高校から豊橋技科大に入りました-(1)
この記事は、高校から大学を受験する人向けに、豊橋技術科学大学(以下、豊橋技科大)の簡単な概要を個人の知見を交えてご紹介するものになります。
著者は高校出の技科大生です。私立高校の普通科出身です。
1-1 豊橋技科大とは?
愛知県豊橋市の片田舎に、豊橋技術科学大学という国立大学があります。学生数は2000人台という、国立大学の中では比較的小規模な大学です。
一般的な大学受験では知名度がないですが、それもそのはず。この大学の主たる入学者は高校卒業生ではありません。
豊橋技科大は1976年、新潟の長岡技術科学大学(長岡技科大)と共に、高専(国立高等専門学校)の卒業者を受け入れることを主目的として開学しました。
高専は高校と同じ学年から始まりますが、卒業には5年を要します。ですので、高専からの技科大編入者は3年生に入学します。
ちなみに、高校卒業者の入学定員は1学年80人ですが、高専卒業者枠は320人くらいあります。つまり、1,2年生から3年生になると、同学年の人数が一気に5倍になります。
以下、公式サイト。
1-2 豊橋技科大に進学する利点
(1) 教育レベルが高い。
技科大は比較的研究に主軸を置いた大学ですから、教育レベルは高いです(と学内の人が良く言ってます)。研究レベルは旧帝一工金に匹敵するともいわれています。
(2) 進学・就職実績が良い。
有名企業への就職者が多いです。また、大学院博士前期課程の定員が多い(学部400人に対して360人くらい)ので、学内進学もしやすくなっています。
(3) 入学してから学科を選べる(工業科等からの推薦を除く)。
これは非常に大きな利点です。多くの大学の工学部は、入試の時点で機械工学だったり、建築だったりという学科を選ばないといけませんが、技科大にはそれがなく一括での募集になります(詳しくは後述)。
つまり、入学してから機械がやりたいか、化学がやりたいか、建築がやりたいか考えることができます。(入学してから半年で決定します)。基本的に希望の学科に行けるそうです。
この方式を採用している大学は、東京大学や北海道大学、和歌山大学など、数が限られています。
(4) (1)~(3)の利点に比して入試難度が高くない。
悲しいことに豊橋技科大の偏差値はそう高い扱いではありませんが、逆に言えば、そう高くない入試難度をくぐって高い教育を受けられる好機にもなりえます。
(5) 学費が安い。
国立なので、学費は年56万、入学金は28万円程度です。
1-3 豊橋技科大に進学する欠点
(1) 一般的な知名度がない。
悲しいほど一般的な知名度がありません。「豊橋技科大」といったら「豊橋医科大」と勘違いされたと言ってる人もいました。医学部無いです。
因みに、しばしば「豊橋科技大」と誤植されます。「豊橋技科大」です。日本の「科技大」はおそらくJAIST(国立北陸先端科学技術大学院大学)か公立千歳科学技術大学です。
(2) 立地があまりよくない。
技科大の所在地は豊橋市天伯町という、豊橋駅からバスで30分の畑地帯です。周りをキャベツ畑に囲まれてるため、豊橋キャベツ科学大学なんて言ってる人もいたり。ヘッダー写真はそんな技科大の最寄り駅(徒歩40分以上)たる芦原駅です。
2-1 技科大に高校から進学するには -一般入試-
ここからは入試方式の解説になります。
先ず、他の国立大学と変わらない一般入試。技科大は前期試験だけで、定員は45人です(例年辞退が数人いるため、合格は50人は出ますが)。例年、倍率は2から3倍です。入試科目は以下の通り。
共通一次(大学入学共通テスト)5教科7科目
国語 200点満点
外国語 300点満点 (英語はリスニングを含む)
理科② 150点満点×2 (生物、化学、物理より2科目を選択)
数学① 100点満点 (数学ⅠAを選択)
数学② 100点満点 (数学ⅡBを選択)
地歴公民 100点満点 (日本史A、日本史B、世界史A、世界史B、地理A、地理B、現代社会、倫理、政経、倫理政経から第一回答科目を選択)
計 一次試験1100点満点
二次試験 1教科1科目
数学 300点満点 (数学ⅠⅡⅢAB)
計 二次試験300点満点
総計 1400点満点
