20200903(Thu)
結婚記念日だからと言って特別に何かをしてもらいたい気持ちのフェーズではない。いつかそのフェーズが来るのか、と聞かれてもわからないのが気持ちだ。夫もそっち方面らしい。「やった方がいい?」なんて、世間の女性なら怒り狂うワードなのではないだろうか。自身でも思う。マイノリティなんではないかと。けれど多様性と謳われる時代、マイノリティと言っている方が恥ずかしいかもしれない。
普段通りに布団を上げて、洗濯をして、洗い物、昼ごはん、ちょっと寝過ごした昼寝、猫のジャレ合いを見ずに過ごす午後。今日は掃除機は無しだ。明日にしようと決めて、散らばった猫砂は手でかき集める。
生まれがわからない猫の誕生日も今日にした。2歳おめでとう。こんなに大きくなるとは思わなかった。私は嫌がる猫を抱きしめてたくさんありがとうを伝え、おやつをあげた。小さい猫が邪魔をするのを制して「ありがとう、おめでとう」を伝える。猫の言葉ではどうなのかわからず、頭をたくさん撫でてあげた。
そうこうしていると仕事の時間が終わっていて、それに気付かず黙々と励んでいた息が糸を切ったように吹き出す。姿勢が一段と悪くなり、今日の晩ごはんをどうするかと夫に投げかける。こう言う時は大抵「何か外に食べに行こう」の合図で、夫もそれをわかっていて私に無茶は言わない。
結局、隣町まで出かけて串カツを食べた。今日あった話を色々として、手を繋いでコンビニでケーキを買う。「本番はまたゆっくり買おう」と口には出さずに買ったチーズケーキは美味しかった。
私たちの関係も夜も更けていく。ずっと新しくはいられない。けれど、その中で毎日が新しくなっていく。不思議な箱に詰められた生活を人生と呼ぶのは合っているのだろうか。急に「なんでも1つ願いが叶うなら何がいい?」と問いかけられる。私はすかさず「猫たちが言葉を放つ事が出来ればいい。それでなければ、貴方と猫たちが健康に天寿を全うするのがいい。」と答えた。「君もそうじゃなきゃだめなんだよ」と笑われて「俺はギターが上手くなりたいって思ったよ」と、くしゃくしゃな顔ではにかむ。「そっか」と私も笑って寝床についた。夫のひんやりとした二の腕を掴んで眠る。朝には離れていても、それでいい。ゆっくりと落ちていった。
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