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【今週も何とか生き抜いた】Vol.26

今更だけど。本当に今更だけど「ハイキュー!!」を褒めてみよう

(6/24~6/30)

Mon.


あなたは日々、自分は変わり映えしない毎日を過ごしていると思っているかもしれないが、それを日常と呼ぶには憚られるほどの実はものすごいことが、あなたの身の上に起こったりしているものだ。
と同時に、すごいことが起こったぞと興奮したりしてみても、周囲の人に「そんなにすごいこと?」などと怪訝な顔をされて我に返り、あなたは相変わらず着々と押し出されている日常に戻ることもある。
日常を生きるということは、我々が漂いつつ直面する波が、凪いでいるのか超えるべき波濤なのか実のところあやふやなままサヴァイヴを余儀なくされるということなのだ。

何を言っているかわからないかもしれないが、本日の午後、パリオリンピックに出場する男子バレーボールチームのメンバーが発表になったことについて言及しているのである。
もはやメダル圏内(何しろ世界ランキング2位。もう一同言うけど、今の日本は世界ランキングで2位なのだ。噓みたい!)と言われているチームのパリでの快進撃を、今から妄想してウハウハしながらも、選手を選んだ監督の意図や、選ばれた選手同士の相性、或いは今回落選した選手の物語を想像して私の感情は大忙しで、今にもコメカミがどうにかなりそうだ。
なんだけど、私の周りでそんなトピックスなど誰も口にしておらず、職場ではいつものマッタリとした時間が無機質な事務所内に終始流れていたのだった。
おいおい、これはですね、大変なことなんだぜ!

日本バレーボール協会 インスタより

と思うけど、この「私にとっての大事件は世間ではそうでもない」っていう状況は嫌いじゃないんだよな。
こういうことには常に「その逆もまたしかり」って思いが付きまとうからだ。
いよいよ自分でも何を言っているのか分からない。

Wed.

夜中に件の日本の男子バレーボールチームが、オリンピックで対戦する相手が抽選により決定した。
日本はドイツ、アルゼンチン、アメリカと予選を戦うプールCとなった。
とにかく、最低でもドイツとアルゼンチンには勝ちたい。とは言え相当大変だと思う。大変だったとしてもこの2国に勝たないことにはメダルなんて絶対に見えて来ないので、どんな汚い手を使ってでも2勝してくれ頼む!(最低な応援)
ところでアルゼンチンと聞くと、ジャルジャルが2018年のM-1の決勝でやったネタ「国名分けっこ」の「ゼンチン!ゼンチン!」を思い出してしまうし、マンガ「ハイキュー」での敵キャラ(←ザックリとした言い方)「及川先輩」が国籍を取得してナショナルチームのメンバー入りを果たした国であるな、という気持ちがこみ上げて来る。

@volleyballworld より

とにかく。
男子バレーボールチームがオリンピックでメダル!というのは私は最低でも石川祐希がいるうちじゃないと実現しないと思っている。
そうだ、これは偏見だ。
それでも、これは応援なのだ。

いやしかし。日本のバレーボールチームが世界(特にアジア)で人気が相当なことになっていて、海外でのゲームにも関わらず現地観戦ファンから「ニッポン!ニッポン!」の応援コールの大合唱を浴びているだなんて、本当に本当に30年前などは考えられないことであった(古参ファンをアピールおばさん)。

もちろん彼ら自身の成長や勝利の快進撃、フレンドリーで親しみやすいキャラなど理由はいくつもあるだろうが、端的にマンガ(やアニメ)のハイキュー!!(正確には「ハイキュー!!」だが、面倒なので以下「ハイキュー」にて失礼致します)が世界的人気になっている影響も相当大きいと思う。
ハイキューが生まれた国のバレーボールチーム、そんなきっかけで日本代表チームを知り、そしてファンになった人、かなりいると思う。

JVAよ、うまいことやったな!

