1000字の統計学入門講座~仮説検定の気持ち(考え方)
質問✋
統計学が客観的な証拠を掲げる強力なものであることは分かりました。
でも「それでもやはり奇跡を信じる」と言う相手は納得させることが出来ないのでしょうか?
統計学の基本中の基本、仮説検定の本質をついた質問ですね。
今日のテーマは、仮説検定の考え方です!
仮説検定は、「このサイコロが公平に作られているか、細工されたものかを判断したい!」というような、偶然性が介入する問題に何らかの判断を下すための方法です。(①②)
さて、10回連続で⚅が出るようなサイコロは「インチキだろ!」と殆どの人が判断するでしょう。このとき頭の中はこんな感じだと思います。
❝公平なサイコロならそんなことは起こるはずない! ⇒サイコロはいんちき!❞
この思考を確率を使って整理すると・・・
【STEP1】公平なサイコロだと仮定して、そんなことが起こる確率を計算したら0に近い値になった
【STEP2】常識的に考えて起こるはずない
⇒公平なサイコロじゃないから起こったのだ、と判断
仮説検定は、私たちのこういった素直な思考回路に基づいた意思決定の方法の1つです。
では具体的な方法を説明します。まずは【STEP1】から。(③)
この確率計算による数値に誤りはありません。
ただ、その確率を見てどう考えるかは、もはや数学の問題ではなくなります。
ここからが【STEP2】です。
どんなに小さい確率であっても0でない限り、必ず「奇跡を主張する派」が存在します。また、この人達が完全に間違いとは言い切れない。
それでも、何らかの判断・決断をしなければならないときは、習慣や経験・常識などから人工的に線引きをする必要があります。例えば、0.001以下の確率が出た場合は小さすぎるとして却下するとか、もう少し厳しく0.01以下の確率が出た場合は小さすぎるとして却下する、というように。いずれにせよ0.0000000165…は余裕で却下されます。
詳しく見てみましょう。(④⑤)
もちろん、公平なサイコロだとしても奇跡的に10回連続で⚅が出ることもありえます。棄却したことが誤りである危険性を含むという意味で、この0.001、0.01という基準の確率を危険率ということがあります。高校程度の確率計算が出てきますが、計算部分は分からなくてもここでは文脈上問題ありません!(⑥)
最後に、冒頭の質問の答を考えてみました。
「奇跡主張派を黙らせることは出来る(納得しないかも知れませんが)。」
ではまた👋