おバイク一人旅~福島→青森(1日目)2020.7.23
私は以前から、何がなんでもバイクで青森県に行きたいと、喉が渇くほど切望していた。
理由は単純で、東北6県の中で青森のみ、タイヤを踏み入れたことがなかったからだ。
そして「さいはて」「最北端」という言葉は、どうにもこうにも、バイク乗りという生き物をそそりまくる。
せっかく青森に行くなら、本州最北端を目指さなきゃ、という無責任な責任感に燃えた私は、次の旅の目的地を、下北半島のさいはての地・大間崎と決めた。
出発の朝、私の地元を見下ろす空は、今にも泣き出しそうな曇天だった。
これはひと雨来るかも、と思いながら走り出すと、案の定、磐越道のいわき三和インターへと走る間に、 ぱらぱらと雨粒が落ちてきた。
仕方なく、インター直前のセブンイレブンでカッパを身につけ、ついでにカフェラテで暖を取ってから、高速に乗った。
この日、地元の空は、ずっとご機嫌ナナメだったそうだ。
しかし、私のほうは幸い、磐越道で小雨に降られただけで、郡山ジャンクションから東北道に入った後は、青空に白い雲がぽこぽこと浮かぶ、きれいな夏空の下を走ることができた。
暑いことは暑かったが、前年の同時期に秋田へ行った時のような、ナチュラルハイになるほどの気温ではなく、旅は福島から宮城、岩手へと、スムースに進んで行った。
盛岡の手前で、紫波(しわ)サービスエリアに立ち寄り、こちらも前年に食べて美味しかった、塩チーズソフトを再び堪能した。これだから、真夏にどれだけ走っても、全くもって痩せない・・・どころか太るわけだと、アタマではわかりすぎるくらい、わかっているのだが。
盛岡インターを過ぎ、岩手県八幡平市の西根インターで東北道を降りると、すぐにR282にある、道の駅にしねに着いた。
ところで、私は「道の駅切符」を集めている。
全駅で扱っているわけではないが、バイクで行った先の駅で購入しては、切符専用ホルダーに並べて悦に浸ることが、マニアックな楽しみなのだ。
曇りだが明るさのある空の下、バイクを停めて駅に入り、1枚180円也の切符を手に入れて、外に出ると・・・。
まさかの雨、それも土砂降り!!
バケツをひっくり返した、などという生易しいものではない、浴槽を3回くらいひっくり返したような土砂降りだったのだ。
当然、愛機も、荷物を詰め込んだシートバッグも雨の中。
しかし、幸いにも通り雨だったらしく、開き直って缶コーヒーを飲んでいるうちに、嘘のように雨は上がった。
濡れたバイクとシートバッグを拭いてから、R282から県道経由でR4に出て、夢の青森へと北上を始めた。
岩手北部の一戸町、二戸市。独特の地名を走り抜けると、ああ、遠くへ来たんだなという実感が湧き、心が踊った。
そして、ついに青森県にタイヤを踏み入れ、三戸町へとたどり着いた。
ここは「11ぴきのねこ」という絵本の作者、馬場のぼる先生の出身地であり、三戸町のあちこちに、この絵本の猫たちがいるという。道の駅さんのへでは、嬉しそうにたいやきを食べる、ねこの石像が私を迎えてくれた。
そして、ここで飲んだ、りんごジュースが絶品!
青森といえばりんご、ついに来たんだなぁと、しみじみ実感できる味わいだった。
この日はもう少し北へ走り、十和田市にある、宿泊施設を併設した公衆温泉に1泊した。
旅の醍醐味は、良い道と素敵な景色、美味しいもの。そして、そこに気持ちのいい温泉が加われば、幸福感は更に色濃くなる。
明日は、いよいよ大間を目指すんだ、たくさん走らなきゃ。そんなことを考えながら、温泉で疲れを癒し、ベッドに潜り込むと、秒速で眠りに落ちていった。