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ほくほく線に乗って新潟県松之山温泉『凌雲閣』に宿泊してきた おまけ『清津峡渓谷トンネル』

ローカル線で行く、一人旅好きの秋野あき子です。

2024/6/24〜6/25にかけて、新潟県上越市犀潟駅からほくほく線に乗って、「日本秘湯を守る会」の会員宿『凌雲閣(りょううんかく)』に宿泊してきました。

登録有形文化財『凌雲閣』
北陸急行ほくほく線
上越市犀潟から南魚沼市六日町を結ぶ

今回の旅は、昨年10月に長野の小谷温泉『山田旅館』で出会った秘湯マスターの淑女2人も一緒です。行きは1人で電車旅、2日目には淑女の運転する車で新潟県南部の十日町市観光となりました。
十日町市では映えスポットとして有名な『清津峡』にも連れてってくれました!

清津峡渓谷トンネル

出発の前日に北陸は梅雨入りして大雨が降っていましたが、当日は曇りの中にも晴れ間が差したりして深緑の木々や田んぼが瑞々しく美しい。
『松之山温泉』日本三大薬湯のうちの一つとされ、その効能は皮膚の新陳代謝を促し肌の保湿力と治癒力を高めてくれるものだとか。また温泉は鏡の湯とも呼ばれており浅緑色のお湯が特徴。今回の旅のカラーは緑ですね、目と肌にやさし旅になりそ。

さてさて、はじまりは富山県の泊駅から。

直江津行きに乗る
直江津駅でほくほく線に乗り換える

電車の待ち時間がちょうど1時間ほどあるので、駅チカの「ふかみ」という洋食屋さんでランチをいただきます。

泊駅から徒歩3〜5分ほどで着く
クラシカルな雰囲気
もともとは写真屋さんだったそう

店内にはクラシカルなカメラや写真がたくさん展示されていました。カメラ好きにはたまらない空間ではないでしょうか。事前の情報収集では姓名判断やタロット占いもしてくれるとのこと!気になる…ですが今回はそうゆっくりもしていられないので、ランチのみ楽しむことにします。

きのことたらこのスープパスタ
一見少なっ!となりますが皿はそれなりに深い

味は思ったよりあっさりしていました。もう少し濃い味付けの方が自分好みかなと思いつつ…パスタ麺はもちもちと弾力があります。料理の味付けって個人の好みで意見わかれますよね〜。
店員さんは愛想も良くて感じが良かったですし、デザートやコーヒーも気になるし、占いも気になるところなのでまた泊駅で待ち時間がある時は利用したいと思いました。

泊駅から直江津駅を経て、直江津駅でほくほく線に乗りまつだい駅へと向かいます。

ほくほく線ホームページより引用

一面の田んぼを突っ切って列車が走ると、ちょうど晴れ間が差して青空が見えました。画像ほどの鮮やかさはありませんが、青と緑の世界は夏の始まりを感じさせてくれます。
ちょうど向かいに座っていたマダム2人が「ねぇ!すごいわ一面の田んぼよ」「綺麗ねぇ〜」とパシャパシャと写真を撮っていました。都会から旅行にきたのでしょうか、田んぼが相当物珍しいのかしら。私にしたら我が家の周りが田んぼなので大してありがたくはないのですが、確かに一面の田んぼを電車が突っ切って走る光景はとてものどかです。

そうして電車に揺られること約40分。まつだい駅に到着しました。

改札を降りるとすぐ道の駅に直結する
そこはかとなくアーティスティック
外に出るとここが駅なのかとわかる

まつだい駅は道の駅と駅が合体したような構造で、お土産を買ったり、二階のレストラン?で食事ができたり、小さいながらも充実した駅でした。ちなみにほくほく線の発祥の地だそう。歴史深い駅なんですね。

ほくほく線のオブジェ

宿からの送迎バスを待つ間、しばらくぶらぶらしたりコーヒーを飲んだり。ゆるやかに時間が過ぎます。毎度、電車旅ではこの待ち時間をどう過ごすかが楽しみです。今回の旅のお供の本は、この旅では読み切ることができないボリュームなので割愛します。
そして定刻に送迎バスがまつだい駅までやってきました。平日ですが、送迎バスを利用するお客さんは結構多く、だいたい五組ほどの宿泊客が乗り込みました。世代ははっきり申し上げてシニアの方々です。激渋の大人旅だなぁと思いつつ、いくつになっても鄙びた宿の魅力に取り憑かれて、旅を楽しんでいたいものです。
バスには30分ほど揺られます。松之山温泉の温泉街の方には行かず、田舎道を進んだ先にぽつぽつ民家があって、その中にひっそりと『凌雲閣』は佇んでいました。

