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第64回 立川流マゴデシ寄席(落語鑑賞覚書)

本編の前に、お昼に北千住のブルースタジオで「幕末太陽傳」観てきました。

こんな入口
こんな会場。後方は階段状に席が並んでます

知らない人の為に、この映画は、落語好きの、落語好きによる、落語好きの為の本気の落語映画です。過去にあった品川遊郭を舞台に廓噺「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」を中心に、「付き馬」だったり「文七元結」だったり色んな落語をごちゃ混ぜにした内容で、現存しない遊郭の建物やしきたりを垣間見る事が出来ます。僕みたいな道楽者には教材として非常に勉強になるのと同時に、一本の映画としても中々に面白いです。てか、あんなごちゃ混ぜでよく成立するもんだと思います。そんなにエッチなシーンはないので、お子様にも安心?知らんけど。今月19日までやってますので、気になる方は是非。

ぶっちゃけ何度も観てるんですけど、映画館で観るのは初めて。僕は映画館や寄席でスマホ弄ってる人を心底軽蔑する反面、自宅で映画観てるとどうしてもスマホを触り出してしまうので、今回、集中して楽しめました。前もどっかに書いたけど、俺、お染派な!フランキー堺の空中で羽織を着るやつ真似たい。

んで本編。

子褒め 春次郎
芋俵 笑えもん
小人十九 吉笑
芝居の喧嘩 こはる

中入り

卸問屋 談洲
紙入れ 志ら乃
引越しの夢 寸志

(敬称略)

前座さん(春次郎、笑えもん)を除き、出演者全員がお馴染みと言う…つい数年前までは立川流の噺家さん達ほとんど知らなかったのに…まあ、シブラクだったり、あとは立川流好きの落語仲間が増えたってのが大きいかも。友達は自分の世界を拡張する。

吉笑さんは新幹線で出会った驚きの人物のマクラから、小人十九。この噺を聴くのは二度目かな?京都出身で東京で活躍する噺家さんならではの、上方と江戸がモザイクのように入り混じった複雑な、でも楽しい噺。こはるさんの芝居の喧嘩は初めて。あんな小さいのに(失礼)もの凄い胆力っつーか迫力っつーか、ドスの効いたヤクザ者が似合う。カッコいい。

中入り後、談洲さんの卸問屋は初めて。こちらは新作落語なのですが…底意地の悪い(褒めてます)Sっ気強い(めちゃくちゃ褒めてます)噺だわ。機会があればまた聴きたいです。志ら乃師匠の紙入れは、シンさんと女将さんのキャラが特濃。ほぼサイコパス同士のやりとり。でもこの自由さも落語の魅力です。トリの寸志さんは引越しの夢。主人公でもあり、悪役でもある番頭さんが本当にイキイキとしてる。仕草も綺麗だなあ。

この引越しの夢、とある事情でアマチュアの方が演るのはよく聴くんですが、プロの方では滅多に聞かない。てか、覚えてる範囲ではプロの噺家さんで生で聴くの初めてじゃないかなあ。パワハラ、セクハラがバンバン出てくるので現代ではウケにくいんでしょうか。でも、パワハラ爺いに天罰が下る噺だから痛快なんですけどね。「最近じゃ女子に何言ってもパワハラセクハラとか言われて訴えられちゃうから困っちゃう(笑)」とか曰うパワハラ爺いに是非聴いて欲しい。古典落語の世界でも全然許されてないからな!

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