アイドルを"卒業"した43グループ364人のデータから分かったことを書くよ。 #卒業したい
一時期のブームもすっかり終わり、明るい話題のない女子アイドル界隈を皆さまいかがお過ごしでしょうか。AKB48グループは懲りずに今年も選抜総選挙を実施するようですが、有力候補が次々と辞退宣言しているので大変ですね。
さてAKB48に端を発した2010年代女子アイドルブームは、多くのアイドルを輩出すると同時にたくさんの「卒業」したアイドルも生み出してきました。早い話が、アイドルになってみたけどやめちゃった人たちです。
今回はこのアイドルをやめちゃった人たち総勢43グループ364人にスポットを当てます。彼女たちは何年でアイドルをやめたのか、やめたとき何歳だったのか、卒業ラッシュが起きた時期つまりAKBバブルが崩壊したのはいつだったのか。定量データを用いてなるべく客観的な分析と考察を行いたいと思います。
まず共有すべきこと
分析って誰をどうやって調べたのよ、と突っ込まれるのは当然なのでまずは今回のゴールと対象を共有します。細かいことを気にしない人は飛ばして構いません。
今回のノートを書こうと思ったきっかけ、つまり問題意識は、AKBバブルっていつ崩壊したのかな?という疑問です。特に根拠はないけれど一時期よりすっかり勢いは無くなったし48にかぎらず女子アイドルはガンガン卒業していくし、あーこれもう10's女子ドルブームは終わったのかな、と勝手に私が悟ったのはつい最近のことです。そしてもうひとつ、女子アイドルの「卒業」への興味です。彼女たちの「卒業」はアイドルという行為の中だけでなく人生における大きなライフイベントでもあります。そして同時に、ものすごくエネルギーが必要な決断でもあります。その重大な選択をどんな思いでどんなタイミングで為すのか、同じ人間として純粋に興味がありました。
というわけで本稿ではアイドルの卒業にフォーカスを当てています。今回調べるのは下記の3点です。ソースは基本的にWikipediaです(いうまでもないですがこれ趣味企画なので)
・活動終了時の年齢
・活動終了時期
・活動日数
そして今回対象としたのは、下記の条件を満たすサンプルです。
1.女性アイドルグループで1年以上の活動経験がある
2.所属するグループがメジャーデビューしている
3.TIFに参加している
4.AKB48のメジャーデビュー日を起点とした10年の間に卒業している
1つめは言わずもがな。研修生など正規メンバーでない活動期間は含めません。2つめは星の数ほど存在する地下アイドルたちまでカバーするとキリがなくなるため。3つめのTIFはTOKYO Idol Festivalという女性アイドルフェスの略称です。最近は「君らアイドルでしょ」って言うと怒る方々もいるので、一応ここに参加するくらいだったらアーティストじゃなくてアイドルと見なされても文句はあるまいというフィルタリングとして設けました。ただTIFはあらゆる女性アイドルグループをカバーしているわけではないので、これは必須条件ではありません。TIFに参加していないアイドルも対象にしています。4つめは、今回調べたいのが10年代のアイドルブームなのでこの期間に設定しました。
というわけで、長くなりましたが以下本題です。
アイドル活動とは「青春」である
最初にみるのは活動終了時の年齢です。アイドルが普通の女の子に戻ろうと決断するのは何歳の頃なのでしょうか。
↑正規分布かよ!と突っ込みたくなる美しい分布
アイドルを辞める年齢として一番多いのは19歳、続いて20歳。高校卒業や成人を機に将来の進路を考えはじめる人が多いようです。22歳と23歳の人数に大きな差があるのも、普通に学生をやっていれば大学を卒業する年齢だからでしょう。最近ではアイドル活動を辞めることを「卒業」と称する風潮がありますが、文字通り彼女たちは青春と同じくしてその活動に幕を閉じる傾向にあるようです。
ちなみに今回のサンプルにおける最高齢はメロン記念日の村田めぐみさん、最低年齢はnanoCUNEの河野凜音さんでした。
アイドルの旬は3年
続いて活動年数の分布をご紹介します。"卒業"を決心するに至るまでの年月はどれくらいなのでしょうか。
圧倒的に多いのが4年以下での卒業。全体の半数以上を占めています。巷のキャリア問題では新卒3年以内の離職率の高さがしばしば取り上げられますが、アイドルの世界も「3年の壁問題」は例外ではないようです。
逆に3年の壁を乗り越えると卒業者の人数は減少していきます。絶対数が少ないという理由も当然ありますが、3年頑張れば何かしら掴めるものがあり活動も楽しくなってくるのかもしれません。
AKBバブル崩壊は2015年?
