今朝、飛行機に乗り遅れそうになった話を小説風に書いた。
※この内容は4月23日の朝に自分の身に起きた実話です。
部屋のドアが開いた瞬間、僕の意識は反応した。
「ん、ケンゴまだ出てなかったんか。」
そう言った父の言葉が耳に入り、反射的にiPhone Xrの画面を覗いた。
「6:21」
その3つの数字は僕を絶望の淵まで、一瞬にして連れていったのだ。
本来、6:04の特急電車に乗って、関西国際空港に向かってるはずだった。
マレーシア行きの飛行機は8:55発。
7:11に関西空港駅に到着すれば、1時間半前にはチェックインできるので、余裕の搭乗だ。
僕の住む高槻から関西国際空港までのルートは全部で4つある。
⑴高槻から特急はるかで一本
⑵高槻から難波まで出て南海電鉄で行く
⑶高槻から茨木まで出て、そこからバス
⑷高槻から大阪まで出て、そこからバス
この中で、最も高く、最も速く目的地まで辿り着けるルートが⑴だ。
迷いは一切なかった。
しかし、⑴のルート唯一の弱点が「本数が少ない」ということだ。
ただし、それは怠惰な人間からすればリスクになるが、僕は違う。
そんなミスはしない。
当たり前のようにそう感じていたが、その過信から隙が生まれていたのだ。
前日、僕は部屋の大掃除をしていた。
実家に帰ってくるのは半年ぶりで、次に帰ってくるのは3ヶ月後だ。
だからこそ、定期的に掃除をして着なくなった服や読まなくなった本などを断捨離していく。
今でこそ、カバンひとつで国内外を飛び回ってる僕だが、実家に荷物を溜め込んでたらミニマリストとは言えない。
そう思って、部屋の大掃除をしていたら、すっかり眠気が覚めてしまったのだ。
もう、すでに0:00は過ぎてる。
今すぐ寝て、5:30に起きれば電車にも間に合うし、睡眠も取れる。
しかし、全く眠くない。
かと言って、仕事をする気分ではない。
アオアシを読んでいたら、いつのまにか2:00前になっていた。
「さすがに、そろそろ寝るか。」
そう思って布団に入り、YouTubeをダラダラ見ながら寝落ちしていた。
その時点でフラグは立っていたが、過去には戻れない。
「6:22」
本来、乗る予定だった電車には、もう乗れない。
乗換アプリで調べたら、次は6:34だった。
あと12分。
家から駅までは徒歩15分ほど。
今すぐ家を出て、駅に向かう途中でタクシーを拾えば十分に間に合う時間だ。
幸い、昨日の夜に大掃除をしていたおかげで、荷物は全てまとまっていた。
ベッドから飛び降りて、アディダスのウインドパーカーを羽織れば、準備完了だ。
「6:23」
カルバンクラインの紺のリュックを背負い、アメリカンツーリストの機内持ち込み可のスーツケースを引いて家を出た。
今までは、とにかく物を減らすことにフォーカスして、カバンを小さくすることを意識していた。
だから、リュックひとつに着替えやPCを詰め込んで国内外を飛び回っていたが、ある時、気づいた。
「ちっちゃいスーツケースに着替えとか入れた方が体感重量は軽いかも」
そんな思考プロセスを経て、スーツケースを持つようにしたのだ。
しかし、この判断が後で大きなミスに繋がるとは知る由もなかった。
家を出て、駅まで歩く途中で異変に気づいた。
そう、タクシーが全く走っていないのだ。
「6:26」
6:34の電車に乗るには少し厳しい時間。
しかし、次の電車は7:04。
関西国際空港の到着時刻は8:11。
完全にアウトだ。
1時間前までにチェックインをしなければ搭乗できない。
つまり、7:55までにチェックインをしなければ即死。
ということは、この6:34の電車に乗れなければ、それは死を意味する。
焦る気持ちと裏腹に思考は冷静だった。
「ウェブチェックインすれば間に合うやん」
そう思い、メールを開いてエアアジアのHPを開く。
しかし、ウェブチェックインが可能な時間は出発時刻の3時間前までだった。
「やばい」
そこで初めて自分が、とてつもなく追い込まれてることに気づいた。
「6:29」
残された時間は、あと5分。
普通に歩いてたら間に合わない。
かと言ってタクシーもない。
さぁ、どうする?
走るしかない…!
スーツケースを持ち上げ、全力で駆け抜けた!
野球部時代に鍛え上げた脚力と根性を解放させる。
180cmの大男がリュックを背負いスーツケースを片手に朝の街を全力疾走する姿は、なかなか怖い。
しかし、気にするな!
お前に残された時間は、あと4分。
これを逃したら、もう打ち手はないぞ!
「6:31」
遂に、JR高槻駅が見えてきた。
このまま正面突破だ!
と、次の瞬間やばい冷や汗を感じた。
…尿意だ。
もし、ここでトイレに行けば確実に乗れない。
トイレを我慢すれば乗れるかもしれないが、漏れるかもしれない。
「6:33」
とうとう改札口まで辿り着いた。
さぁ、どうする?
トイレに直行するか、我慢して電車に乗るか?
ここで僕は一縷の望みに託して、賭けに出た。
ホームに直行したのだ。
「6:34」
ドンピシャのタイミングで電車に飛び乗り、僕は賭けに勝った。
そう、特急電車には車両にトイレがあったのだ。
勝ちを確信し、汗だくの中、席に座り小さくガッツポーズをした。
しかし、これが序章に過ぎないなんて、この時は知るよしもなかった…
次回!手荷物超過で罰金1万円!?まさかの長蛇の列!果たして搭乗時間に間に合うのか!?
※続編は書きません。が、全て実話です。
普段カンボジアのカフェで1杯3ドルのコーヒーを飲みながらnoteを書いてます😌受け取ったサポートは全てコーヒー代に充てさせて頂いてます。いつもサポートして頂いてる方に感謝です🙇♂️