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空區地車の力学38.若中の人別帖「The 裏方」

地車は曳き手だけでは動きません。多くの裏方さんがいて初めて動きます。
例えば、若中の食事を担当する「まかないさん」、交通整理をする「警備さん」、子供会の父母からなる「子供会世話役さん」、地区とのやり取りをする「振興会」などなど、裏方さんがいなくては成り立ちません。
空區では裏方さんが50名ほど、綱の曳き手として子供会50人ほど、それに実際に地車に触れている曳き手や屋根方、鳴り物方、世話役がいるので、空區地車に関わる人はざっと300~400人います。住吉では8台の地車があるので3000人ほどが参加していることになります。

今回は地車巡行に有形無形に作用する「The 裏方さん」をご紹介しましょう。

2班から構成される”まかないさん”
私は子供会の綱を担当しているので裏方さんの一人ですが、実は相当な呑兵衛でもあります。しかしながら、地車が蔵出(宮出)して蔵入(宮入)するまで全く吞みません。子供会に万一のことがあってはと思うからです。その分、食事は美味しくいただいているので、「まかないさん」にはいつも感謝してやみません。

「まかないさん」には2班あります。空地区会館でひたすら料理を作る”料理人グループ”と、できた料理を軽トラで運ぶ”トランスポートグループ”があります。
”料理人グループ”は、ここ数十年変わらず同じ女性陣が担当してくれています。いずれも旦那さんが若中のご婦人グループで、旦那さんや自分の息子が若中に入ったことがキッカケで、朝早くから蔵入(宮入)後の21~23時まで若中の食事・飲酒の担当してくれています。
まじ、感謝しかありません。
ちなみに呑兵衛の私は、21時までは禁酒タイムなので、21~23時の気のおけない若中連中との酒盛りがとても楽しみです。

一方、”トランスポートグループ”は男性陣が担当します。こちらも数十年間リーダーを担当する大野さんの配下に、喪に服した若中が加わり、補給物資を運搬してくれます。
身内に不幸があった若中は、1年間「喪に服す」ということで祭りには出ません。その代わり”トランスポートグループ”の一員として裏方に徹するのです。

また、子供会の参加者は5歳位から小学6年生までなのですが、5月とはいえ暑い年は”夏日”となるので、水分補給は欠かせません。父母が同行している子供には水筒やタオルなど過剰なほどサービスが付きますが、父母が参加していない子供たちは注意しないと熱中症になることもあります。この辺りは子供会の世話役さんが臨機応変に対応してくれるのですが、加えて「まかないさん」はタイミングよく軽トラを走らせて、お茶やジュース、時にはアイスクリームやハンバーガー(フィレオフィッシュかエビバーガー※四つ足と呼ばれる牛豚は祭りに間は厳禁)を運んでくれます。
少子化の昨今、一人っ子には父母のサービスが行き届き、父母がご飯を作ってくれるのは当たり前と思っている子供も少なくないのですが、祭りを通してご飯や飲み物のありがたさ、ひいては父母のありがたさ、「まかないさん」のありがたさを感じる良い機会だと思います。
今はありがたさをわからなくても、自分が父母になったとき、必ずわかると思います。

子供は地車が大好き!

”警備さん”は、正真正銘・若中の一員です
「警備さん」も重要な裏方さんです。特に子供会の綱が出る空區では、車が横入りしないか警備が重要な役割を果たします。
「警備さん」は地車に2名つくのですが、警備員の衣装を着て、手には誘導灯を持っているので空區若中の一員であると理解していない人もいますが、「警備さん」も正真正銘・空區若中の一員なのです。しかも筋金入りの若中の大先輩で、かっては四役として地車を守ってきた方々です。

若中古参がいてこそ安全な巡行ができる

警備さんの1名の手には常にコンパクト拡声器が握られており、「地車が通りますよ!」「車を通すので若中はよけて!」などの実際とは1オクターブ高い機械音で警告します。
一日中、肉声の私にとって”拡声器”という文明の利器は羨ましい限りですが、私には在野の方があっていると半ば観念して大声を張り上げています。

この「警備さん」チームには本物の警察官が2名ついてくれます。警察官による交通誘導に従わない者は法律で罰せられます。警備さんよりも法的に数百倍格上なので心強い応援部隊です。

毎年違う警察官が2名、先導してくれる(感謝!)

この他、神戸市東灘区役所や消防署、最寄りの病院、住吉小学校、住吉中学校などの応援・ご協力も得ており、いざという時の緊急搬送も万全!安心して地車が曳けるのです。
裏方さんの存在は、地車巡行に有形無形に作用するのです。

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