おかげさまで今日本のバレーボール界は数年来、春高バレーやVリーグやら代表による国際大会、あらゆるレギュレーションでハイキューとの応援コラボという形でお世話になりまくっていて、ファンとしてはありがたい&情報把握に大忙しだ。(あと、協会はハイキューに甘えすぎでは笑)
ありがとうございます。

高校生たちも嬉しかったろうな〜


そんな状況なので国際大会が開催されるたびに、芸能人や元選手を集めてハイキューの魅力を語り合う、みたいな番組もいくつか放送されたりしていて、全ては視聴出来てはいないものの興味深く見ちゃったりはしている。

そういう番組において、ハイキュー激アツポイントとしてピックアップされるお馴染みのシーンがあって、
 ▼ ツッキー(月島蛍)が春高予選で牛島のスパイクをブロックするまでに成長し覚醒する瞬間
 ▼ (田中)龍之介が試合中に自分鼓舞する時の言葉「ダセェのは、勝負に負けることより、勝負にビビること」「平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか」
 ▼ 試合中、心折れそうになった選手たちへの烏養繋心コーチの言葉「下を向くんじゃねえ!バレーは常に上を向くスポーツだ!」
 ▼ 及川徹、ファーサイドへのトスを身を呈してセットしながらの「才能は開花させるもの、センスは磨くもの!!」
 ▼ インタビューに答える星海光来の「小さい事はバレーに不利であっても、不能の要因ではない!」
等がある訳だが、私ももちろんこれらのシーンにはマンガを読みながら滂沱の涙を流して感動していたんだけど、、

第1巻と最終巻のデザイン同じにするのオシャレね〜

他にもジワジワとグッとくるエピソードが満載な訳であって、こう見えても小学6年生から大学生(その後社会人でも少し)までバレーをやっていた私が(要は経験者と言いたい)、ちょっとそういうシーンをいくつか挙げてみたいと思う。

え?充分語りつくされているのでは?
今更何のために?

それはね、他でもない私が「いやーやっぱバレーって面白いなあああああ」と二度も三度も気持ちをアツくしたまま、オリンピックに突入するためだ。
突入と言ってTV観戦するだけなんだけども!

では以下にいくつか並べてみます、、

▽ 春高県予選・青葉城西高校戦にて、菅原がリリサで入ってトビオがスパイカーとなり得点するシーン
…これは完全に盲点だった。
近年はVリーグや代表戦でセッター対角のポジションとしてはオポジットを置くことが普通なので、セッターが後衛に下がった時にセッターとオポの2枚替え(或いはオポ→セッターの順でバックローにローテしたらチェンジ)という図式を見慣れ過ぎていた。
そうでした、そうでした。
かつては常に攻撃枚数を前3枚にしておくために(=バックアタックが当たり前じゃなかった時代)「ツーセッター」のシステムを取るチームがあったのでした。特に高校バレー。
最近じゃ高校生もバックアタックを打つので2枚替えをしてくるチームも多いのでこういうの、すっかり忘れていた。
そう、トビオにもスパイクを打たせればいいいということを!!!いや、何ならチームで3番目の高身長なのだからイザとなればブロックの上からディープポイントに打つ、とか余裕じゃん!!!
メンバーチェンジをして菅原がサーブを打ち、そのボールが烏野の自陣に戻って澤村がレシーブして本来ならトビオがセットに入るところ、後衛から飛び出したスガちゃんがセッターポジションに!!!その瞬間、烏野のスパイカーは5枚に!!!
そのテがあったかーーーー!!!
と、全然そんなこと思い至らなかった自分にズッコケた私でであった。
烏飼コーチの「やれる事は全部やる」のセリフを反芻し、ニヤリとしちゃったよね。

これ、先日のVNL(ネーションズリーグ)のポーランド戦で、日本のブラン監督が本来リベロの山本をリベロではないプレーヤーとして登録し、その試合でリベロだった小川と同時にコートに入れるという、超絶守備型&トリッキーなシフトを敷いた瞬間があったんだけど、その時の衝撃と同じ種類のべっくりだったんだよね。

