NCAAバスケットボールのアマチュアリズムについて、プロリーグ→NCAAでプレーする為に必要な事とは?

NCAAバスケットボールのアマチュア規定は、選手のアマチュアリズムを守り、競技が公正なものであることを確保するためのルールです。この規定により、選手がプロとしての活動を行うことに制限が設けられています。具体的なアマチュア規定の要点は以下の通りです。

NCAAのアマチュア規定の概要

1. プロ契約を結んでいないこと

  • NCAAのバスケットボール選手は、プロの契約を結んでいないことが基本的な条件です。つまり、プロリーグのチームやエージェントと契約を結んで、金銭的な報酬を得ていた場合、その選手はNCAAでのプレー資格を失います。

2. 報酬の受け取りに関する制限

  • プロリーグやプロの試合で報酬を受け取っていた場合、その選手はアマチュア資格を喪失します。ここでの「報酬」は、給料やサラリーだけでなく、試合への参加による金銭的な報酬や他の物品なども含まれます。

  • ただし、実費の支給(例えば、遠征費や宿泊費)は許容される場合がありますが、これも一定の範囲を超えた場合には資格喪失の対象となります。

3. エージェントの利用

  • 選手がプロ契約を結ぶためにエージェントを利用して報酬を支払う場合、その時点でアマチュア資格を失います。エージェントはプロ契約に向けた交渉を行う存在と見なされるため、NCAAではエージェントとの金銭的な取引が禁じられています。

  • ただし、NCAAのルール変更により、選手がNBAドラフトを検討する際、一時的にエージェントの助言を受けることが許可されています。この際はエージェントから報酬を受け取らないことが条件です。

4. プロリーグでのプレー経験

  • 海外のプロリーグでプレーした選手も、報酬を受け取らなかった場合はNCAAでプレーできる可能性があります。この場合、選手は海外リーグで「アマチュア選手」としてプレーしていたと見なされます。

  • たとえば、国によってはプロリーグのチームに所属しても、選手が給料を受け取っていない場合は、NCAAのアマチュア資格を維持できる可能性があります。

5. チーム外での活動

  • 学外での活動やスポンサー契約も、NIL契約の導入以前はNCAAの厳しい規定の下にありました。選手がチーム外で収入を得たり、広告活動を行ったりすることは厳しく制限されていましたが、NIL契約の導入後は、選手が自分の名前や肖像を使って報酬を得ることが合法となっています。

6. NIL契約(Name, Image, Likeness)とアマチュアリズムの変化

  • 2021年からNIL契約が解禁されたことにより、NCAAの選手も自分の名前や肖像、イメージを使って金銭的報酬を得ることが可能となりました。この規定変更により、選手がスポンサーシップやメディア出演などで収入を得ても、アマチュア資格が失われることはなくなりました。

  • ただし、このNIL契約の収入は「アマチュア資格に影響を与えない収入」として認められているものであり、プロリーグでプレーする場合とは区別されています。

7. ドラフト参加とアマチュア資格の維持

  • NCAAの規定では、選手がNBAドラフトにエントリーすることは許可されていますが、プロ契約を結ばなかった場合や、ドラフトで指名されなかった場合には、再び大学に戻ってプレーすることができます。この場合、アマチュア資格を維持することが可能です。


具体例

  • 海外プロリーグでのプレー: たとえば、ある選手がヨーロッパのプロリーグに所属しても、給料を受け取らずにプレーした場合、その選手はアマチュア資格を維持したままNCAAでプレーすることが可能です。しかし、給料を受け取っていた場合は、アマチュア資格を失い、NCAAでのプレーが不可能となります。

  • NIL契約: 大学バスケットボールのスター選手が地元企業や大手ブランドとスポンサー契約を結んで、自分のイメージや肖像を利用して収入を得ることが可能です。これはアマチュアリズムの規定には抵触しません。

結論

NCAA男子バスケットボールのアマチュア規定は、選手がプロ契約を結んで金銭的報酬を得ていない限り、その選手がNCAAでプレーできるように設計されています。しかし、2021年から導入されたNIL契約により、選手がアマチュア資格を維持しつつ、自身の名前や肖像を使って収入を得ることが可能になり、アマチュアリズムに大きな変化が生じています。

海外でプレーした後にNCAAでプレーした主な選手

NCAAのアマチュア規定により、海外のプロリーグでプレーした後にNCAAでプレーすることは一般的に難しいですが、選手がプロ契約で報酬を受け取っていない場合、NCAAでプレーすることが許される場合があります。ここでは、海外でプロ契約を結ばずにプレーした後、NCAAに参加した選手を紹介します。

