駅でつながる旅と旅
パリから揺られること2時間15分。
列車は定刻通りドーヴィルに着いた。
正式な駅名はトゥルーヴィル - ドーヴィル駅だ。
川を挟んで、トゥルーヴィルとドーヴィルの2つの街が向かい合っている。
その話はいずれ詳しく書くとして、とにかく、無事に駅に着いた。
ホテルへ急ごう。
シヴェルブシュによれば駅は「半分工場、半分宮殿」とのことだったが、大西洋に面する海浜リゾート地の駅のファサードはとても宮殿とは言えない。
宮殿というよりも少し大きい山小屋だろう。
ノルマンディー地方特有の木組みのデザイン。
1931年に建造されたとのこと。
三つのハーフティンバーが特徴的で、真ん中には時計がはめ込まれている。
鎌倉駅に似ていなくもないなあ、原宿駅のほうが似ているのか、いや似てないか、などと考えていて・・・
ん?
もっと似ている駅があったような・・・
強烈な既視感に襲われる。
そうだ、ダラット駅だ!
ベトナムにフランス人が造成した避暑リゾート地ダラット。
駅舎はフランス人建築家が設計し、フランスから建築材を運んで作ったと読んだ記憶がある。
しかし、そもそもこの駅舎のどこがフランス式なんだろう、とずっと思っていた。
こんな駅舎、フランスで見たことないぞと。
その謎がようやく解けた。
ドーヴィルだったのね。
ちなみにダラット駅は1938年建設。
かちゃかちゃと調べてみると、具体的なかかわりまではよくわからなかったが、どうやら影響関係はあるようだ。
というか、調べなくてもわかる。
あからさまに関係している。
2016年の9月に訪れたベトナムの高原リゾートと、いま自分が降り立ったノルマンディーの最果ての駅が、ここでつながった。
2つの駅は、鉄道でつながっているのではない。
僕の旅路においてつながったのだ。