見出し画像

お菓子づくりのこと

初回を「ガトー・ショコラ」にしたことには意味がある。
製菓材料4大要素となる、「バター」「砂糖」「卵」「小麦粉」に加え、チョコレートというバター以外の油脂を多く含む素材が入る。お菓子の構造としても、卵黄と卵白を分け、メレンゲをつくることが含まれる。ベーキングパウダーなどで膨張させるお菓子のように、ただ、そのまま、加えていくものより構造のイメージが難解になる。火通りという点でも、「竹串を刺して生地がくっつかなければ大丈夫」という、しっかり火を入れてしまうものとは違うため、見えないところを想像する感覚が必要とされる。オーブンの中では、チョコレートが熱いわけだから柔らかい。余程、焼き込まない限りは竹串を刺してもチョコレートがくっついてくるのは当然です。
3種類のガトー・ショコラを通して、お菓子づくり全体の思考力をお伝えしています。イメージするということと、そこに整合性のある論理的考察。そこから、作業内容や材料の配合が選択されていく。お菓子づくりに興味がある人、すでに趣味でつくり慣れている人、お仕事でつくる人、「初回」である今回は、「ガトー・ショコラ」が好きかどうか、興味があるかどうかではなく読んでいただきたいし、ここを理解しないで製菓理論はわからないと思います。お菓子の種類は、ただの結果にすぎません。それは、最後に選べばよいことです。つまり、今日、何がつくりたい?何が食べたい?でいい。でも、お菓子づくりを学ぶ時点では、好き嫌いはあってはいけない。それは趣味にもならないと思います。大人の趣味は本気ですよね。お菓子教室に通うには、そこへ行く労力も、安くはない費用もかかります。それは本気です。つくりたいと思わないものは、理解した上でつくらなければいいだけです。それを無駄、と思ってしまう人は、本当の理解というものが理解できていないと思います。一部分だけを見ても、それ自体すら見えていないのです。すべては繋がっています。全体を理解しなければ、自由なお菓子づくりはできません。慣れでつくることしかできません。
「ガトー・ショコラ」は構造は簡単ではありませんが、作業はシンプルで、あまり、時間がかかりません。特に、ルセット2、3は、生クリーム、カカオパウダーも入らず、卵黄も泡立てない、焼成時間も短いですしね。砂糖を減らして、あえて、温かいうちに食べるというのもできます。バニラアイスでも添えればいい。このように思考していけば無限にルセットはつくれます。そして、「ガトー・ショコラ」を理解することで、お菓子づくりの素材と素材の関係性が理解でき、イメージを配合や作業へ具現化できる。「ガトー・ショコラ」を「ガトー・ショコラだけ」と思わずに、愉しく読んでもらえたらと思います。
お菓子づくりにおいて、大事なことを1つお伝えします。
計量以外は、ルセットを見ないこと。見ながらつくるとそれぞれの作業の合間に時間ができてしまいます。その間があることで失敗が生まれるケースは少なくありません。

たくさん読み込んで、
飲み込んで、
深く理解してから、
見ないで作業を最後までやることです。
覚えようとするから忘れるのです。
理解すれば忘れません。

いいなと思ったら応援しよう!

ごろうさん
ご支援、励みになります。いつも、ありがとうございます。