同期の秘め事 Vol.80
新宿無何有
たらちね 朝之助
五月幟 始
仲入り
猫と金魚 花ごめ
鹿政談 志ん松
(敬称略)
もう80回なの!?継続は力です。再来年の初春くらいに100回。その頃には真打昇進の報告を聴けるかも。
今日は軽い噺が続く、との事で朝之助さんはたらちね。息子さんのマクラは、内容が面白いのもそうですが、数年通ってるだけでも何となく成長が伺えてほっこりします。本編は丁寧に演じられてて聴きやすかったです。始さんの五月幟は、五月限定の珍しい噺ですが市馬師匠で聴いたかな。子供がちょっと可哀想なのと、サゲ後の惨劇(笑)を察すると確かに演り手が少ないのも無理はない、ですが、友達付き合いの難しさや、ついつい見栄を張ってしまう所など、「肩で風切ってる格好良い兄い分の内情」は、この噺でしか味わえないと思うので残って欲しいナァと思いました。
猫と金魚、花ごめさんも勿論そうですけど、ここ数年ではっきりとアップデートされた噺な気がします。色んな方がよってたかって工夫を入れ込んで、更にそこから面白い所が受け継がれていく、みたいなサイクル。それを僕みたいなニワカでも分かるくらい短期間で感じるのは古典と新作の中間みたいな噺だからか。番頭が比較的若手に設定されているせいか、一方的に怒鳴りつけるのではなく、どうにかして理解者たらんとする旦那。その苦い顔は、まるで若手社員とのジェネレーションギャップに悩む管理職のようでした。トリの志ん松さんは根多出しの「鹿政談」。トリネタと言う訳でもなく、かと言って寄席でもかけにくい、じゃあ同期の会で、と言う経緯だそうです(笑)落語マニアはご存知の通り、この噺の主役はお奉行様と豆腐屋さんですが、鹿の守り役・塚原出雲の小悪党っぷりに惹かれます。「これはこれは、お奉行様の言葉とも思えませぬ(ニヤリ)」とか言いたい。そして正義のお奉行様に超カッコ悪く打ちのめされたい(笑)そう思わせる名演技でした。