仮面ライダーエターナル
Vシネマ・仮面ライダーエターナル、YouTubeで無料公開されましたね . 1番好きなVシネマです. このVシネマは本当に良く出来ていると思うので片っ端から魅力を語りたいと思いm(ただの自己満) ※ネタバレ全開
・A to Zの補完として
完璧。その一言に尽きる.
克己のロストドライバーの出自、真っ先にエターナルメモリを選んだ理由、加頭がneverである理由など細部の補完もよく出来てるし何よりも
克己のA to Zにおける動機の説明、が自分は1番見事だと思ってる
・A to Zで明かされなかった&描かれなかった動機の説明
まず自分が初めてA to Zを見た10歳の頃,思ったのは 「なんで克己は街の皆をneverにしたいんだ...? 意味あるの...? 」だった. この説明がVシネマで明かされていた.
Vシネマで感じられたのは主に2点の理由
①ガイアメモリ実験の"箱庭"である風都をガイアメモリからnever1色に染め上げる
②克己の生への憧れ
①:風都を狙った理由. A to Zだけだと(なんでわざわざ風都...?) な部分の説明.
これはガイアメモリにneverが資金競争で負けたことに加え、ニーナの事件によってさらにガイアメモリへの増悪が増したためだと考えられる.
ガイアメモリ開発の長であり風都を"箱庭"として実験台にする園咲家への憎しみ.
俺の故郷の風都をッ...!!と憤っていた克己が人間に絶望し・風都をターゲットに決めるシーンは何度見ても辛い.
ガイアメモリ(とそれを使う非道な人間)への増悪>>風都を愛する心
となってしまった克己. ここから記憶や人間性が更に薄れた結果, A to Zでの惨劇を招いてしまう
②大量の人間をneverにする理由
自分は10歳の時これがマジでさっぱり分からなかった. え?そんな皆をneverにしちゃって良いの...?(;・∀・)軽くね??位に思っていた
.しかし何度も見返す内にA to Z内で
「もう実験台の化け物は俺だけじゃないッ!!!」と克己は言っていた
そう、これが克己の根本にある"生への欲望"の象徴と言うべき発言で、A to Zの1連の事件の1番の理由である.(と勝手に思ってる)
これがA to Zだとかなり分かりづらかったのだが, Vシネマではここが見事に描写されていると思ってる neverが如何に"生き辛く"、 地獄であるか・ そして消えていく自分の背後の記憶....、
そしてVシネマの
「生きているんだろ!!!!お前たちは,まだ....」のセリフは克己の生への羨望が顕著に現れていると思うんですよ... 天才
この後の「過去が消えていくなら...俺はせめて明日がほしい」 もこのセリフあってこそだと思っている.
・数々の「つらい....」シーン
この作品を見終わった後、真っ先に思い浮かぶ感想は 「つらい」 しかしあまりにも沢山のつらいシーンがあるので漠然とした辛さを感じている人も多いかと思う.
なのでここでは数々の「つらい....」を言語化してみる
・自らのアイデンティティを証明するために戦っていた克己。
ニーナと出会い「他者のため」に戦うが、皮肉にもそれが原因で人間に絶望し、「自らのため」だけに戦うように戻ってしまい・悪魔となっていく. つらい
克己「助けてほしいというお前の気持ち,最初から感じてた」
・克己の"最後の人間らしさ"の象徴、ハーモニカ
もう何の曲かも分からない中、吹き始めるハーモニカ. あのシーンは克己の最後の人間性を描いた場面として最高に完璧だと思ってる つらい
・今までも、これからも背負うニーナの過去
まずニーナは過去の負の記憶を永遠に忘れることはないだろう.
それに加えて当の本人も消えているはずの克己の過去を、超能力で見たので全て背負っている. つらい
...とはいえニーナは克己から「お前は忘れるな...何もかも.」とハーモニカを託されている. 克己の人間性の象徴であるハーモニカを受け継いだニーナ.
最後は"悪魔"として散ったエターナルだが彼女の中では「それだけじゃなかった」はず. (最後の場面より) ...つらい
・克己の母、マリアの苦しみ
マリアの心情はもうこの1枚に全て詰まってるっしょ....つら...,
つっっっっっっっっっっっら
克己を非人道的な実験に巻き込まなければならず,克己を蘇らせたことは自らのエゴではないか...?と罪悪感に苛まれるマリア. しかも段々と感情を失っていく息子を日々見続ける辛さ.....
・描写面における対比
後にヒートの女・ファイアーガールことヒートドーパントになる羽原レイカ. その人間時代の死がVシネマの冒頭で描かれるのだが これがまた辛い.
この時大道克己に救われ、克己を"私たちのヒーローよ..." と捉え (Vシネマのアイズドーパント撃破後すぐの発言)、neverの道を歩むこととなる.
しかしA to Zでは....
皮肉にも最期を克己の一撃で迎えることとなる. しかも克己の腕の中ではなく、翔太郎の腕の中で。
この時の克己へのショックを浮かべたレイカの顔は... Vシネマを見た後だと相当つらいものがある.
というかVシネマは後出しの補完ストーリーだから完全に狙ってるんだよねこのシーン...... つらい
・おわりに...
まずハーモニカは克己の人間性を象徴したものである、ということは強調していきたい. これを意識するとニーナの辛さ・そして克己の悲劇性が段違いになると思っている.
克己は自らの人間性を託したニーナを失い(と本人は思い絶望)、
ニーナは 既に克己の記憶の彼方にある、人間の頃の思い出・実験兵器としての記憶も全て引き継いでいるので... 「お前は忘れるな,何もかも.」の言葉の重みが胸に突き刺さる.
そしてそれ以外に何より言いたいのは「優しさのW」である.
Wは本編31&32話のエクストリーム初登場回で
「鳴海荘吉の遺志を受け継いだWは戦闘マシーンであってはならない、
君の優しさが必要だ、翔太郎...!
もしそれが弱さだとしても、僕は受け入れる」
というフィリップと翔太郎の会話があった.
これは"優しさのW"を象徴する出来事・発言・シーン・Wの作風のテーマであり,
そしてVシネマ・エターナルでも おやっさんから2人が受け継いだ"優しさのW"がいかんなく発揮されている.
街を破壊し尽くした"悪魔"である大道克己・エターナルへの弔い。
フィリップを騙し,利用し・風都を絶望の渦へと陥れたにもかかわらず、克己へ贈る、弔いの花.
もしも、どこかで運命が1つでも変わっていたら... 街を守るような男であっただろう... と嘆く翔太郎。
そしてA to Zで自らの母への愛情を利用されたフィリップも 大道克己はただの"悪魔"ではなかった... と知り、
客観的に街を破壊した克己の罪、という事実を見つめながらも 「だけどせめて...」と花を手向けている.
このシーン、 これぞ"優しさのW"だよ.... と思わず泣きかけちゃう
A to Zでエターナルを倒せたのも、それまでのWの優しさに救われた風都民の応援による奇跡の風だもんな...
生まれ故郷でありながらもガイアメモリへの恨みや失った人間性から街を破壊し尽くしてしまう克己。
壊された象徴であり・そして再建された風都タワーがそびえ立つ街へ向けて手向ける花.....
同じ風都の民だった、克己の墓標が風都そのものの象徴であるタワーだったのは運命だったのかもしれない.
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