいます。

イマドキは、積極的に子育てしてる男性が増えてますよね。街中でもお父さんがひとりで子どもたちを連れて歩いていたり、朝や夕方にパパチャリで送り迎えしている。それって、いいことですよね。それはとても良い。応援している。

まぁ、いまさらですけど、人数がものすごく多いわれわれ氷河期世代(だいたい1970~80年前後に生まれて、景気が低迷していた1990~2000年代に新卒として就職活動の世代のことをいう)の時代からこうなってれば、いまのような「少子化」にはなってないよな。とは思います。

いまさら時代遅れの老人たちに「異次元の少子化対策」とか言われても「はぁ?」としか言いようがありません。30年遅いだろ。

性別役割分業を強化する仕組み

戦後の「追いつけ追い越せ」「所得倍増計画」などなど、高度成長〜バブル期には、国が率先して性別役割分業を強化していました。専業主婦が優遇される政策があれば、それを利用する人が増えるのは当然です。勤労者の妻=第3号被保険者は、自分で厚生年金や基礎年金の保険料を払わなくても老後に厚生年金が支給されるようになり、勤労者の妻が家計を助けるためにパートで働くときも、収入が一定の「基準」をオーバーしなければその特典は維持されるといった特典があれば、多くの女性がその範囲内でだけ働くようになります。結果として短時間の補助的な「パート労働力」として女性の労働力が安価に提供される仕組みでもあります。

いろいろツッコミどころしかないわけですが。

つづく。

占い世界でのあなたの探検が、よりよい旅路となりますように!