新潟県糸魚川市の日本秘湯を守る会会員宿『笹倉温泉 龍雲荘』へ宿泊してきた
ローカル線で行く、一人旅好きの秋野あき子です。
2024/11/21〜11/22にかけて、家族旅行で新潟県糸魚川市へ赴き、日本秘湯を守る会会員宿の『笹倉温泉 龍雲荘』へ宿泊してきました。
ローカル線で行くと銘打っておきながら今回は自家用車で行きましたブーン。
温泉好きな実母の誕生月なのでプレゼントとして日本秘湯を守る会会員宿に招待。
笹倉温泉は遠い昔、まだ私が5歳くらいの頃、家族で宿泊したことがあるそう。母がかねがね「お湯がなめらかで肌がすべすべになった思い出がある。また行きたい」と言うので調べてみたら秘湯を守る会の会員宿じゃないですか。これはこれは…。新潟県は米所だし、美肌美人も多いですよね。夏には松之山温泉にも行きましたが秘湯の宿も多いんです。いつもはひとり旅ですが今回は娘二人と私の両親とでのんびり家族旅行を楽しみたいと思います、仕事に勤しむ夫を残して…夫よごめんね。
このように歴史深く、大地の恵み豊かな温泉なのですね…秘湯はこうでなくちゃ。調理にも温泉水が使用されているとのことで、お料理も俄然楽しみになってきました。
金沢から糸魚川までは、子供が退屈するので途中で道の駅などに寄り道しつつ自動車で約3時間の距離です。晩秋の新潟は金沢と同じように北陸の退廃したよどんだ空をしています、平たく言ってお馴染みの曇天でした。ですが紅葉の終わりを迎えた山々はこれから静かに雪を待って、もう少ししたら白銀に光輝くのでしょう、そういう憂いを感じさせてくれていとをかし、そう思った次第。
少々長旅に疲れ気味な子供達に嬉しいサービスが。
子供達はオレンジジュースにウッキウキ、大人達はビールにウッキウキ。そしてさらにウェルカムアイスまで!ウッキーーー!!
ガッサーとアイスに群がる私達に、スタッフの方が「アイスは逃げませんので、お風呂上がりでも大丈夫ですよ」とにこやかに一言。我ら家族のあさましさにおののいたのか…?アイスはひとまず風呂上がりの楽しみにして、お部屋まで案内してもらうことに。
景色がいい部屋はテンションが上がりますね。荷物をおろしてウェルカムドリンクで一杯。旅館に着いたらとにかくゆっくりするものだと思うんですが、私はいそいそ浴衣に着替えて館内の散策に向かいます。時間は待っちゃくれないのでね。娘達も誘いましたが「別にいい」と振られました、冷たいやつらめ。
渋る娘達を説得して浴衣を着せ、館内の散策と温泉に向かいます。
温泉は内湯(大浴場)と離れに露天風呂、そして貸切風呂の三種類があるようです。貸切風呂は受付での事前予約制となっており40分間利用可能とのこと。受付で予約を済ませ、まずは日の高い内に露天風呂を目指します。
最近にリニューアルされたのか秘湯とは思えないほど新しく清潔感バッチリです。果たしてどんな露天風呂なのかワクワク。
広ーい!!開放的なガラス戸一面の向こうは山あいの穏やかな清流が広がっており、そこに3つの五右衛門風呂が。残念ながら冬季は寒すぎて湯温の管理が難しいとのことで五右衛門風呂は閉鎖中でした。ですがこの広々とした温泉!そしてなんと言ってもお湯の滑らかなこと!まったりと肌にまとわりつきます。脱衣場には「滑りやすいので注意!」の張り紙がいくつもあり、確かにご高齢の方には転倒注意ですね。この滑らかさの秘訣は「ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)」という泉質からなのでしょうか。
重曹が主成分なだけにクレンジングの湯と言われると納得せざるを得ません。香りはほぼ無臭に近く無色透明です。温度は体感42度くらいでしょうか、子供達には熱すぎるようで長くは浸かれませんでした。私は先日訪れた長野県の野沢温泉の外湯巡りで熱い湯に鍛えられたばかりだったのでちっとも熱く感じませんでした。もっと熱くなれよォ!!長く浸かっていたかったのですがやむなく上がることに。
あまりのお湯の滑らかさに感動しました。母も「そうそうこんな温泉やったわ、お湯も滑らかやね〜思い出した」と喜んでいたので、少なくとも露天風呂は昔のままのようですね(外の五右衛門風呂は多分新しそう)。
子供達はもう風呂はじゅうぶんとのことで、母に孫を託し、私は貸切風呂と内湯へと向かいます。
露天風呂に増して、まったりとした湯ざわりが濃くなった印象が…。透明な乳液に全身で浸かっている感覚です。貸切風呂には洗い場もあるので、赤ちゃんや小さなお子さん連れの家族にはすごく便利なのではないでしょうか。
そして最後に大浴場へと向かいます。
充実のラインナップに心は躍ります。お酒の心配はしなくても良さそう。安心を得て、いざ大浴場へ!
