ガーディアンベルに漂った「のぞみ」・感想文をいただきました!
私が今年の春に作った、小説の作品集「パラダイス」。
この本は「ガーディアンベル」という、未発表作(刊行時)から始まります。
10,000字、原稿用紙換算で30枚程度の、小説としては短い物語です。
この度、抜群の文章読解力+表現力をお持ちの「geekさん」が、
この物語に感想文を寄せてくださいました。
ありがとうございます!!!
この方に記事をいただけるなんて、宝石をもらうより嬉しいです。
物語の詳細な内容は割愛しますが、geekさんが書いていらっしゃる通り「待つ時間」を描いた物語です。
この物語に登場する未来は、幼なじみの俊輔と会わずにいる間に、ある変化を遂げました。
平たく言えば、マイノリティという括りに入れられてしまう変化です。
それを、俊輔が受け入れてくれるかどうか。
未来は、必ず来るとは限らないその瞬間を待ちます。
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ちょっとだけ真面目に書いてみます。
普段、ろくなことを考えていない私ですが、これでも人間社会に対して「のぞみ」のようなものがあります。
「人が、その人のまま周囲に受け入れられる世の中になってほしいなぁ」
昔から変わり者だった私は、いつしか、そう願うようになっていました。
今は軸のある大人になりましたから、変わり者と言われても平気です。
好きな色をまとうことも、単独行動することも、自分の考えを言葉にすることもできます。
好きなものを、はっきり好きだと言うことも。
でも、自分の軸ができていなかった若い頃は、結構辛かったんですよね。
理想は、藤子不二雄先生の作品世界。
第1話で、ロボットや忍者やオバケが突然やって来ても、第2話では、人間社会の中で普通に暮らしていますよね。
ロボットのまま忍者のまま、オバケのままで。
こんなふうに、誰もが「自分とは違う他者」を、そのまま受け入れる世の中になってほしいな、と思っています。
そうしたら、ずいぶんたくさんの人が、生きやすくなるような気がするんです。
でも、こんな話を、誰かにしたことはありませんでした。
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自分が書いたガーディアンベルを、自分で読み返した時、あれっと思いました。
「あの想いが、自然に漂う物語になったなぁ」
私は、小説に何らかのメッセージを込めたり、思いを託したりすることはありません。
私自身を消して、登場人物たちの息遣いを描くほうが楽しいからです。
ガーディアンベルもそうやって書きましたが、できあがった物語には、期せずして、私の「のぞみ」が漂っていました。
そののぞみを、geekさんは「時間」という、私が意図的に書き込んだものを通して、感じ取ってくださいました。
私はのぞみを、明文化してはいないのに。
幼なじみの俊輔が、変化した自分を「見慣れる=受け入れる」瞬間を待つ、未来の時間を描いたのに。
本当にすごい読解力だなあ、と尊敬します。
誰にも話したことがない、私が人間社会を見る「まなざし」を、こんなふうに見抜かれたのは、全作品を通して初めてのことです。
geekさん、ありがとうございました!
かけがえのない贈り物をいただいた気持ちです。
この感想文の力で、私は「のぞみ」を、こうして表に出すことができました。
目いっぱい感謝しています。
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ここで、geekさんの傑作をひとつ、紹介させてください。
独特の雰囲気が素晴らしい物語。
私「こんな世界が描けるなんて羨ましすぎる!」と嫉妬しましたもん。
geekさんが表現する時間は、ひんやりと白く静かで、けれど止まることなく流れています。
ぜひ読んでみてください。
すごく深い余韻に浸れますよ。
私の拙著のリンクも、貼っておきます。
てへへ。