坂を上がると見えてくる
風格〜〜
いろんな画角から

長野県の『山田旅館』に似た木造三階建ての旅館です。こちらはより朽ちて鄙びた宿感が満載です、よく見ると窓枠や雨樋が歪んでいたりしていて。わっくわくしますね〜。

秘湯を守る会の提灯
一枚板の看板が色褪せていてイイ
床が盛り上がってない?
フロアをぶち上げるぜ‼️✨🤘⤴️⤴️
季節の花があしらわれている

旅館のスタッフの方に名前を伝えると「お連れ様は先にお部屋でお待ちですよ」とのこと。さすが秘湯マスター達、もうすでにご到着のようです。

階段と小さなエレベーターがある
せっかくなので階段を登らせていただく
宿泊するのは一番右の「管領」という部屋
この宿で一番格式が高いらしい、畏れ多い…
ギシギシと歴史の重みのある音がする
壁の明かり取りが一つ一つオシャレ
なんと目にも鮮やかなグリーン
いよいよこの奥に秘湯マスターが…

二人の話し声が漏れ聞こえてきます。
「お久しぶりです!」
「あらあ!お元気そうで!また会えて嬉しいわぁ〜」昨年の月に山田旅館で出会って以来、何ヶ月ぶりの再会。私もとても嬉しい。
すぐに笹団子を出されお茶で乾杯することに。笹団子は宿の手作りなのか、とても柔らかく良い香りがしました。疲れてくると甘いものが身体に沁みますね。ほっと一息つく暇も、写真を撮る間もなく「あなたもほら!着替えたら?」「さあ!温泉に行きましょう!」と勧められいそいそと着替える私。淑女は仕事が早い笑

ざっかざっか温泉へ向かう淑女
後を必死に追いかける
玄関で記念撮影しましょ、と三人で外に出る
いい一枚です
温泉へ行くには新館の方へと向かう
新館は本館の方から見るとこんな感じ
ラピュタか…??
急に近代的な建物に
新館の渡り廊下の窓からパシャリ

「ここの温泉はとっても油臭いのが有名なの」「ほんと臭いのよ」身も蓋もない笑
ですが確かに二人が言うように、温泉に近づくにつれて重油のようなヅンッとした臭いが強くなってきました。

女湯と家族風呂
家族風呂は先客がいなければいつでも入れる
実家の脱衣場かな?笑
家庭感が強い

このように鮮やかなグリーン色が特徴。タイルを緑色にしているからかもしれませんが、とても爽やかですね。ただしにおいは爽やかとはとても言えないくらいキツイです!いかにも身体に良さそう。

脱衣場
洗い場スペースはなかなか広い
ちょうど光がさしました
浅緑色が輝いている
エンッッッ

むわっと湯気がたちこめ、油のにおいで充満した浴場。内湯のみで露天風呂はありません、少し残念。湯温計では42度。いい熱さです。湯に浸かると、肌に油のにおいがしばらく染み付いてとれないほど、濃度の高い温泉です。ホームページによれば基準値の5倍の塩分濃度だそうですよ。普段からあまり汗をかかない私ですが、五分ほど浸かっていると全身から汗がふきだしました。あまりこういうことはないので驚きです。においが特徴的なので好き嫌いがはっきりと分かれそうですが、身体の芯から温まり、肌はすべすべになります。薬湯と言われる所以がわかった気がしました。
30分くらいは湯に浸かったり出たりしながら二人と話しましたが、私が先にギブアップし、館内を散歩しつつ部屋で少しのんびりすることにしました。

翌日の朝食会場
水素水のウォーターサーバーがある
ビールはかろうじて売り切れていない(重要)

