「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」楠木建
2010年発行、帯にあるように25万部突破というベストセラーなビジネス書。2020年7月時点で第31刷発行ですって。すごい!
この本を読むきっかけは、 「経営とデザインの幸せな関係 」(中川政七)の中で触れられてたため。
この「経営と〜」も仕事に直結、実践的で役立ったけど、本題の「ストーリーとしての〜」もとてもおもしろかった。
分厚さにちょっと怯むが、全然読み進められる。
著者もおもしろく書くことを心がける、と前書きで宣言してる通り、
実際ユーモアすら効いてておもしろく読めた。
「戦略」という言葉って苦手意識があったのだが、全編丁寧に繰り返し繰り返し説明されると、よーく分かりましたw!!という感じに染み込んでくる。
戦略とは「違いをつくって、つなげる」ことだと。競合他社との違いを際立たせて、かつそれらがつながり組み合わさり相互に作用する中で長期利益が実現される、と。
一つひとつの要素(戦術と言えると思う)がうまいこと絡み合って(それは希望的観測とか外的要因で「こうなるといいな」ではなくて、「こうするとこうなる」「すると次はこうなる」という必ずや繋がる因果関係)、
全体としてゴールに向かって動いていくイメージ。
それはなのでつまらない静止画ではなくて、イキイキして面白くて、ついつい話したくなってしまうようなストーリー、つまり動画状態なものであるべきだ、という。
筋の良いストーリーとは、流れと動きが重要で一貫性のあるもの。良いストーリーとは強くて太くて長い話だよ、と。
そして、戦略ストーリーの基点となる「コンセプト」と、ストーリーのキラーパスとも言える「クリティカル・コア」がカギとなる論点だよ、と。
この辺りも、スタバやブックオフやデルなどの具体例を示して何度も何度も説明してくれるので、だいぶだいぶ理解できた気がする。
実際に仕事に活かせそうだもの。
一番ページ数を割いて戦略を読み解いているガリバーインターナショナルなんて、これまで1ミリも気にしたことのない会社だったけど、面白いなーと思って。感心しきり。
最近気になっている木村石鹸 の木村社長の紹介される本が、どれもおもしろそうでどんどん買ってしまうのだが、木村さんもこの「ストーリーとしての〜」は
「今もこの本は年に1度ぐらいは読み直してて、自社の事業や戦略の組み立てにすごく参考にしている。全然10年経っても、まだまだ新鮮だ。」と書かれていた。
そういう経営者は多いのだろうな。
このところ経営者とプロジェクトを進めることが増えていて、そういうのもあって意識的に経営の勉強をするようになってるけど、この本は面白かったしすごく本質的な気がしたので満足!