それではみなさんお待ちかね?卒業した時期と人数の関係です。
圧倒的な卒業人数で目を引くのが2015年。サンプル数の3分の1近くを占める100名が表舞台を去っています。やはり2010年代の女性アイドルブームは2015年に転換期を迎えたと考えられそうです。
しかし気になるのが2012年の増加率。実数では2015年に及びませんが、前年比では上回っています。増加率は2012年は+2.93、2015年は+1.64と大差をつけての勝利です。ではそれぞれの年に何が起こったのか?具体的に見てみましょう。
まず記憶に新しい2015年。この年は3月3日にBerryz工房が無限活動休止、アイドリング!!!が全員卒業しています。10年選手として第一線に立ち続けてきたこの2グループの解散は、アイドルブームの終わりを象徴するニュースでした。
この2グループを合せるとメンバー数は実に28人。差し引き72人なので前年の2014年と大差がありません。確かに女性アイドルブームの終焉という観点でみると2015年は大きな転換点となり得るでしょうが、2012年にその兆しが見えていたと考えることもできます。
ではその2012年の出来事といえば、真っ先に挙げられるのはAKB48の前田敦子の卒業です。2011年の選抜総選挙で1位になった際の名スピーチ「私のことは嫌いになってもAKBのことは嫌いにならないでください」の翌年8月に彼女はグループを卒業しています。AKBの象徴的な存在であった彼女の卒業を受けて、アイドルブームに見切りをつけた少女たちも多いのかもしれません。
簡単にまとめると、2012年の前田敦子卒業で女性アイドルのブームは下り坂に差し掛かり、2015年の老舗2グループの解散でそのバブル崩壊が白日の下に晒されたのではないかと考えます。
まとめ
3つのデータを単純集計しただけですが、当初の疑問にはそれなりに答えられたように思います。10's女子ドルブームは2012年に曲がり角を迎え、2015年から徐々に終わりに近づいていました。そしてアイドルとて例外ではなく、世の中に数ある職業と同じように3年以上頑張り続けるのは難しいようです。しかし活動終了時の年齢が義務教育期間の終了と重なることを考えると、アイドルはそもそも職業ではなく儚い青春の輝きとして捉えたほうが正しいのかもしれません。
とりあえず、いま推しメンがいるファンの方は「3年の壁」と「学生生活の節目」を意識して支えていくと離脱確率を下げられるかもしれませんね。AKB選抜総選挙に挑まれる皆さん、頑張ってください。
せっかくデータセットも作ったし本当はもっと考察したいのですが、ハッシュタグ企画の締切に間に合わなさそうなのでとりあえず断念します。追記で何か書くかもしれません。
申し遅れましたが本稿はnote公式ハッシュタグ企画「#卒業したい」への参加作品となっております。イベントの宣伝に全く貢献できていないので、何故書いたし感が半端ない。ねむい。
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以下、ゼロからちまちま作ったデータセットがダウンロードできるリンクとなっております。Excelで作業していたときのスクリーンショットを撮るとこんな感じです。活動終了後の進路も調べてみたけど定義が難しすぎてボツになりました。リンク先は同内容のGoogleスプレッドシートになっています。
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