4. 龍にお願いを叶えて貰うには
一日100人の電話を取るって想像以上に大変でした。たとえ短い会話でも、夕方には喉がヒリヒリ痛くなってきました。3月頃のコロナウィルス、得体の知れない恐ろしさがあり、一人の同僚だけに辛い思いはさせられない!とその日は何とか終了して、
「一日家で喉を休めれば、きっと大丈夫。」
自分で自分を鼓舞して、一日テレワークをして、受付業務の為出勤しました。
一日休んだとは言え、元々喉が強い訳ではなく、受付2日目の70本の電話を受けた後は、更に喉の状態が酷くなって、咳が出始めました。
コロナがいつまで続くかわからず、来週は三日受付に入る事になっています。
小さい子供も居るし、治療法も分かってない不安が襲ってきます。
実際他の部署の方は、全員自宅待機だったので出勤しているのは、受付と数人の上層部。
「ここにこれ以上居ては、喉が痛くて体が持ちません。来週からは受付に入らないで良いような方針が出ます様にお願いします。」
龍頼みで真剣に祈りました。
それから三十分ほどして、前を総務部長が通りかかりました。
「え!何で君受付入ってるの?違う部署でしょう?」
「100本電話が入ってくるので、受付が一人では体が持たないから、白羽の矢が立って、交代要員で今週から受付勤務になりました。」
「それは酷いね。」
総務部長がとても気の毒そうに言ってくださったので、ここで状況をきちんと伝えようと思いました。
「喉が痛くて、午後から咳が出始めてきて、来週は体が持たないかもと部長へ言ったんですが、私から誰か他の方へ頼むしかないって返事を貰いました」
「それも酷い話だね。」
「集中して掛かってくる部署へ全て電話を転送して、そこで振り分けてもらったほうがいいよ。
今日会議で提案するから、部長には僕が君に今先に話したのは内緒ね!」
と仰って去って行った時、この不安に押しつぶされそうな状況をわかって貰って、本当に涙が出ました。
スーパーヒーローが突然現れて、望み通り助けて貰ったんです。
勿論龍にお礼を言ったのは言うまでもありません。
翌週から受付は廃止になり、1番問い合わせの多い部署へ直接外線を取って貰える事になりました。
私の行動が、人助けの為だったので、龍も喜んで味方になってくれたと言う事ですね。
受付の子と大喜びしました。