荒覇吐ってどこからきたの(お題箱から)
※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。
頂いたお題はこちら:
お題箱は休止中と伺っていたのですが、どうしても確認をさせていただきたく投書させていただきます。
カフカ先生が中原の中身にアラハバキをチョイスした理由っぽいものって不明でしたよね?
その答えの足がかり的な物を先日見つけました。
先日、文ストコラボをガン無視して横浜観光に興じていたのですが、人生で初めて氷川丸を見てまいりました。(いつぞやの謎解きラリーはトラブルで中断し行くことができなかったのです)
その際船内に神棚があり、埼玉は大宮の氷川神社のお札が祀られているのを見ました。
ここで「おや?」と思いました。
というのも、大宮の氷川神社といえば別ジャンルFGOにて「アラハバキ」が祀られていることが話題になった神社です。
ヨコハマの氷川丸にアラハバキを祀る神社のお札。
カフカ先生がアラハバキをチョイスした理由づけとしてはありそうな感じがします。
ひょ~!!そそられるお題!ありがとうございます!!!こういう話だいすき~~。
カフカ先生が選んだ理由ってまずもってわからないんですけれどもね。
なぜならこないだ高知の講演会のとき「中也が羊の理由」を聞かれて「版権絵を見てそう思ったから」って答えていらっしゃったようで。荒覇吐もそういう直感みたいな感じで、湯舟に足いれた瞬間に思いついたんじゃないでしょうかねえ。
作家さんの直感って、たぶん膨大な知識の積み重ねの上にフッと湧き上がってくるものなのだろうし、そういうのって人智を超えた説明不可能なものを含んでいるのではないかなあと。
榎戸さんは羊の理由を「羊水」って考えてたみたいですが、それは…それはエヴァ…
最近悟ったんですけど、作る側の理由付けって、案外その程度のものなんだと思います。それをわかってても、ファンは何かしらの深い意味を見つけようと理屈をこねくり回して遊んじゃうんですけどね。それらしい理屈を捻りだせたら自分がちょっと気持ちよくなれるから。
私もそういう自己満の世界で考察書いてますので、お遊びがてら今回も遠慮せずに暴走していきますよ~~!
氷川丸と荒覇吐のつながりを見つけたお題主様すごいです!
氷川丸知らないよって方のために、HP貼っときます。
横浜の山下公園に係留している船です。かつては豪華客船としてチャップリンなどを乗せて運航したことがあるのだとか。戦時中には、病院船や引揚船として多くの兵士を運搬し、戦火などの荒波も沢山くぐり抜けてきた船のようです。
文ストにもたびたび客船って出てきますよね。
梶井が檸檬爆弾を落としたギルドの客船だったり、フィッツが探偵社にプレゼントしてくれた客船だったり、福地と敦たちが戦ったボズヴェリアン号だったり、いくつか出てきますが、どれも米国船籍や英国船籍っぽくて、見た目も氷川丸とは違っています。
そんな中で、氷川丸と文ストのつながりを氷川神社に発見してこられたお題主様、何度もいうけどすごい~。
ストブリのエピグラフってやたらめったらかっこいいじゃないですか。
航海が象徴として使われているので、中也という人格が羅針盤となって、荒覇吐という嵐を乗りこなしていく、みたいな感じで中也という存在そのものが船であり航海であるような捉え方もできますね!
氷川丸に置いてある羅針盤も意味ありげで素敵です。
さてさて、ここからは氷川神社と荒覇吐のつながりについて探っていこうと思います。
お題主様が言うように、氷川丸には氷川神社の御祭神が祀られています。
氷川神社はいくつかの神様を祀っていて、主祭神はスサノオノミコト。スサノオってヤマタノオロチ退治でめちゃくちゃ有名ですよね。
こんな感じ。どどん。
はいー。龍とタイマンで戦ってるー。剣をぶっ刺してるー。
で、あれを思い出しません?
赤い龍のお口に巨大なビルをぶち込んだナカハラさまを。
つまり中原中也とは、スサノオノミコトの一面を持つ男。
スサノオはとても荒々しい神だったようで、スサノオが歩くと「山川悉に動み、国土皆震りき」と古事記には書かれているので、ドッカーン!ドッシーン!なナカハラさまとイメージぴったり。日本書紀でも嵐のように暴力的な存在として描かれています。
氷川神社は主祭神こそスサノオノミコトですが、中也が裏側に荒覇吐を抱えているように、氷川神社も門客人神としてアラハバキを祀っています。
あんまり口で説明しても伝わらないので、実際に訪問された方のレポを見てぜひイメージを掴んでください。
ということですので、氷川神社にはもともとアラハバキ信仰があったけれど、大和朝廷によってアマテラス信仰が広められていく過程で、スサノオノミコトが後から主祭神として祀られていったみたいな感じですかね。
アラハバキ神とは?についてはこっちの記事でもわかりやすく解説されているので、よろしければ。
日本神話の正史には登場せずに、伝承だけで縄文時代から長きにわたって伝えられたきた土着の神様アラハバキ。
文ストでも『十五歳』において荒覇吐の正体を探っていく過程では、噂や風評のようなものが多く登場し、人々の信仰の結果として「荒覇吐」という名前が付けられていったり、目撃情報から存在の輪郭が浮かび上がっていった感じがあります。
ということで、スサノオノミコトとアラハバキの両方を御祭神としている氷川神社、すなわち横浜の氷川丸は、中也とハチャメチャにつながりが深そうなことが判明しました~!おもしろ~い。
スサノオノミコトといえば、ヤマタノオロチの尻尾から天叢雲剣を取り出したことでも有名ですが、天叢雲剣って漫画でよく雷とか雨呼び寄せてるやつじゃん?って思うと、福地の雨御前ともなんか繋がってそうで気になります。
余談ですが、私が昨年ハマったもののひとつに諸星大二郎というのがありましてですね。『暗黒神話』にとてもやばーいスサノオノミコトが登場するので、怪しいお話が好きな方にはぜひおすすめしたい。暗黒球ならぬ暗黒星雲が出てきたりして色々と妄想が広がって楽しいです~。
文ストってキリスト教のイメージ強いからそっちばっかり考察してきましたが、日本神話あたりから探りを入れてみるのも新しい発見がありそうでいいなあと改めて感じました。
とってもおもしろいお題を頂き、ありがとうございました~!!
<お題主様から追加のコメントを頂きましたので掲載いたします!>
氷川丸の話を投書した者です。
とりあげていただき嬉しく思います。
勢いのままに投書したので足りなかった蛇足を記させていただきます。
ガン無視していただいても構いません。
おそらくは調べてると思いますが、氷川丸はそもそも造られた場所も横浜だそうです。
場所は現在のドックヤードガーデンがある場所。ちょっとばかりびっくりするくらい深く造られています。
中原もまた異能者としてヨコハマで造られた存在。異能者として生まれた場所である擂鉢街もまた中心が深く抉れている場所です。しかも海が近い場所。
そう思うと似てる。
また氷川丸を繋留している鎖は見た感じでは7本。(海に6本、港に1本)
15歳・ストブリにおいて中原の周りで亡くなったマフィアの大切な人は蘭堂さんと旗会の5人で海の6本。
そしてポートマフィアの首領として尊敬する森さんで港の1本。
もう行こうと思えばどこでも、それこそ親元へだって行けるはずの中原を横浜に繋ぎ止める7つの繋がりとも取れます。
まあこればかりは余りにもこじつけくさいお話ですが。
兎に角、こじつけだの考察だのが大好きなオタクとしては「中原はとても氷川丸だなあ〜」なんて思った次第です。
オーバーに言うとですが。