開放的な大浴場に日頃のストレスが吹き飛びます。内湯の方は少々熱め、檜風呂の方はぬるめでした。できることなら頭からお湯に浸かりたいほどリッチ…。檜風呂の方は檜の香りの中渓流も眺められ、さらにぬるめの湯なので長々と入っていられます。ただ檜の方はより床がぬめりました、注意です。
素晴らしい泉質です。秘湯を巡りはじめてまだ歴は浅いですが、これまで入った数ある温泉の中で随一の滑らかさだと感じました。
湯上がりには流れるようにアイスをゲット。子供達の分も引っ提げ部屋に持ち帰る様はさながら狩に出た親猫が獲物を子猫に分け与えるよう…いや決してそんな尊いものではない。ただ卑しいだけである。
さあ!このあとはもう一つのお楽しみ、夕食です。
さすが日本海、刺身はとろけるように美味しいです。温泉水で調理しているとのことですが、茶碗蒸しやその他の蒸し物煮物など、まろやかに美味!さすが温泉水の力…多分。新潟牛というのは初めて聞きましたが、47都道府県それぞれに牛肉のブランドがありそうですよね。石川県にも能登牛とかあるし。ちなみにすき焼きも甘めの割下で気がついたら肉がなくなっていました。私が食べた…のか?子供から「ママのお肉ちょうだい」と言われた気がしなくもない。
父は食べるのが異様に早く、子供は食べたら飽きて遊びたがるので父と娘達は早々に部屋に戻っていきました。愛想もない…ということで私と母の2人でお互いの夫の愚痴を言ったりなんかしながら地酒を楽しみました。そして毎度のことながら食べ始めると写真のことを忘れるので、この地酒もなんだったかさっぱりとして旨かったなあ、グラスも綺麗だったなぁという感想しか思い出せないのです。ただ食事に集中していたと考えればまあそれも旅の醍醐味なので…(あとあと見返すと食事の写真が少ないので寂しい気持ちではあるのです)
満腹になりみんなでグロッキータイムです。ゴロゴロしながら談笑したりテレビを見たり…上げ膳据え膳の素晴らしいことよ…。私は充実した自販機にレモンサワーを買い求め、部屋でもうひと酔いしたのちみんなで健やかに就寝となりました。
翌朝は母と長女と3人で朝風呂へ。大浴場は男女入れ替わっており、前日にあった檜風呂はありませんでした。なんということ…。娘が朝風呂に一緒についてきたのは意外でした。あんまり風呂が好きな子ではないのですが…温泉は別のようです。祖母、母、娘の三世代で温泉を愛するのってなんか良いですよね。なんなら私の祖母、娘にしたら曽祖母ですがこの人も温泉好きなので、遺伝するものなのかもしれません。
朝風呂の後は朝食。
ごはんと味噌汁、納豆、海苔、ジュースなどはバイキング方式でおかわりし放題。ごはんも普通の白飯とおかゆに分かれているのも有り難いです。旅館の朝食って本当にたくさん食べられますよね、不思議。
食後はラウンジにてコーヒータイムです。
家族で温泉はいいですね、夫不在で申し訳ないけど。よく自分の子供時代に親はいろんな温泉へ連れて行ってくれて、今私がこんなに温泉が好きなのも親の影響が大きいのだと感じています。子供時代のエピソードはだいたい赤面するような内容ですけれど、昔話に花を咲かせ懐かしむ親を見るのも悪くない…いや、あんまりほじくり返さないでほしい過去の恥は。できたら忘れていただきたい。
翡翠王国、新潟県糸魚川市にある秘湯「笹倉温泉龍雲荘」でした。建物に侘しさはあまりなく、かと言ってモダンでハイセンスなわけでもなく、よくある旅館・ホテルといった佇まいですが、それが家族旅行にはふさわしくむしろ優しさや暖かみさえ感じました。温泉は間違いなく特上の泉質で、四十手前の繊細なお肌も大変喜んでおります。いろんな人にオススメしたいお宿です。
秘湯を守る会のスタンプは1年間で5箇所に到達しました。この調子でいけば2025年は10箇所集まるのではないでしょうか、そりゃあ金が貯まるはずもねえべ!
さて今回の旅はここまで。
次はどんな旅に出ようかな。