ちなみに。
今はリベロ制度があるし、オポジットがポジションとして確立されているので、セッターが1本目をレシーブしたり、またはセッターの位置までボールが行かなかった場合、2段トスを上げるのはリベロだったりすることが多いんだけど、かつては(そして私レベルのバレーやってたら)セッター対角の選手(ライトプレーヤーて呼んでた)がセットすることが多かった。
ので、ライトプレーヤーはレシーブが上手い選手が置かれる事が多く、その意味では烏野高校のライトは澤村なのでこれについても本当に納得しかなく、(そもそも澤村はオポジットではなく日本女子代表で言うところの林琴奈みたいな役割)烏野高校が試合を重ねるにつれてジワジワと感動していた私なのであった。

▽  日向翔陽のポジションの妙
…これも(澤村キャプテンのポジションも然り)何度考えても天才の設定では?と私が思っているポイントで、多分、普通だったらマンガの主人公としてはエースアタッカーを描くんじゃないかな、と思う訳よ。つまりレフト、って言うかアウトサイドヒッター。しかしミドル。日向はミドルブロッカー。
ミドルってチームの中でいちばん高身長の選手が担うポジションな訳で、普通に考えたら日向の身長でミドルなんてじぇーーーったい的にあり得ないんだけど、確かにあれだけのジャンプ力あったらアリだわな、っていうのが物語の最初に据えられてたおかげでその後も説得力を持たせている。
クイックを日向とトビオとのコンビで完成させる、というのが物語の山が最初の方にあるのもマンガとしては最高なんだよ。
まぁ、「変人速攻」自体はリアリティがあまりないんだけど、その攻撃が進化して行く様はリアリティの宝庫だし、しかもそのジャンプ力を以ってして「最強の囮」としてチームの武器になっていく流れも完璧な説得力。
そう、あの身長では決してエースアタッカーにはなれないのだから。

で、で、で、ですよ!
このマンガは日向が高校一年生の時の春高バレーがメインのお話。にもかかわらず、主人公の日向は高校を卒業する時には完成された選手として描かれてはいない。むしろ試合を重ねるごとに自分に足りないスキルを自覚していくという描かれ方をしているんだよね。そこはちゃんと丁寧に描かれている。

しかし、そんな日向が高校卒業後にブラジル行ってビーチバレーをやる話になった時にも、私は「このテがあったかあああぁーーー!」とぶったまげたのでありました。
バレー留学をブラジルにしに行く、とかならまだ「なるほどですね」と思うけど、日向が選んだのはビーチバレー。
これは翼くんがサッカー留学するのとは意味が違う。
イタリアじゃなくてブラジルに行った理由はこれだった。

ビーチであればコートの中では自分の他に味方はもう1人しかいなく、レシーブにおけるあらゆるプレーのスキルを上げなくちゃだし、あらゆる場所からトスも挙げねばならない。ブロックやスパイクを仕掛けるネット際での駆け引きが必要になる。おまけに砂の上でのプレーなので、足腰も鍛えられる。
でもその日向がより選手としてより完成されていくエピソードを丁寧&詳細に描かれていないのが上手いんだよな。あくまでハイキューは高校の部活がメインの物語。でも、日向のブラジル修業は必須だったことへの納得感がハンパじゃないのだ。

バレーボールのスキルの為にブラジルでラウンドした後、日向は選手として一回りも二回りも強くなって日本のVリーガーとして帰ってくる。
帰国後日向が所属するのはムスビイ・ブラックジャッカルというVリーグのチーム。162.8cmだった身長は172cmになっていて、今度のポジションはセッター対角!!!(原作ではオポジットとなってたかも)
このリアリティよ!!
身長もポジションがアウトサイドヒッターになってるのも現実と照らし合わせて一切無理がないのが、本当にこのマンガのすごいところだ。

色んなスキルを身につけた主人公が、物語の終盤で上のステージへ上がり、そのストーリーのほとんどでプレーしてたポジションを変える、なんて展開のマンガ、中々ないのでは?と思ってるんだけどどうでしょう。
さらに物語の厚みとなっているポイントだわと思うのが、このマンガでは様々なプレーヤーが活躍するので、あくまで日向は常に試合に出続ける(いわゆるガチなスタメン)存在でもないらしいあたり、少年マンガというカテゴリーの中ではかなり稀有だと思うんだがどうでしょう。
私は最近のマンガ事情などが分からないので、この辺は私が必要以上に感激してるだけかもしれないが。

