ゴールから逆算してプランを進めた2015年ラグビー日本代表の記録
ラグビーワールドカップ2019の南アフリカ戦。
「ブライトンの奇跡」の再来とならず残念。
しかし初のベスト8を果たした日本の躍進は称賛すべきですね。
というわけで、今回紹介するのは
エディージャパン4年間の軌跡を追った長編ノンフィクション、生島淳著「エディーウォーズ」です。
著者プロフィール
生島淳
1967年、宮城県気仙沼市生まれ。
アメリカンスポーツ、ラグビー、水泳、陸上など幅広いジャンルのスポーツを取材。
「エディージョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」」や「箱根駅伝 勝利の方程式」など多数の著作があります。
文章の特徴は、技術描写より競技者の心のひだを重きに書かれています。なのでスポーツに詳しくなくても読むことができます。
概要
2015年ラグビーワールドカップ南アフリカ戦で史上最大の番狂わせを起こし、世界をあっと驚かせた日本代表。
徹底的な準備と過酷な練習で選手、スタッフ、自らを追い込む、指揮官エディージョーンズ。
約4年に及ぶ指揮官とチームの壮絶な戦いを選手、関係者30名以上に取材し明かされた一部始終。
第1章 エディー・ジョーンズ
第2章 マインド・ゲーム
第3章 スーパーラグビー・クライシス
第4章 ボーダーライン
第5章 カウントダウン
第6章 ゲーム・デイ
第7章 ドリームズ・カム・トゥルー
第8章 ラスト・デイズ
第9章 オン・ザ・ウェイ・ホーム
ページ数:236ページ
出版社:文藝春秋
感想
とにかく、熱い!
エディーさんはもちろん、選手、スタッフ全員が日本ラグビーの歴史を変えたい思いが熱量を帯びて伝わってきます。
ラグビーがわからない人でも大丈夫。
専用用語はあまり出てこないので、読みながら熱量を感じられます。
第4章のボーダーラインは、エディージャパンを凝縮しているエピソードなので、読みながら泣けます。
エディーさんのゴールから逆算してプランを進めていく考え方は読んでいて勉強になります。
無数にあるタスクの優先順位を戦略的に素早く定めていきます。
「2015年に世界のトップ10に入る」というとんでもない目標のために、やらなければならないことは無数にあったが
エディーさんの頭の中で明確なマスタープランが描かれていたので
どれから手をつけるべきか、素早く判断できたんだと思います。
「それはいま、ジャパンがベースで持っているものだ。いますぐ改善する必要はない」
「この課題は年間を通して取り組まれなければいけないものだ。次の年にビルドアップしなければいけないのは、これとこれ。」
「25パーセント以上効果が期待できないものに手をつけても意味がない。時間の無駄でしょう。」
特に受験を考えている学生さんには参考になると思います。
オススメな人
・進学を目指している学生さん
・ビジネス小説が好きな人
・W杯を観てラグビーが好きになった人
読み終えた時、勉強、仕事を頑張らなきゃと背中を押してくれます。
エディージャパンに関する書籍はたくさん出ていますが、本書は決定版とも言えます。
スポーツノンフィクションの中で有数の名著で、もっと評価されてもいい本だと思います。
新章を加えた文庫版も発売されていますので、ぜひ読んでみてください。