新館は比較的最近の建物なのか、無機質な感じで情緒には欠けますね。やはり昔の建造物を維持していくには増築が不可欠なのでしょうね…。

「管領」の部屋を入ってすぐ
鍵も小洒落ている
鏡台
左下にあるのは食い散らかした笹団子の笹
一番広いお部屋
部屋の天井
応接間のよう
突然のグラビア
飾り窓も凝ってますね
障子の飾り枠がかわい

部屋に戻りパシャリまくり。建設当時、宮大工を呼び寄せ一人一室担当させてその技術を競わせたそうですよ!なんたる贅沢!他の部屋には宿泊客がいるので覗くことはできませんでしたが、それぞれ違った趣があるのでしょう、見てみたいものです。

さて、マスター二人が戻ってきてそろそろ夕食の時間となりました。夕食は新館の一階でいただきます。

新潟の食ぎっしり。食事は一気に出されるのでのんびり食べていると鍋が冷めてしまうのでもくもくと食べ進めました。つなんポークの寄せ鍋はお肉も柔らかくて美味しかったです、お刺身もぷりっぷりでした。量も一般的な旅館の食事量だと思います。

この後、蛍が鑑賞できるとのことで、旅館の方が蛍の群生地までマイクロバスで連れて行ってくれました。(事前に予約が必要です)
バスに揺られること約15分、山あいの清流にたどり着きました。写真にはおさめられませんでしたが、たくさんの蛍が一斉にタイミングを合わせてお尻を光らせていてとても幻想的でした。

地面にうずくまっていた弱った蛍
最後の灯火をともしていました…はかない

蛍は風のないかつ雨が降っていない日に飛ぶらしく、この日夕方からぽつぽつと雨が降っていたので諦めていたのですが、食後にちょうど雨が上がって蛍を見ることができました。宿の方に平家蛍と源氏蛍の光り方の違いなど教えてもらって、楽しいひとときとなりました。

宿に戻り、二人から再度温泉に誘われて就寝前に入浴しました。ストイックすぎる…アチアチの熱った体にビールといきたいところですが、なぜが温泉に入りすぎると身体がクタクタになって、お酒よりスポドリが欲しくなるんですよね。しっかり水分摂取して就寝しました。

翌朝は天気も良く晴れ間が広がっていました。
この日は十日町市をドライブです。

朝食もボリューミー
宿の朝は絶対飲みたい珈琲

当然のように温泉に入り、身なりを整えてからチェックアウトです。

秘湯を守る会のスタンプ

秘湯を守る会のスタンプは4つ目となりました。このペースでいけば3年間で10箇所は余裕で貯まりそうです!その分貯金ができない…。

さようなら凌雲閣
食事処と温泉がある新館の外観
こういう蔦の絡まる建物ってなんか良いよね

新潟県松之山温泉『凌雲閣』でした。宮大工の意匠を散りばめた風情のある旅館です。ただ、ところどころ傷みや歪みが目立ち、もし地震や災害など起こったらこの旅館は倒壊するのではないかと心配になりました。文化財を保存していくのはとても難しいこと。たくさんの人が宿泊して、その利益で修繕に当ててもらえたらなぁと切に思いました。

ここからはおまけです。
秘湯マスターの運転する車でこれから向かうのは、
 ・美人林
 ・星峠の棚田
 ・そば処 松苧(まつお)
 ・清津峡渓谷トンネル
です。十日町市のメジャーな観光スポットだそうですよ。

ここは美人林に行く前に立ち寄ったお寺。参道が美しかったので思わず降りてパシャリ。

美人林への入り口
小鳥のさえずりが響いている

深緑の林に囲まれて身も心も清らかになる気がします。樹齢約90年のブナ林だそうですよ。林の中に池もあって、本来なら鏡のように林を映してそれはそれは幻想的らしいのですが、この日は残念ながら池が干上がっていました。先日まで梅雨だったのになぜ…。

本来ならこんな感じ↓

にいがた観光ナビ公式ページより引用
雪の降り始めはこんな景色らしい!