ていうか。
待って。
怖い。
もうすぐ5,000文字。

ので、ちょっとサクサクっと話を進めてみる。
上記の他の私的ハイキュー感激ポイントとしては、、

▽ 日向たち初めての春高挑戦の物語が試合に負けて終わるところ。主人公の日向に限ってはコートにも立っていない。なんならハイキューのピークがここに。
でもあるんだよ。こういうこと本当に。
春高の本大会で、コロナ感染者が出て不戦敗となってしまったチームがありました。

▽ 日向とともにもう1人の主人公的存在である影山飛雄が、選手としてずーっと日向より先を行くエリートとして描かれるところ。
おかげで日向は足りないところだらけなのに、トビオを追って県の選抜選手合宿に(潜り込んで形だけでも)参加するという話にリアリティを持たせられる。日向のブラジル行きの前フリにもなるもんね、天才。ちなみに飛雄の海外挑戦は王道のイタリアリーグ。このくだりも天才。

▽ 単行本24巻の時点で日本代表監督・雲雀田吹に「『日本、高さとパワーの前に破れる』なんて決まり文句はもう古い」と代表監督に言わせているところ。
これねえ…今だって国際大会で負けた時の理由として「高さとパワー」は耳タコで聞かされて来たやつなので、バレーファンの多くがこのシーン読んで「…待ってましたああああ!」となったはずだ。
そして日向や星海の存在が生き生きと描かれることで、雲雀田吹の名言中の名言「バレーボールはもっと面白いと証明しよう」と言うセリフがより活きる。何度も活きる。

▽ ハイキューはとにかく敗者の物語。負けて行く選手やチーム、なんなら監督さんたちまでが丁寧に描かれており、そこが本当に読み応えがあるんだけど、その文脈で言うと、高校を卒業してバレーを辞めて行ったチームメイトや対戦相手たちのその後の人生がポジティブに語られているところ。これが本当にすがすがしくて読み応えもあったりするのよ。
そりゃそうだ。皆んなが皆んな全員ずーっとバレーをやってる訳ではないし、でも辞めたからって脱落した訳じゃないし、彼らの人生がちゃんと続いていることを思わせてくれる。
本当に読者に親切なマンガだと思う。

▽ (冒頭でザックリと「敵キャラ」なんて言ってしまったが、厳密には違う)アルゼンチンに渡ってバレーボールを続けていた影山の先輩、及川徹が彼の地で国籍を取得してアルゼンチン代表チームのセッターになってオリンピック出場、のくだり。
私はすかさず堀江陽子という選手を思い浮かべたよね。日本人として日本で生まれ育って、大学までプレーした後にアメリカ代表のセッターとしてアトランタ五輪に出場した選手なんだけど、私もすごく尊敬していた選手。
つまり、及川の辿ったバレー選手人生、すでにパイオニアが日本にもいたってことだ。こういう話をさりげなくぶっ込んでくるハイキューの奥深さよ。

▽ 日向の憧れた「小さな巨人」宇内天満、実は選手として高校だけで彼もまた卒業後にはバレーやめていて、割とフツーの人として描かれているの、いい話だなって思う。
宇内のことを描き始めたらキリがないからかもだけど、日向にとって憧れの対象はそんなに長期間必要ないってことだ。必要なのは自分を超えて行くこと。これもすっごくナチュラル。

あと、地味に細かいことだけど、烏野高校が試合してるシーン、烏飼はあくまでコーチなので、タイムやメンバー交代する際は必ず監督の武田先生に断ってるのが「めっちゃリアリティ…!」ってなりましたので好きですね。

これ素晴らしい本だが老眼には非常に辛い。若者向けの本なんですね、、、了解しました

とまぁ、かように挙げればキリがないし、言っておきたいこともどんどこ溢れて来てしまうので、この辺にしておくけど6,000文字超えちまったね、、、怖。

中々文章もまとまらず、投稿するのに時間がかかってしまった。
でもやっぱりハイキューは楽しいな。
正直なところ、記憶ぜんぶ消してもう一度新鮮な気持ちでハイキュー読みたいです。
皆んなもそうだろ?


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