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ディズニーランド・パリ調査報告② ゴミ問題
東京ディズニーランドのキャスト(スタッフ)のホスピタリティの素晴らしさは世界でも有名なのだという。
それは、あらゆる接客のお手本なのだという。
キャストの完璧な仕事ぶりを象徴するものの一つが、カストーディアルと呼ばれる掃除スタッフだ。
東京ディズニーランドにはゴミ一つ落ちていないとされている。
清掃行為そのものを魅力的なパフォーマンスとして商品化する。
清掃作業を「見える化」することで、ゲストのマナー向上を促す。
まあ、とにかくそういうことになっている。
この徹底ぶりがいかに普通ではないということを伝えるには、他のディズニーの例を示すのがいい。
たとえばフランスではこうですよ、こうなっていますよ、と。
2005年に行ったディズニーランド・パリではゴミが散乱していた。
客が適当に捨てたゴミがショップの前に放置されたまま。
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キャストはゲストに対して攻撃的だし、喧嘩をしている場面もあった。
やっぱりフランスはそうか、ディズニーランドですらフランスを飼い馴らすことは難しかったか。
そう思った。
それはいいことでもあると思った。
今回もディズニーランド・パリで落ちているゴミを探した。
ゴミを求めてディズニーへ。
珍しいゲストの1人かもしれない。
けれど、結果的にほとんど落ちていなかった。
東京と同じようにカストードィアルの方々がこまめに清掃している。
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みんな、仲睦まじく、楽しそうに働いている。
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ふーむ。
なんだか隙の無い空間になっている。
ノイズがない、余白のない、そんな空間だ。
ゴミくらい落ちていて普通だろう。
モデルルームじゃあるまいし。
フランスにもディズニーランド化が押し寄せている。
文化のグローバリズムということか。
そういえばパリの道端の大きな変化に気がついた。
犬の糞がほとんど落ちていないことだ。
かつてはあちらこちらに堕ちていた。
後始末しないことがルールかのように、律儀に放置されていた。
ところが今、街に糞は落ちていない。
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代わりに、街のあちらこちらに、糞を始末するための袋とゴミ箱が置かれている。
なんとまあ。
フランスも普通の国になってきたようだ。
別に道に糞が落ちていて欲しいとは思わない。
落ちていない方がいいだろう。
しかし、こんなところにもフランスの平板化が観察される。
そのことは、記しておきたい事実だ。