【短編推理小説】五十部警部の事件簿
事件その21
私立探偵の山本八郎と木田耕三の二人が室町アパートの302号室へ踏み込もうとした時、銃声が響き四人の男がその部屋から飛び出してバラバラに夜霧の街へと消えた。
直後、山本八郎がばったりと倒れ、彼は自分を撃った男の名を言いかけて果たさなかった。
逃げた四人の男たちはさる資産家の家から強奪した金塊を持ってそのアパートに隠れ海外への逃亡の機会を窺っていたのであった。
資産家からの依頼をうけた二人、山本と木田はその資産家の心当たりにある人名をたどって、警察の捜査より早くこのアパートにたどりついていたのだった。
現場に駆け付けた五十部警部と木田は旧知の仲であった。
木田が五十部警部に伝えた手がかりは以下の通りであった。
この四人はそれぞれ、太田種夫、秋山吾郎、山田等、谷城夫である。
この中の一人が頭目であり、一人が山本探偵を射殺した犯人である。
山田は以前から頭目に警察への内通を疑われていた。
秋山と頭目は共に谷の妹を情婦としている。
頭目と山本探偵の射殺犯は以前からの親しいコンビであり、
同じ刑務所へ服役していたことがある。
谷と射殺犯は一緒に強盗をしたことがあった。
さて、誰が山本探偵を射殺した犯人か分かるかな?
射殺犯は秋山。