空區地車の力学61.巡行コース選定とスケジュール立案は三役の専権事項
5月4日は「町曳き」といって、自分の區内を地車で回り「明日は本宮ですよ、皆さん神社に集まってください」と御触れをして回る前日祭になっています。
できるだけくまなく區内を巡り御触れを出さねばならず、地車の巡行コースとスケジュール立案は三役(責任者、副責任者、会計)の専権事項です。
とはいえ百数十年以上続く祭りですから、そう毎年コースを変えられるわけではありません。そう広くはない區内なので、相当練ったコース設定だと思っても、何年か前と同じコースということもままあります。
しかし思いの強い三役ほど新たな道を探すもの。最悪、逆回りするだけでも感じは変わるものです。
それほど曳き手にとって新たな道との遭遇はワクワクするのです。
私は子供会の綱担当なのでコース取りとスケジュールには特に気を揉みます。
道は狭いのか、広いのか?
坂道の四辻を曲がる場合、上りなのか、下りなのか?
”飛ばせ”をするのか、しないのか?
子供会の綱を出すのか、出さないのか?
休憩はどのタイミングなのか?
などなど、体力のない小学生の50人強の最大のパフォーマンス維持に、巡行コースとスケジュールは大きな影響を及ぼすので、決まるまでも決まった後からでも、本当にヤキモキします。
これまでは區内を知り尽くした地元出身のベテランが三役を務めていたので、コース選定やスケジュール管理は経験上でかなりタイトに決まっており、道中の調整もありほぼほぼスケジュール通りとなっていたのですが、その反面、女性や子供に対する配慮が若干足りない場合もあったように感じることもままあります。
最近は三役や四隅責任者が若くなり、女性や子供に対する配慮はあるものの、その一方で、何となくうまく巡行ができたけど「なぜスケジュール通り巡行できたか」「無理やムダはなかったか」の検証がなく、次年度に継承されることも少ないと感じます。
スケジュール通り巡行することで家の前で待つ氏子さんを待たせず、かつ氏子さんに最高のパフォーマンスで喜んでもらう。そして明日の本宮に来ていただき一年間の感謝と、次年度の無病息災、家内安全を共に願うこともできるのです。
さらに、アクシデントや天候不順にも前もって対処しておかねばなりません。
こうすることで無理、ムダな巡行をせずに済み、若中も子供会もケガなく笑顔で巡行できるのです。
そして、良い体験は良い思い出となり、翌年の参加にもつながるのです。
故に5月4日町曳きにおける巡行スケジュールとコース設定は三役にとって祭り前の大きな仕事であり、三役にのみ与えられた「専権事項」となっているのです。こう考えれば苦労するコース設定も楽しめるというものです!