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今年の夏は暑かったらしい
観測史上初の。異例の。災害級の。
そういう暑さだったという夏が、私には、ほとんど苦にならなかった。
もう酷暑が何年も続いていて、夏のふるまい方が身についてきたのかもしれない。冷房は欠かさないし、日中に長時間歩かない。水分は必ず備えて、命を守る行動をとる。こどもを遊ばせるのはプールばかり。
でも、それだけではなくて、私はこの夏とても元気だった。会いたい人に会い、気になる場所に出かけ、離婚調停の準備にも勤しんだ。
おかげで「夏休みに毎日お昼ご飯を作らなければ」とか、「毎日ヒマな子らをどうやって遊ばせよう」とか、毎年恐れ慄いていた問題もあまり苦にならず、あっという間に駆け抜けた夏だった。
あまりにもよく出かけていたもので、8月のガス料金が1715円しかかからず、オール電化でもなく、自炊一筋の我が家にとってこれは珍しい。一番上のいっちゃんは、ガスの検針票を見て「一家の安否が問われてもおかしくないレベル」と言って笑った。
◇
9月になっても暑さは続いていたが、私の気力も続いていた。友達にもたくさん会ったけれど、中でもこれはと思ったのが、ニンタと同じ病名を持つ患者会の人と会えたことだった。
患者会の集まりは、以前は泊りがけで全国から集まる企画があったのだけれど、コロナ禍を境にオンライン開催が続いていた。
そのオンラインでさえ私は参加出来ていなかったのだけれど、急に思い立ち、全国とはいかなくても、半径1時間以内くらいのメンバーだけなら会えるのでは!?と声をかけると、6家族も集合してくださった。数時間おしゃべりしただけだったけれど、病院ですらばったり会うこともない、ごくごく珍しいグルットワンの同志と会えたのはとても勇気付けられる出来事だった。
◇
旅行も今年は遠出をして、絵葉書みたいな海で遊んで、こどもたちは大はしゃぎだった。友達にもたくさん会った。離婚調停中なんだよ、と話すと盛り上がる。
友達と会った帰り道、夜道を街灯に照らされながら歩くと、自然とCMに使われていた歌、「生きててよかったー、生きててよかったー」というフレーズが口をついて出た。
◇
夫婦仲が壊れてしまい、前にも後ろにも進めなくなっていた時にこの歌を聞いた。この先、生きててよかったなんて思う時が来るとはとても思えない。本気でそう思っていた。
それがもう、楽しかった1日の終わりには「生きててよかった」という言葉以外にあてはまるものがない。
会いたい人に会って、行きたい場所に行けて、そして誰にも生活を脅かされないということが、ただただ幸せだ。
◇
偉業を成し遂げていなくても、名を揚げていなくても。
生きててよかった。
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