さゆもも

道重さゆみに見る「自称カワイイ」が許される条件

なんで道重さゆみが「私、カワイイ!」って言うのは同性に支持されたのに、嗣永桃子(ももち)は支持されなかったんだろうね?

この素朴な疑問、答えられますか?

確かにこれは世の女子にとって実に重要な命題だったりする。一時期は「女が嫌いな女」ランキングにも名を連ねた道重さゆみさんが、なぜあれだけ同性の支持を得て惜しまれながら卒業していったのか。それが分かったら大発見だ。なんてったって女子が実は一番欲しいものは、異性じゃなくて同性からの好感なんだから。

顔が可愛ければなんでも許される、ワケじゃない。

というわけでマジメに道重さんと嗣永桃子さん(ももち)を比較しようとしたのだけれど、2人を思い浮かべてまず思ってしまった。あ、やっぱ顔かも。

性格や自己プロデュース以前の話をすると、そもそも顔面偏差値がよっぽど高くない女の子が自称可愛いアピールをしても、勘違いするなブスと社会に抹殺されるのが当然である。当たり前のことだけれど、「自称カワイイ」が支持されるためにはその市場でウケる顔立ちでないといけない。

確かに道重さんがモデル系統の美人顔をしているのに対して、嗣永桃子さん(ももち)は童顔寄りで素朴な顔立ちをしている。女子ウケという観点で見ると嗣永さんはちょっと不利かもしれない。*

なんでこんな当然のことをわざわざ書いているかというと、それなら顔が可愛ければ良いのか?という話になるからだ。そんな訳ない。

「女子ウケするモデル顔でアイドル」の条件を満たしているタレントは他にもいる。その筆頭は乃木坂46の白石麻衣さん。彼女はグループで常に上位人気を保っているだけでなく、女性ファッション誌『Ray』の表紙を飾る人気モデルでもある。

じゃあ白石麻衣さんも自称可愛いアピールが同性に支持されるのか?

多分そんなことはないだろう。女子ウケする顔立ちだけで自称可愛いが許されるなら、道重さんが「女が嫌いな女」ランキングに名を連ねた理由が説明できない。

支持したほうが得だ、と思わせたら勝ち。

「自称カワイイ」が支持される2つ目の条件は、支持せずにはいられない物語を背負っているかどうかである。

「こんなに可愛い子がこんなに努力して頑張ってるなんて、そりゃ自分のことカワイイって言ったって許されるわ。むしろ叩くなんてどんだけ性格悪いの!?」

はい、こう思わせたら勝ち。

意地悪な言い方をすれば、支持したほうが得だと大衆に判断されられるどうかが最大のカギとなる。この点において道重さゆみが持つストーリー性は比類ないものだ。

グループ内で自分だけが20代半ば。周りはみんな10代で、若さも体力も覚えの早さもずっと上。そんな子たちに混じって生歌とフォーメーションダンスというハイレベルなパフォーマンスを披露するために毎日必死でレッスンに励み、10代のメンバーにも負けない可愛いさを保つ努力を惜しまない。そして唯一グループの黄金時代を経験し一定の知名度を持つ身でありながら、「私個人じゃなくて、今のモーニング娘。を知ってもらいたいんです」という低姿勢で孤軍奮闘する。こうして得た結果が数年ぶりのオリコンチャート連続1位獲得であり、満員の横浜アリーナ卒業コンサートである。

単に「私、カワイイから〜」と言うだけの、女が嫌いな道重さゆみが持っていなかったのは、同性の共感を呼ぶ健気で地道な努力の物語である。こんなに頑張る女の子を叩いたらそりゃ性格悪いよねと誰もが納得する程の。

そう思わせたら勝ちだし、彼女にはこの美しい物語を紡いで世に知らしめるまでのアピール力があったということだ。

実は本人がおおっぴらにしないだけで、嗣永桃子さん(ももち)も知る人ぞ知る超ストイックな人物なのだけれど、彼女がそんな別の顔をテレビで見せることはない。あくまで「ももち」のキャラクターを貫くことをポリシーとしている。ただそういう影の努力を知って彼女を応援する人はたくさんいて、それがアイドル歴10年という嗣永さんのキャリアにも繋がっているのだと思う。

嗣永さんと道重さん、ふたりとも背負う努力と驚異的な自己プロデュース力があり、ただしそれぞれ違ったやり方で自分を世に知らしめている。こんな人間の生き様を目撃できるのが、他にはないアイドルの魅力でもある。

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