1. ラウリ・マルカネン (Lauri Markkanen)

  • 出身地: フィンランド

  • 経歴:

    • プロキャリア (フィンランド): ラウリ・マルカネンは、フィンランドのユースチームや国内のクラブでキャリアをスタートさせました。彼はフィンランド国内での活躍が注目され、特にフィンランド代表のジュニアチームでも重要な役割を果たしました。

    • NCAA (アリゾナ大学, 2016-2017): アメリカに渡り、アリゾナ大学に進学しました。1年間のプレーで平均15.6得点、7.2リバウンドを記録し、その年のNCAAトーナメントでアリゾナ大学をスウィート16まで導きました。彼の優れたシューティング能力とサイズ(7フィート)が評価され、NBAのドラフト候補として注目を集めました。

    • NBAキャリア:

      • 2017年のNBAドラフトでシカゴ・ブルズから1巡目7位で指名され、NBAキャリアをスタート。シカゴ・ブルズで数シーズンプレーした後、クリーブランド・キャバリアーズに移籍。

      • その後、2022年にユタ・ジャズに移籍し、彼のスリーポイントシュートと多様なオフェンス能力でリーグ屈指のフォワードとして活躍しています。

2. フランツ・ワグナー (Franz Wagner)

  • 出身地: ドイツ

  • 経歴:

    • プロキャリア (アルバ・ベルリン, 2017-2019): フランツ・ワグナーは、ドイツのトッププロチーム「アルバ・ベルリン」でキャリアをスタートしました。彼は17歳でドイツのバスケットボール・ブンデスリーガ(BBL)にデビューし、ヨーロッパのプロリーグで経験を積みました。

    • NCAA (ミシガン大学, 2019-2021): 2019年にミシガン大学に進学し、2シーズンプレー。特に2年目には平均12.5得点、6.5リバウンドを記録し、優れたディフェンスとインテリジェントなプレースタイルでチームの中心選手となりました。

    • NBAキャリア:

      • 2021年のNBAドラフトで、オーランド・マジックから1巡目8位で指名され、NBAキャリアを開始。1年目からスタメンとして活躍し、2021-2022シーズンのオールルーキーチームに選出されました。

      • ワグナーは現在もオーランド・マジックでプレーし、将来のオールスター候補として期待されています。

3. ドマンタス・サボニス (Domantas Sabonis)

  • 出身地: リトアニア

  • 経歴:

    • プロキャリア (リトアニア, ウニカハ・マラガ): サボニスは、リトアニアの名門バスケットボール一家に生まれ、父はNBAのレジェンド、アルヴィダス・サボニスです。彼はスペインのプロチーム「ウニカハ・マラガ」でプロデビューし、ユーロリーグでもプレー経験があります。

    • NCAA (ゴンザガ大学, 2014-2016): その後、アメリカのゴンザガ大学に進学し、2シーズンプレー。特に2年目のシーズンには平均17.6得点、11.8リバウンドを記録し、ゴンザガ大学をエリート8まで導く原動力となりました。

    • NBAキャリア:

      • 2016年のNBAドラフトでオーランド・マジックに1巡目11位で指名され、その後すぐにオクラホマシティ・サンダーにトレードされました。サンダーで1シーズンプレーした後、インディアナ・ペイサーズに移籍。

      • ペイサーズではオールスターに選出されるなど、優れたパフォーマンスを発揮。2022年にはサクラメント・キングスに移籍し、チームのリーダーとして活躍しています。

これらの選手は、それぞれヨーロッパのプロ経験を経てプレーした経験を活かしながらも、NCAAの規定に従ってアマチュア資格を維持し、NCAAで活躍して、その後NBAで成功を収めた例です。

BリーグからNCAAへ

Bリーグでプレー経験のある選手もNCAAでプレーしてます。

  1. ジェイコブス晶 (Akira Jacobs)

出身: 日本

経歴: ジェイコブス晶は、主に日本のプロリーグで経験を積んだ後、オーストラリアのNBA グローバルアカデミーに行き、アメリカの大学バスケットボールへと挑戦しました。彼はBリーグの横浜ビーコルセアーズでプレーし、その後、NBAグローバルアカデミーに行き、NCAAのハワイ大学に進学しています。彼はプロでの経験を生かしつつアマチュア資格を維持するために報酬を受け取らずにプレーしていた可能性があります。

