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【2019忍殺再読】「アイアン・アトラス・スペンディング!」

筋肉と暴力は縁起物

 年越しアイアンアトラスとかいうおもしろすぎるワードを生み出した、2018年年末の魔物。「ア・ニュー・デイ・ボーン・ウィズ・ゴールデン・デイズ」以来の年越しカウントダウンエピソードなわけですが、筋肉と暴力は縁起物なので、アイアンアトラスを持ってくるのはまっこと正しい判断と言えましょう。我が家には先祖代々正月にコマンドーを見るという風習があるので大変納得できる。しかし、いくらめでたいとはいえ、ヤクザの死体が山となりニンジャの内臓が炸裂してる横でコタツに入ってモチ食ってる絵面は完全に狂ってて凄いですね。ボンモー、年越しで浮かれすぎて倫理と道徳もすっ飛んでいる。最高。

 あと、アイアンアトラスシリーズって、「今この瞬間の楽しさ」を肯定するシリーズみたいなとこあるじゃないですが。漠然とした将来の不安を抱えたコミタくんが、今この瞬間の楽しさにごまかされて「まあいっか」となっちゃうお話ですし、主人公アイアンアトラスの無知能性はまさに、過去と未来を持たない(想像しない)獣のそれです。その、今この瞬間の楽しさだけを切り取るというシリーズのコンセプトが、年越しの瞬間を祝うというシチュエーションにバッチリハマってるんですよね。そういう真面目なつくりの面でも、「年越しアイアンアトラス」は最適解の一つだったんだなって思います。

ヘタクソ逆算ニンジャ大好き

 手からモチを出すな。何なんだお前はよ。テンペスターさんひどい。本当にひどい。手からモチを出して速攻退場してるし、完全に手からモチを出すためだけに生を与えられている。私、ジャンプの新連載第一話に出てくる、主人公に殴られるためだけに生を与えられたチンピラが大好きなので、テンペスターさんも大好きです。ていうか、「クルセイド・ワラキア」やら何やらを見るに、描きたいシチュエーションから逆算し、トンチキな要素を完璧な説得力をもってストーリーを溶け込ませることにかけて、ボンモーは本来世界一の腕を持っているんですよ。それなのに何ですかこれは。力任せに逆算したせいで、ニンジャトイがバッキバキに割れてんじゃねーか! いやーいいですね、ヘタクソ逆算ニンジャ。ブラックストライプスとかヘッドテイカーとかイビルヒーラーさんとかね。愛おしい。

未来へ…

 今年の年末はどうなのよ?、ですね。 ほんやくチームは今年こそ憩うのか、またなんか変なことをやってくるのか。「ア・ニュー・デイ~」が年越しタイミングにエピソードの最高点を持ってきたのと比べ、本エピソードはそこをさらっと流し、その後の年始の大騒ぎを重点してるのが印象的でした。と、なると、次のカウントダウンエピソードは、年越し前のパートを重点した内容が読んでみたいかも。ゆく年くる年めいたしっとりしたエピソードとか、紅黒歌合戦とかね。まあ、二年連続、エピソードをやるかどうかは微妙なところですけれど。

■note版で再読
■2019年12月11日