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キモオタク、ただのキモになる
生まれて初めて全話通して観たアニメは新世紀エヴァンゲリオン。コロコロコミックよりコミックボンボン。お母さんにバレるのが嫌だったからPSPにぶっ刺したワンセグチューナーで隣の家のWi-Fiを盗んでベランダで観ていた深夜アニメ──。
俺はかつてキモオタクであることにプライドを持っていた。最近のオタクは世間からの風当たりがヌルくて弱ァい!!というようなことを考えるキモオタ男塾の総師範であった。
だが今はどうだろう?放送中のアニメをリアルタイムで追うことも、配信サイトで後からまとめて視聴することすらしていない。新作ゲームをチェックするだけチェックして結局遊ばない。
唯一の趣味だったオタクカルチャーに注ぐ体力がなくなって、今の俺はかつてキモオタクだった、ただのキモに成り下がってしまっている。
かつてあんなに俺を狂わせたコンテンツに対してなにひとつ興味が持てない。
休日はアホほど寝て、布団でモゾモゾしていたら日が沈んでいる。
アニメオタクを拗らせ過ぎて気が狂った知り合いがいる。彼は狼と香辛料のホロと一緒になる、と言い残して音信不通になった。
また別の俺と同年代のキモオタクはシン・エヴァンゲリオン劇場版を観に行ってすぐ、憑き物が落ちたように激キモオタクワンルーム(綾波レイのグッズで足の踏み場がないほど部屋が埋め尽くされていて彼の部屋でだけは人類補完計画がいまだに進行しているのだと思った)を引き払いミニマリストになって完全栄養食だけで暮らすようになった。
最近の趣味は散歩だそうだ。
大人になるというのはこんなに苦しいものなのか。俺も変わってしまったし、周囲も、世界も変わっていく。何かに狂っていないと生きているという感覚がしないのだ。なんでもいいから俺を狂わせてくれ。
最近、serial experiments lainのツイッターアイコンをよく見かける。クソガキが。お前ら、観たのか?wiredは俺たちの世界だ。玲音は冷笑を良しとするティーンのアイコンじゃないんだ。勝手に廃人にでもなってろ。
最近のカスみたいなご都合主義の異世界転生じゃ俺のキモオタクソウルは疼かないんだ。クソ。
まどか☆マギカは叛逆の物語で完結してほしかった。クソ…。
なんだか殴り書きを続けているうちに反骨心(?)が芽生えてきた。とうに枯れたキモオタクソウルに響くアニメを探す旅にでも出るか…。
オタクの行方は、誰も知らない。