【小説】【漫画】最近読んだアレやコレ(19.10.1)
なんかこうもっと気軽にnoteできるように、ガッと入力したものをぱっと出力できるこういう型式を作っといたら楽でいいんじゃないのかなあというのが本稿作成の動機です。最初はジャンプの感想でもしたためようかと思ったのですが、最近のジャンプは気が狂ったようなおもしろさであり、言及したい作品も多すぎるため(ハイキューワンピース鬼滅チェンソーマンゆらぎ荘呪術神緒アクタージュドクターストーン)、クソ長文になるなと思ってやめました。ハイキュー!!はここ二ヶ月恐怖すら感じる完成度とおもしろさで凄まじいんでみなさん読みましょう。週刊連載であれができるのははっきり言って狂気。人間の領域を越えている。
太陽の塔(1,2巻)/森見登美彦・かしのこおり
同タイトル小説の漫画版。ここ最近で一番の拾いもの。小説のコミカライズと言えば、私の中では志水アキ版百鬼夜行シリーズとスズキユカ版迷宮百年の睡魔が2トップなのですが、本作はそれに匹敵する傑作だと思います。画がいい。めちゃくちゃいい。愉快な語り口の向こう側で、宛もない鬱屈と激怒にぶるぶると震えるペン先。陽気な街並みの隙間にぼっかり空いた無間地獄のように深い穴。原作がはちきれんばかりに秘めたそれらの「油断のなさ」が、漫画として見事に翻訳されているのにはビビります。コミカルな画でありながら、その全てが震えるほどに恐ろしく、ただならず、ぐつぐつと煮えたっている。怖いぜ。最終巻が早く読みたいぜ。
この闇と光/服部まゆみ
ミステリ小説を構成するすべての要素が、物語として美しく昇華された瑕なき名品。あらゆる部品が美しく磨き上げられ、一つの設計思想の基に精緻に組み上げられているその様は、小説というよりも工芸品のよう。中でも、いわゆる「どんでん返し」のお話への組み込み方が素晴らしかった。真に優れた仕掛けは、驚きという瞬発性をもったエンタメだけに留まらず、理解の一拍後、読了まで継続する震えを読者の中にゆっくりと染みわたらせてくる。個人的には、京極夏彦の『陰摩羅鬼の瑕』を強く想起したのですが、その結末は全く異なるもので、その差異がまさに二作のテーマの差異にもなっていると思います。探偵/学者と創作者が必要とするものは異なるということ。
バビロンまでは何光年?/道満晴明
SFというジャンルを、発想をより遠くに飛ばす競技だと定義づけるならば、本作は連続小ジャンプを小気味よくキメてゆき、読者を追いこしてにやりと不敵に笑う……そんな作品でした。星間トラベルSFは人類のDNAに刻まれた神話の一つであり、私も『ルンナ姫放浪記』とか大好きで、本作も発売前から楽しみにしてました。楽しみにしてただけばっちり返してくれました。嬉しい。バシバシに強い個性を読者の脳に注射し、読者をラリらせたまま騙し抜くこの感じ、道満作品やっぱおもしれぇ~~~!!となる。時空も男女もユニバースも、もっと気楽に境界線の向こうに遊びに行こう。
こそあどの森の物語 水の森の秘密/岡田淳
こそあどの森の最終巻。……最終巻!?うそでしょ……落第忍者乱太郎も終わるしこそあどの森も終わるしもうだめだ……。ファッキューオーバーロード。俺の幼年期が終わっちまった……。自己や他者、環境や歴史。何よりも世界。目の前にあるものを、あるいは遠くにあるものを観察し分析することの楽しさと大切さを描き続けた物語がたどり着いたのは、それでも必ず世界には「ふしぎ」が残るのだということでした。そして、それは決して行き止まりではなく、かつてスキッパーがその調理法を見つけたように、それを理解するための新たな科学と言葉の出発点に他なりません。読了後、裏表紙裏の森の地図に今までの出来事が記されていることに気付いてボロボロ泣いた。