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【本誌102.5話】人外魔境 其の壱 後編 感想&考察

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
ヤングエース20228月号のネタバレを含みます。

今月の本誌は、そうだな…割と微風だったな。
それでも、だらだらと感想書きます。 

■福地について 
今回の本誌は語ること少なめなので、これを機に福地について語ってみる。 

福沢は理性の人間だけど、福地は情の人間な気がしている。 
確かに戦略眼はあるけれど、それを冷徹に実行する意志が弱めというのが個人的な解釈。 

戦争を経験して、それが辛かったという感情を持つのは、本人の中に厚い情や優しさがあるからであって、本来福地みたいな人間は悪役には向いていないと思うのだよね。 
悪役になろうとして、なり切れていない感。 
そのくせ異能はすこぶる強い。 

意志が強く精神もブレなければ、そこに何かしらの共感や同調や憧れのようなものが生まれるけど、それがない分、内面が空白のまま異能の強さにだけ振り回されているなぁという感覚。 

福地もドスも同じように「より良き世界のための悪」を体現する人物だと思うんだけど、ドスは余裕しゃくしゃくで血を踏み越えるのに対し、福地は情に支配されて血を踏み越えられていない。 
吸血種化もそうで、本来ザックリ殺せばいいものを、殺しきれないから吸血種にして半殺し状態にしているのであって、やっぱり福地の優柔不断さは際立っている。 

悪役には非人間的な思考を求める心理があると思うんだけど、福地はむしろすごく人間的だし、そこがドスと対照的な気がする。 
悪役が情に厚い優柔不断な設定というのは変化球でおもしろいなぁと思いつつも、ストクラさんの反応見ていると、やっぱり共感しづらいんだろうなぁというのが正直な印象。 
人間性と目的の間に矛盾を抱えているキャラは入り込みづらいよね。 

そんな福地さんを先生が最後どう調理されるのか、とても気になります。 
個人的には、福地の自滅か、福沢の説得で折れるか、なんかそんなような結末が、福地らしい結末かなぁという気もしています。 

福地が説得されたりして目的を諦めた後、じゃあこの五衰編の騒動って一体なんだったんだよ、全部茶番だったのかよ、って皆が突っ込んでいる中、ドスくんが「にまぁ」って笑って五衰編の真の目的を明かすっていう展開を待ちわびている。 


■福地の史実 
史実の福沢と福地は天下の双福と言われるほどの二大巨頭だったようですが、福地さんご本人も意志の弱さや一貫性のなさが目立っていたようで、そこが福沢ほど名を残すことのできなかった所以だとも言われているようです。文スト的に言えば、才能はあったが魂が迷っていたっていうところかと。すこぶる強い異能(才能)を持っていながら、優柔不断な魂により、何も成し遂げることのできない様が描かれていくのは、史実に照らし合わせるととても合点がいきます。 


■文vs芥川 
福地の指示が「ブラムを連れ戻せ」だけだったら、芥川は今頃ブラムを担いで速攻でその場から離れて福地のもとに連れていけたのに、「盗んだ犯人は殺せ」という目的達成に本来必要のない指示を(感情任せに)出したことで、文ちゃんを殺そうとする間に探偵社の救援が入ってブラム奪還に失敗するとかだったらいいなぁと思う。 
とにかく福地が自分で自分の首を絞めるのが見たい。 

ちなみに文ちゃんは、異空間に転送されたか、誰かが助けにきてくれたかで、無事なんだと信じてる。 
しかし異空間に転送されたとしたらブラムは置いてけぼりの可能性が高そうなので、それはそれでヤバいやつですね。 


■燁子について 
燁子の真の目的は今月も明かされず。 
燁子と福地の無線通話、この内容だけでは燁子の本心はわからない。 
猟犬としての仕事をしているように見せかけているだけかも。 
敦を捕獲したことを報告していないのがすごく気になる。 
ひとこと「ターゲットは捕まえた」という言葉があってもいいはずなのに。 
敦の捕獲は福地の計画ではなく、別の計画に則って行われていることを匂わせているような。 

福地でもなく、探偵社でもない、第三者の計画。 
特務課、政府の上位機関、というのも考えられるけど、すごく意外な筋でドスとかギルドとか欧州と結託しているというのも面白い。 
実は燁子は福地を監視するための間諜だった的な。福地大好きは全部演技だったとか。 



■空港内の位置関係 
背景になんやらかんやらアルファベットが描かれているのが以前から気になっていたのでここで一旦整理。 

賢治が文ちゃんの応援に駆け付けたのは、エリアA。 
そのまま鐵腸との戦闘に入ったので二人が寝てるのもその付近? 
燁子と敦はエリアBで会話。その後どこかの機械室へ。 
国木田と谷崎はエリアGにいる。 

文とブラムが逃げ込んだトラックは駐車場(B階?)の7番付近に停車。 
社長と乱歩は122R滑走路。この二人ほんと滑走路でなにやってるんでしょ。 


■国木田と谷崎 
鉄板コンビで来ました。このコンビ見るとなんかほっこり安心する。 
谷崎の身体がそこにないということは、どこかに攫われたか、アンの部屋的な異空間に転送されたと考えるのがそれっぽい気が。 
アンの部屋、ポオの小説、谷崎の幻像が有力候補だけど、新しい異能者という説にも期待したい。 
ちなみにポオの異能のすごいところは、異空間を展開できる数に限りがないことと、誰でも持ち運びできることだと思う。 
アンの部屋は一つしかないけど、ポオは小説の数だけ異空間を展開できるから、一人ずつ小説を手に持っておけば、いざという時の緊急避難先として使える。心強い。 
だけど、小説を破壊されたら終わりなので、その辺は絶妙な感じで制約がかかってるのよね... 
谷崎の靴に小説が隠されている...?それはないか。 

文ちゃんが芥川に襲われた数分前に、谷崎が消え、国木田が福地と会敵しているので、もし谷崎と同じ方法で国木田も異空間に転送されたなら、その後、同じ流れで文ちゃんも異空間に転送された可能性はある。 
国木田が「谷崎?」と言いながら振り返るシーンで、妙に主張してくる背景の「P」の扉、つまるところパーキングへの出口。 
文ちゃんの居場所は近いですよってことなのかな。 

「文の姿はあるか?!」という国木田のコマと、「谷崎?」という次の頁のコマでPの扉の上に矢印があったりなかったりするのは、これは気にしなくていいやつですか?それとも幻像かなにかのサインですか? 


■おわりに 
一連の出来事の裏に「燁子を中心とした何かの策略」と「乱歩の敷いた戦略」が隠されているんでしょうけども、まだどちらもよく見えず。 
今回も一見地獄だけど、至る所に文ストらしいギミックが効いていて良きでした。 
燁子が鼻を掻いてやろうかと言って剣を突き出す絵図は好みすぎて痺れた。 

進みが遅いという見方もあるけれど、駆け足で進んで早々に完結されても死ねるので、ゆっくりじっくり進めてもらえるのは個人的には有難いです。 
本誌がゆっくり進む代わりに、過去編や外伝を小説で沢山出してくれれば何も言うことはないのです。

今月の本誌が短く感じたのはきっと福地の索敵についての説明が長かったせい。しかも結局よく理解できなかったぞ.....時空間超える系の話はやっぱり難しい。面白いから好きだけども。

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