シャンパーニュへの旅② モエ・エ・シャンドンのワイナリー見学
シャンパーニュへの旅、続編。
つい最近まで名前すら知らなかった街エペルネーを訪れたのはもちろん、シャンパンのワイナリーを訪問するため。
事前にモエ・エ・シャンドンの見学ツアーを申し込んでおいた。
要塞のように巨大なこの建物がモエ・エ・シャンドンの本社。
イタリア湖畔の高級リゾートホテル(を模したラスヴェガスのホテル・ベラージオ)を思わせる開放的なデザイン。
正門を入ってすぐ左には、シャンパンのゴッドファーザーと呼ばれる修道士ドン・ペリニヨンの像が屹立する。
彼の名を冠した高級シャンパンが、「夜の街」の方々が大好きな「ドンペリ」だ。
建物の中に入ると古い広告ポスターが掲示してある。
自分が生まれるずっと前から人びとはこのシャンパンを愛したきたのだ。
そんな当たり前の事実が感慨深い。
ドンペリで大儲けした経営者が購入したナポレオンの帽子も展示されている。
ナポレオンもまたモエ・エ・シャンドンの愛飲者だったのだという。
申し込んだのは50ユーロのツアー。
ガイドとともに蔵を見学したあと、2杯のシャンパンが付く。
さて、いよいよツアーの始まりだ。
瀟洒なインテリアの部屋を通り過ぎて、地下への階段を降りていく。
すると、風景は一変するのだった。
シャンパンを製造するためには、一定の温度に保たれた地下倉庫にシャンパンを保管しておく必要がある。
その貴重な倉庫へとツアーは案内してくれるのだ。
フランス語のツアーしか空きがなく、せっかくのツアーなのだが説明はほとんど理解できない。
数キロに及ぶとされる地下倉庫にシャンパンボトルが果てしなく並べられる姿は壮観そのもの。
今後の人生(おおげさ!)において、シャンパンを飲むたびに、ああ、お前はあの蔵から、あの町から来たのだな。
そう思うことだろう。
言葉がわからないのでツアーは消化不良だったが、最後には一番のお楽しみのシャンパンテイスティングが待っている。
ヴィンテージものの白とロゼのシャンパンをいただく。
普通のモエ・エ・シャンドンのワンランク上のクラス。
泡は穏やか。
すっきりさっぱりではなく、ほんのりの梅の香りがする複雑な風味。
急がずゆっくり飲んでくださいね、との助言に従い、まったりと、たらたらっと、ちびちびと飲み進める。
シャンパーニュの青空のもと、風に吹かれながら、シャンパンを飲む。
ああ、優雅。
まあ、なんとも贅沢な時間。
昼間から2杯も飲むと、さすがに酔いが回ってきた。
ほろ酔い気分で出口に向かうと、救急車が来ていた。
調子に乗って飲み方を間違えた客が、急性アルコール中毒になったようだ。
お酒にはやはり、飲み方というものがあるのだろう。
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