割と素直な傾斜配点となっていますから、数英理ができれば問題ないでしょう。数英理の2教科が得意ならきちんと点数がとれるかと思います。逆に数英理に苦手科目が2つあると少ししんどいです。
具体的な勉強方法とかは、入試科目の配点の近い京都工繊大生とかのブログでも読んでください。
2-2 技科大に高校から進学するには -推薦入試-
高校からの技科大推薦入試は2種類あります。
1つ目が、工業などに関する学科からへの推薦枠。機械工学系、情報知能工学系、電気電子工学系、応用化学生命工学系、建築都市システム学系の5系にそれぞれ3人ずつの枠があります。
2つ目は、普通科・理数科からの推薦入試。こちらは全系統一で定員は5人です。一般試験と同じく、入学してから学科を決めます。
どちらも高校の評定がメインになるので、学内で優秀な成績を収めていれば狙えるでしょう。
2-3 技科大に高校から進学するには -AO入試-
最近何かと話題のAO入試ですが、技科大にも存在します。正式には「グローバル技術科学アーキテクト養成コース(GAC)入試」となっています。
GACは他の入試で入った学生と違い、留学生と共に学び、高い英語能力をつけることを目的にしています。因みに、今年のGAC1年生は7割弱が留学生だそうです。
この方式は学校の評定+英語検定試験の成績(TOEIC, TOIFEL, 実用英語技能検定)で合否を判定します。なので、比較的理数科目ができなくても技科大に受かるチャンスではあります。
令和2年度まではセンター試験の理科②と数学①②の3科目4教科を課していましたが、令和3年から消滅しました。個人的にはセンターを課さないほうに転換するのはやめたほうがいいと思うのですが...。
この方式は定員や入試区分などがころころ変わるので、受験する年の願書で条件・日程・定員を確認してください。
以下、令和3年の学部1年次募集要項掲載ページ。因みに、直近2年の過去問なんかも載ってます。
3-1 技科大と併願がお勧めな大学
技科大を受ける機会は推薦、AO、前期試験の3回ありますが、それでも併願はするでしょう。特に、国公立後期試験には出願するのが必須といわれています。そこで、後期試験日程を中心に、個人的に技科大と併願のお勧めな大学をいくつか載せます。
3-1-1 室蘭工業大学 後期日程
北海道にある国立工科系大学です。なんと後期試験は新共通テストの成績だけで出願できます。後期試験の勉強がいらない+新テスト後の河合の合格判定でほぼほぼ確実に合否がわかる、という利点があります。技科大に合格するレベルの新テスト成績があれば、例年通りなら受かります。
3-1-2 和歌山大学システム工学部 後期日程
後期試験科目は数学・国語・物理より2科目選択の総合問題のみです。難易度も技科大に近く、化学生物系の学科が無い他は、授業も学科内容も比較的技科大に近いです。
新テスト1100点+二次試験400点という配点も、ほぼ技科大と同じなので対策もしやすいです。
3-1-3 東海国立大学機構岐阜大学工学部 後期日程
新テスト配点500点+二次試験1500点(数600、理600、英300)と、技科大・室蘭大・和大のような1次重視型から一転して2次重視の配点になります。
センターで失敗したけど、実力はある、という人におすすめです。ただし、まぁまぁ難易度は高いです。前期で名古屋大学に落ちた人がぞろぞろ受けます。
逆に新テストが高得点なら、素直に避けたほうが安全とも言えます。
その他、佐賀大・島根大なんかも候補に挙がるかな。
3-1-4 金沢工業大学
私立の工科系単科大学です。滑り止め用になりますね。意外と就職実績などは良いようです。
私立大学はたくさんありますので、家の近さなどで調べてもいいんじゃないでしょうか。
さいごに
あくまでこの記事は個人的な体験談と知識収集に基づいたものなので、大学の公式情報をしっかり見ることをお勧めします。
過去問(2015)
そういえば2015年の技科大二次試験入試問題が手元にあったので載せときます。(オリジナルのものをワードで打ち直したものになります)。技科大は赤本が無いので、良ければ参考にしてください。
(著作権大丈夫なんだろうか)
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