おバイク一人旅~富山県富山市→新潟県糸魚川市→福島県いわき市(4日目)2022.5.15
期せずして迎えた4日目の朝は、充分な睡眠をとれたおかげで、すっきりと目覚めることができた。
頭も体も、疲れは完全に取れている。
これなら余裕をもって帰路につけそうだ。
前日に買っておいたメロンパンで朝食を済ませ、外に出ると、頭上は曇り空だった。
それでも、雨の気配は全くない。
今日は帰るだけなので、午前中いっぱいは下道を行こうと、ホテルからR8に向かって愛機と走り出した。
富山の国道は、路面があまり良くないと感じた。
(後になって、路面が荒れるのは、雪国では仕方ないことなのだと教わった)
けれど、車の流れが速すぎたり、あおられたりすることはなく、気持ち良く走ることができた。
早めにホテルをチェックアウトしたこともあり、道の駅KOKOくろべに到着したときは、まだ10時前だった。
この時点でだいぶ気温が低く、温かい飲み物が欲しかったけれど、道の駅の飲食店はまだ開店していなかった。
自動販売機を回ってみても、すべて冷たい商品ばかり。
5月だから仕方ないと、薄い防風インナーを着て、再び愛機にまたがった。
(高速道路なら、ハイウェイウォーカーをもらっておなかに入れると、防寒効果があるのだけれど……)
再び走り出したものの、やっぱり寒い。温かいものが食べたい。
そう思いながらR8を走り続け、黒部市から入善町を抜け、朝日町まで走っていくと、道沿いの食堂やドライブインに「たら汁」の文字を見かけるようになった。
そうだった、この辺りはたら汁が有名なんだ。
それを思い出した私は、富山県境を越えてすぐ、新潟県糸魚川市にある「道の駅越後市振の関」に立ち寄った。
道の駅切符を買ってから食堂に向かい、券売機でたら汁の単品を注文した。
「大振りのお椀にタラの切り身が入ったお味噌汁」を予想していたのだけれど、出てきたのは……。
大きな器に、タラの頭から胴体、尻尾まで入った豪快な一品!
思わず「美味しそう」と呟くと、食堂のお姉さまが「美味しそうじゃないの、美味しいの」とにっこり笑って言った。
その言葉通り、これがもう絶品中の絶品!
ぷりぷりの頭の皮も、ふっくらした身も、タラのだしが溶け込んだ汁も本当に美味しい。
お行儀は悪いけれど、手も使って、骨についた皮にもしゃぶりついた。
(こんな食べ方も一人旅の醍醐味)
これはぜひ、また食べたい。できれば雪深い冬に、これを食べるためだけに再訪したいと思った。
大満足で食堂を出ると、こんなに可愛いスーパーカブがいた。
大ヒットアニメ「天気の子」に登場した、ピンクのスーパーカブを再現したモデル。
ライダーさんに訊くと、なんと、レンタルバイクとのことだった。
◇◆◇
市振の先にある「親不知」は、日本海に断崖絶壁がそそり立つ、特異な地形の場所だ。
かつてこの断崖に道がない頃は、崖下の狭い砂浜を通り抜けるしかなかったため、旅の難所として知られていたらしい。
(親が子を気遣う余裕がないほどの難所のため、親不知という地名がついたとのこと。ちなみに、親不知の先は「子不知」)
R8はこの断崖絶壁を、へばりつくように通っている。
道路は洞門で覆われているが、西側は壁ではなく柱の連なりだ。そのため道は明るく、外の風景もよく見える。
本当に、道のすぐ脇が海なのだ。もし洞門がなく、ガードレール一枚だけだったら、相当に怖かっただろうと思う。
カーブで海から離れると、洞門はいったん途切れるけれど、海に戻ったところでまた覆われる。まるでタイムトリップしたような、不思議な異世界空間だった。
興味がある方は、是非Googleマップのストリートビューで、この道路を走ってみていただきたいと思う。
洞門を抜けると、北陸道の親不知IC、次に道の駅親不知ピアパークがある。
切符を買おうと立ち寄り、自分が越えてきた断崖絶壁の道を振り返って、一枚撮影してみた。
道の駅ピアパークの敷地に入ると、やたらバイクが多かった。
偶然にも、バイクミーティングが開催されていたのだ。
ここでお昼を過ぎたため、親不知ICへ引き返し、海の上で北陸道に乗った。
すぐ左手に日本海が広がり、とにかく走り心地が爽快。風景を見たくなってしまうが「事故多発」「わき見しないで」と書かれた警告に、はっとして気を引き締めた。
◇◆◇
この先は、北陸道から磐越道に入って、新潟→福島と高速道路で帰宅。
磐越道に入ると、しばらく給油できなくなってしまうので、ジャンクションの前に黒埼PAに立ち寄った。
思いがけず、敷地内にスターバックスが店を構えている。誕生日に友人が贈ってくれた、フードチケットがあることを思い出して、カフェミストとキッシュで軽い昼食にした。
(たら汁のおかげで、あまりおなかは空いていなかったのだけれど)
その先は問題なく磐越道を走り抜け、常磐道に乗り換えて、地元に戻ってきた。
◇◆◇
思いがけず1日増えて、3泊となった富山の旅は、普段のおバイク一人旅では考えられないほど「観光」を楽しむことになった。
いろいろな富山グルメを堪能したこの旅は、一言で締めくくると「美味しかった!」に尽きる。
自他共に認める晴女が、珍しく雨に当たった旅かと思いきや、そのおかげで富山を満喫する結果になった。
ということは、今回の私の旅も、お天気に恵まれたと言えるのだろう。
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