『あさが来た』で見つけるごちそう。ジャニーズWESTの魅力
"ジャニーズの熟成食材"と私が勝手に呼んでいるグループがある。今日、そのグループのひとりである桐山照史がNHKの朝ドラ「あさが来た」に出演を果たした。
グループの名前はジャニーズWEST。デビュー順で数えるとジャニーズ内では末っ子だが、個々人の下積みは10年近い。個性も豊かで実力もある、うまみたっぷりの高級食材のような人たち。しかし彼らが「発売」されたのは、つい1年前のことだ。
少し話は脱線して、新卒の就職活動で必ず聞かれる質問がある。「学生時代に頑張ったことはなんですか?」というお決まりのやつだ。この質問は志望者の実力の再現性を測るために用いられる。頑張った内容やその過程、方向性が評価に値するものだったり自社と似通っているものであれば、入社後もその人はうまくフィットして活躍してくれるだろうと見込んで採用する考え方である。
就職活動に照らし合わせたとき、ジャニーズWESTのメンバーはどんな会社も欲しがる人材だろう。後輩がどんどん自分たちを追い越していく中でも腐らずに努力を続ける力。デビューが決まったときには、それまで苦楽を共にしてきた仲間が外されると知って社長に直談判し、デビュー発表後にメンバーの人数を変更するどんでん返しを起こすほどの仲間への思いやり。そしてデビュー後も驕らず、フルマラソンから朝ドラまでなんでも挑戦するハングリー精神と、ファンへのホスピタリティ。
そんな人間がもし面接に現れたら、自分が人事なら間違いなく採用したい。
長くファンをやっているわけでもない私のような部外者の目には、彼らは仮に一般社会でふつうに学生生活を送りふつうに就職し、ふつうに働いていたとしてもきっと活躍していたに違いないと思わせる人材に映る。そんな人たちが7人もいる集団ってすごいなぁとまず純粋な感想を抱く。
しかし。
それだけのタレント性があるなら、わざわざ10年も「アイドル」という箱庭に甘んじ続けなくて良かったのでは?という疑問が湧く。他にもっとお手軽に、すぐに活躍する道もあったはずだ。
昨今アイドルの脱退や卒業は日常茶飯事で、留学に行きますとか勉学に専念しますとか理由をつけて次々やめていく。有名グループに所属していたにも関わらず、脱退してそれを就活のネタに一流企業への内定を獲得した猛者もいる。奇しくも先日、同じジャニーズのグループKAT-TUNの田口淳之介も脱退を表明したばかりだ。
その上、芸能界の華やかさは過去のものになりつつある。アイドルという肩書を持ち、CDデビューしただけで成功が約束される時代は終わった。カッコつけていれば、甘い言葉をささやいていればファンが勝手に増えるなんてことはありえない。
そんな厳しい状況で、有り余るタレント性を持ちながらも、ジャニーズWESTというグループはあえてアイドルの看板を背負う覚悟を持っている。そもそもグループ名に「ジャニーズ」を冠するのは実は事務所内でジャニーズWESTだけだ。東京ではなく「関西ジャニーズ」という、ともすれば亜流やネタ枠扱いされそうな彼らこそが、ジャニーズ of ジャニーズを名乗っているのだ。
「アイドル」の概念は日々多様化、陳腐化している。今やスマートフォン一つで「アイドル」を名乗ることができるし、動画サイトやSNSでカリスマ的人気を集める素人と、「アイドル」でありながら日々の生活にも苦しむ者が並立する世界にわたしたちは居る。そんな不安定な世界に、こんなにも実力を持った人たちが腐らず常に上を向いているのだから、ずっと応援してきたファンにしてみればこれから先もワクワクして仕方ないのではないだろうか。
朝ドラで「見つけた」皆さん、まだ遅くないので売り切れる前にご購入はいかがでしょうか?
photo『Mmm... steak and lobster』 by jeffreyw