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非アイドルファンでも楽しく読める 朝井リョウ『武道館』用語解説

もしかしてこの本って多少はアイドル事情を知らないと読んでも全然面白く無いのでは…?と思ったので、用語やパロディの元ネタを解説してみました。普段アイドルに興味がない方も、これで楽しく読めるはず!?

★本書を読んで書かせて頂いた感想はこちら。
"正義の暴力"がアイドルを潰す- 朝井リョウ『武道館』 感想

順番は用語が登場するページ順になっています。それではスタート!

p.10 親子時計

元ネタは「美人時計」。一分ごとに今の時間が表示されたボードを持った美女の写真が時を知らせてくれるwebサービス。派生サービスが多数存在する。

p.15 密着カメラ

『Document of AKB48』のパロディ。AKB48グループでは舞台裏や楽屋の様子をカメラが完全密着しており、その様子をドキュメンタリー形式でまとめて劇場公開している。レッスンに励む様子など前向きな場面だけでなく、メンバーの卒業やスキャンダルまで全て記録しているのが特徴。

p.18 ダブルセンター

アイドルユニットのパフォーマンスにおけるフォーメーションのひとつ。通常のセンターでは1人のメンバーが中心に立つが、ダブルセンターでは文字通り2人になる。代表的な例はSKE48の松井玲奈と松井珠理奈。

p.19 観客数を調整した日本武道館コンサート

文中にもあるように、日本武道館でのコンサートは観客数の調整が可能。実際に客席を半分程潰して開催されたコンサートは「武道半」とも揶揄された。

p.27 YouTube公式チャンネル

多くのアイドルはプロモーション目的でYouTubeに公式チャンネルを開設し、PVや舞台裏映像を配信している。各動画には再生数が表示されるため、人気のバロメーターになることもある。文中の「300回以上の再生」とは動画公開直後に急激なアクセスがあったことを表している。YouTubeの再生数は動画の公開から一定時間が経たないと正しい数が反映されないので、それまでは「〜回以上」という表現が用いられるというルールが存在するためである。

p.32 安達真由

モーニング娘。’15のメンバー、鈴木香音がモデルであると作者が明言している。パロディにされている点はオーディションでコントを披露したことや、加入後の体型の変化とそれに伴うネット上でのバッシング。(※鈴木香音さんは2015年現在、カバー写真右の通り着々と痩せております。)

p.47 丸刈り事件

AKB48のメンバー、峯岸みなみが自身の恋愛スキャンダル発覚を理由に髪の毛を丸刈りにし、その姿で謝罪した動画が公開された事件。

p.51 プロモーション期間

オリコンのウィークリーチャートにランクインするための施策。発売日前にCD予約を条件とした握手会などのキャンペーンを行うことで、発売日に大きな売上を計上できる仕組み。アイドルユニット仮面女子はこのプロモーション施策をCDリリースの2ヶ月前から行い、メジャーデビューシングルを週間チャート1位にランクインさせた。

p.81 たこ焼きパーティー

モーニング娘。’14のパロディ。道重さゆみの卒業を控えたオフの日に開催された、メンバー全員でのたこ焼きパーティーである。歴代のモーニング娘。ではメンバー全員がオフの日に集まる(しかもメンバーである飯窪春菜の祖母宅で開催された)ことは珍しく、メンバーの仲の良さが伺えるエピソード。

p.93 fruit=fruit

ハロープロジェクトの若手ユニット、juice=juiceのパロディ。

p.95 月曜日のCDリリース

オリコンのウィークリーチャートの計測曜日を逆手に取った施策。オリコンの売上カウントは火曜日分から始まるのでCDリリースはその日に合せられることが多く、逆に月曜日はCD購入者が少なくなる。

p.101 握手券

文中にもあるように「推しメン」と握手するためにファンは該当メンバーの握手券を入手する必要がある。基本的に同じグループのファンであれば事情はみんな同じなので、金銭のやりとりが発生しないようにTwitterなどで交換を募って握手券を融通し合っている。オークションで出品されている場合はその落札価格も人気の指標のひとつになる。

p.102 サムライ

女性アイドル界の有名ファンのパロディ。

p.113 MP3

YouTubeなどの動画サイトにアップされる音源や動画はクオリティにばらつきがあるため、投稿者がタイトルに明記していることがある。
例)【mp3】,【HD】

p.136 ワゴン車移動

ももいろクローバーのパロディ。ブレイク前のももクロは地方巡業をワゴン車で行い、車中泊をしていた。

p.140 握手会事件

元ネタはAKB48の握手会会場で発生した事件。参加者を装った犯人にメンバー2人が切りつけられ重傷を負った。事件後は各アイドルのイベントが自粛され、再開後はセキュリティが強化された。

p.142 授業参観

さくら学院のパロディ。メンバーは全員が小中学生であり、中学卒業と同時にグループも卒業することが特徴。スタッフを「職員」、ファンを「父兄」と呼ぶなどコンセプトが徹底されている。

p.184 池袋のイベント会場

池袋サンシャインシティ内にあるイベントスペース(噴水広場)が元ネタ。吹き抜けの会場でサンシャインシティの他テナントにも面している。そのためアイドル目当てのファンだけでなく一般の買い物客への訴求も可能であり、新曲リリースイベント会場として人気が高い。

p.207 過呼吸

『Document of AKB48』の一場面のパロディ。真夏のコンサート中に当時センターだった前田敦子が過呼吸を起こしてステージに立てなくなり、ドクターストップがかかった。しかし前田は奇跡的に復活してパフォーマンスを行い、一連の様子は野戦病院とも揶揄された。

p.294 望月美音

元ネタはAKB48の若手メンバー、向井地美音。向井地はドラマ・映画「アンフェア」で主人公の娘役を務めた経験があり、子役出身という共通点で大島優子の後継者とも目されている。

p.295 矢吹美久 牧野はるか

前者の元ネタはHKT48の若手メンバー、矢吹奈子と田中美久。後者はモーニング娘。’15の12期(新規)メンバー、牧野真莉愛と尾形春水(おがたはるな)。

p.296 日高愛子

元ネタ?はアイドル育成ゲーム「アイドルマスター」でプロデュースできるメインキャラ、日高愛。(たぶんこれは関係ないw)

以上、アイドルネタっぽいものをまとめて解説してみました。ただし「元ネタ」としたものはあくまで全て個人の推測であることをご注意ください。
みなさまが『武道館』を楽しく読めますように!

本書を読んで書かせて頂いた感想もよろしくお願いします!
"正義の暴力"がアイドルを潰す- 朝井リョウ『武道館』 感想

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