2.ケイン・ロバーツ (Kaine Roberts)

出身: 神奈川県、日本

経歴: ケイン・ロバーツは日本のBリーグ「アースフレンズ東京Z」でプロと共にプレーしましたが、NCAAでのアマチュア資格を保持するために報酬を受け取らずにプレーしました。彼はその後、アメリカのStony Brook大学に進学し、NCAAでのキャリアを開始しました​。現在はBリーグの広島ドラゴンフライズでプレーしてます。

ロバーツは日本で生まれ育ち、父親はアメリカ人、母親は日本人のバックグラウンドを持つ選手です。

3. 山ノ内勇登 (Yuto Yamanouchi)

出身: 福島県、日本

経歴: 山ノ内勇登は日本のプロバスケットボールリーグ、Bリーグの「アースフレンズ東京Z」でプロ経験を積んだ後、NCAAのLamar大学でプレーしました。彼はNCAAでもリバウンド力と得点力を発揮し、2023年にはキャリアハイの18得点、19リバウンドを記録しています​

これらの選手は、日本のプロリーグでの経験を積みながらも、NCAAでのプレーを希望するためにアマチュア資格を維持する戦略を取っています

OTEやGリーグイグナイト出身の選手はNCAAでプレー出来る?

オーバータイムエリート(Overtime Elite: OTE)Gリーグイグナイト(NBA G League Ignite)**で報酬を受け取った選手は、NCAAでプレーすることはできません。これは、NCAAのアマチュア規定によるものです。

1. オーバータイムエリート(OTE)

  • OTEは高校生や若い選手にプロフェッショナル契約を提供するプラットフォームです。選手がこのリーグでプレーする際、給料を受け取る場合は、NCAAでのプレー資格を失います。ただし、最近の変更で、報酬を受け取らない選手に限り、NCAAでのアマチュア資格を維持する道も選択肢として提供されています。

2. Gリーグイグナイト

  • Gリーグイグナイトは、NBAを目指すトッププロスペクトにプロ契約と報酬を提供するプログラムです。イグナイトの選手は高額の契約を受けるため、NCAAのアマチュアリズム規定に違反します。したがって、イグナイトで報酬を受け取った選手はNCAAでプレーする資格を持ちません

例外的な道

報酬を受け取らなかった選手や、NIL(Name, Image, Likeness)契約を通じて合法的に収入を得た選手であれば、NCAAのプレー資格を維持できる可能性があります。しかし、OTEやイグナイトのように明確にプロとしての報酬を受け取っている場合、その選手はNCAAでプレーすることは認められません。

このように、NCAAはアマチュアリズムの概念に基づいており、プロフェッショナルな報酬を受け取ることはこの資格を失う直接の原因となります。

OTEからNCAAへ


Overtime Elite (OTE)は、選手にプロとしての報酬を提供するバスケットボールリーグですが、一部の選手は報酬を受け取らずにプレーし、NCAAでのプレー資格を維持することができます。この仕組みによって、いくつかの選手がOTEを経てNCAAに進学しています。

例えば、ジャキ・ハワードブライソン・ティラーは、OTEでプレーする際に奨学金オプションを選択し、報酬を受け取らずにアマチュア資格を保持しました。このため、彼らはNCAAでのプレーが可能なまま、将来的にカレッジバスケットボールで活躍する道を選ぶことができました​


また、ロバート・ディリンガムは、カレッジへの進学を視野に入れてOTEでプレーしており、現在はケンタッキー大学にコミットしています。彼もプロ報酬を受け取らずにプレーし、NCAAでの資格を維持しています​

このように、選手が報酬を受け取らないことで、OTEからNCAAへの進学が可能となっています

アマチュアリズムの撤廃の可能性

NIL契約により、選手はすでに金銭的利益を得ることができるようになっているため、アマチュアリズムの完全撤廃が進む可能性は現実的です。多くの評論家は、今後さらにNCAAが選手に対して直接的な給与や報酬を支払う仕組みが導入される可能性を指摘しています。特に、スポーツ業界が商業的に大きく成長する中で、大学スポーツ選手がプロ選手のような待遇を受けることは時間の問題であるとも考えられています。

結論

NCAAのアマチュアリズムが完全に撤廃される可能性は、今後の法的・社会的な動向によりますが、NIL契約の導入や裁判所の判断などがその道筋を示していると言えます。アマチュアリズムはすでに形を変えつつあり、今後さらに変化することが予想されます。

とAIが教えてくれました

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