ファンタジーの世界ではありませんか!池が満たされている時にぜひまた訪れたいです。

次は星峠の棚田。
星峠なんて、名前が素敵ですね…トゥンク。

ザ・曇天

稲もすくすく伸びていてわかりづらいのですが、傾斜にそって棚田がずらり所狭しと並んでいるのです。
本来ならこんな感じ↓

十日町市観光公式サイトより引用
十日町市観光公式サイトより引用

春先と晩秋の水田の時期が一番の見頃だそうですよ。なかなか見頃の時期に行って、ばっちり写真に写すことは難しいですね。ただ、広い空と一面の緑を見下ろす光景は圧巻です。

朝9時頃チェックアウトして美人林、星峠の棚田とドライブすること約2時間でした。星峠の棚田が一番規模が大きいようですが、ドライブ中大小様々な棚田を見ることができました。やはり米どころ新潟は伊達じゃありませんね!

朝食をめいいっぱい食べましたが、そばなら腹にも入る!とのことで、「そば処 松苧」へと向かいます。

くるみほじくり放題!
へぎそばの天ぷらセット

山と川と田んぼに囲まれた小さな一軒家のそば屋さんですが、有名なのか平日にも関わらずお客さんでギッチリ!店内の写真は撮れませんでした。
へぎそばとは

新潟県の郷土料理!

コシがあるのですがもっちりもしています。なんといっても薬味の豊富さ!ほじくり放題のくるみや、おろしたてのワサビ、みょうがのようなものはネギの仲間なのか、ネギを何倍も辛くツンとさせたワイルドな風味でした。お値段は1200円程度だったと思います。予約必至です!

そして最後に向かうのは清津峡渓谷トンネル!

ここです!

今では映えスポットとして有名ですが、少し前まではただのトンネルだったそう。2000年から現在まで約20年に渡って「大地の芸術祭」というアートによる地域おこしを日本中の里山で開催しているらしく、越後妻有の至る所に芸術作品が展示されています。この清津峡トンネルも水を張ったり、トンネルの中にアート作品を展示したりして一気に有名になったそうですよ(秘湯マスターKさん談)

にいがた観光ナビ公式サイトより引用

かつてはこの渓谷に遊歩道があったそうですが、落雪や自然災害などで不幸な事故も多く起きたそう。それでも清津峡の渓谷美を見てもらいたい、そんな思いから景観を損なわず安全に歩けるよう作られたのがこのトンネル。そこにアートを複合させたわけですね。全長は750mありますが、段差や階段もないのでベビーカーを押してもお年寄りでも歩くことができます。

清津峡渓谷
いざ入場!
入場料は大人1000円、子供400円
緑や赤のライトで照らされたトンネル内
うすら怖さも感じさせる

トンネル内に不思議なBGMがこだましています。儀式で唄われる知らない言語の呪文のようなメロディラインがあまりないとつとつとした不気味な音色ですがどこか神聖なものを感じさせます。

赤いゾーンが近づいてくる
第一見晴所
たたずむ秘湯マスター
このオブジェはトイレ
そしていちいちダサいポーズをとる私
第二見晴所
王蟲の抜け殻の中にいるみたーい
王蟲

トンネルの中は冷んやりしていて、渓谷の川の音がこだましています。爽やかな涼に包まれますよ。

そして終点へ

風が吹き込むと水面が揺れるので、よくある水鏡のような写真を撮るのはなかなか難しいです。
ちょうど50〜60代くらいの男性の団体さんがやってきて、わらわらと賑やかになりました。酔っ払ってるのか声も大きいし、せっかく来たのにやだなぁと内心毒付いていると、グループの中のおじさんが「撮ってあげるよ」と声をかけてくれました。
他にも観光客がいるんですが「ちょっとみなさん!今からこちらの親子(親子ではない笑)撮るから入らないで!」「一旦停止!」と制し、私たち2人をトンネルの真ん中へ突き出します。やめろよおじ達。

大勢の観光客に見られる中、しっかりポージングを撮りました!その節はみなさんありがとう…!そしておじ、写真撮るのうまいな。

帰りの電車の時間の関係上、あまりゆっくりもできずトンネル内を往復しただけとなりましたが、売店や足湯もあり、またトンネルのすぐそばにまた別の秘湯の宿もあったりします。
深緑の季節もいいですが、紅葉の秋や銀世界の冬に訪れるとまた別の景色を見ることができそうですね。

ここで秘湯マスター達とお別れです。また今度秘湯の宿で会うことを約束して、二人はまた別の秘湯へと向かいました。強い。

今回の旅はここまで。
また次は、どんな旅に出てようかな。

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