金武には、なにもない。だから良い。
金武には、何もない。
でも私は、金武の良さは「何もない」ところにあると思う。
チェーン店はほとんどない。飲み屋も数えられる程度。美容院だってそう。
昼ご飯を食べる店は、いつも同じだ。
コンビニよりもタトゥー屋が多い、それが金武。
私はそんな金武に千葉から移住した。
私は、金武の風景・文化・人・農業に魅力を感じる。
金武町の風景、特に並里区は私のお気に入り。
ところどころに「ガー(井泉)」があったり、平屋や瓦屋根が残る地域である。
橋の上から見える、広大な田芋畑は私のお気に入り。
40歳前後の方たちが言う。
「金武はなにも変わってないな」と。
良くも悪くも変わらぬままなのが金武の特徴だと思う。
金武の文化も面白い。
金武町は町の半分以上が「米軍基地」。
基地の前には「新開地」という、飲み屋街が広がる。
ほとんどが米軍向けのバーやごはん屋さん。
バーの中は、日本を感じない。
全員、映画に出てくるようなマッチョの米軍。
メニューはドルで、目からも耳からも入ってくるものは「英語」。
店員は沖縄の人がやってたりする。しかし、こてこての方言だ。英語より難しい。
千葉から来た自分には、刺激が強すぎるほどの異文化である。
普段からスーパーやビーチに米軍がたくさんいる。
私の彼はよくからまれる。
この前も釣りしてたら絡まれて、基地まで米軍を車で送っていた。
なんという非日常。面白くてたまらない。
沖縄でも金武しか見れない風景、それが田芋畑。
金武町といえば「田芋」。
金武町は田芋の国内最大産地である。
サトイモが田んぼで育てられている、日本を感じさせない風景が広がる。
ここはまるでハワイや台湾のタロイモ畑のよう。
私はこの風景に惚れ込んで移住した。
この風景を一人でも多くの人に見てほしい。
この風景に感化される人間は、自分だけではないと思う。
と周りの人に話すと、お前だけとよく言われるが。
金武はとにかく狭い。
全員親戚なんじゃないかってぐらい、みんな顔見知り。
現地民しか介入できない世界があるように思う。
良くも悪くも昔から変わらず残っている理由は、ここにあるだろう。
自分はこの昔ながらの文化が強く残る金武を面白いと思う。
超外部の人間である私を受け入れてくれた周りの人には、感謝しきれない。
自分はこんな癖だらけの金武が面白い。
沖縄、行きつくしたよ。って人には、おすすめ。
滞在すればするほど、町の見方が変わる。
来年の自分はもっと面白い金武を知っているのかと思うと楽しみ。