ドライブとビルドとゼロワン
SF、良いですよね....
特に最近はAI関連の話題が流行りで,人工知能というかコンピューター・科学技術がもたらす危機を描いた作品は本当に色々あるし。。。
そして我らが仮面ライダー・ゼロワンもAIを主題にしているわけで.
ここでは人工知能・科学技術との付き合い方について数作のライダー作品を挙げて,
その違いを列挙し(適当)ゼロワン9話から見えた「仮面ライダーゼロワン」の主張を自分なりの解釈でまとめようと.
・仮面ライダードライブ
(筆者イチオシの仮面ライダー。全人類はドライブを見ろ)
ドライブはベルト型アンドロイドとして人格を移した変身ベルト・ベルトさんと共に
人間をコピーし悪事を働く機械生命体・ロイミュードと戦う物語なのだが ドライブの物語の真骨頂はロイミュードが単なる"悪"ではない、というところ. ハート様すこだ....
(以下ネタバレ)
「ロイミュードは人間の悪意をなぞっただけだ」(泊進ノ介・47話より) との言葉の通り, ロイミュードは"人間の悪"をコピーしただけ,ということに徐々に気付き始める主人公ら.
限りなく人間に近づいた存在になり始めているロイミュードとの共存の道を探ろうとしたものの,その願いは叶わなかった....。
「本当に悪いのは人の悪意だ」というセリフからも
ドライブの作風は"科学技術・AIは人間の良心次第で善にでもなり悪にもなりうる二面性を持つもの"として捉えていることが分かる.
実際ベルトさんは「この技術は人間にはまだ早かった」としてドライブシステムの封印措置を選んでます
そしてドライブの上手いところは機械生命体との光の側面として進ノ介&ベルトさんの絆を描き,
負の側面として悪意をコピーしてしまったロイミュードの悲劇を描いている点.
また"悪意に満ちた人間"として仁良や蛮野が人間の負の側面として描かれていたのも非常に構成が天才的。
良くも悪くも人間次第, そんな警告を発しつつも未来に希望を持たせるendだったドライブはやはり凄いぜ.....
ドライブってすごいのよ!!!!(夏葉)
・仮面ライダービルド
まだ記憶に新しい仮面ライダー、ビルド...はもう2年前か....
ビルドは特に機械生命体やAIについては特にテーマとして描かれてはいなかったとはいえ(内海から目を逸らし)
それでも特筆すべきあるテーマがあると思ってます。 それは桐生戦兎が「科学=善」と信じ抜いていること.
「ライダーシステムは兵器なんかじゃない。正義のためにあることを俺が証明してみせる」(17話より)
こんなことになっても戦兎は信じる。
「ハザードは止まらない」で暴走して青羽を殺めることになって心が折れかけても守るため・信じる正義のために戦う。そしてその信念を最後まで貫き科学の力ただ1本でフルフルラビタンを製作し暴走を乗り越える。
ジーニアスボトルの初回起動時に
・「皆を守る正義」と
・「科学の創り出す(ビルド!)明日・未来を信じること」
の2つが必要だったのもこういうビルドという作風の現れ..... どっちも人間の持つ可能性を信じてるからこそ, ってのが良いよね....。
ドライブは「科学=善にでも悪にでもなる善悪両用のもの」, ビルドは「科学=善」と信じたい。
ある意味ドライブはリモコンの持ち手次第で善にも悪にでもなるような鉄人28号型の科学観,とも言えるしビルドは鉄腕アトム型の科学観,とも言える気がする
エボルト関連や終盤のペースで色々言われることもあるビルドだけど、このビルドという作品は科学観についてとても丁寧に描かれていたので個人的にビルドは好きです。
・仮面ライダーゼロワン
ゼロワン。ゼロワンゼロワンゼロワンゼロワンゼロワン....
前々からAIを題材にした作品ですー!とアナウンスされてたものの、ずっと近未来におけるAIの活躍の具体例ばかりだったが9話は少し本筋が変わってる点があると思っていて,それは
「ヒューマギアがシンギュラリティを起こした時、善意が宿るか悪意が宿るか。」
(この発言は唯阿がイズに言った内容.)
善意/悪意って相当ふわフワっとした概念なので, ここでは勝手に人間本位に重きを置いて「人間をAI自らと同等かそれ以上に大切な存在として扱い、そのために行動できるか」って定義します
この定義に則るとDr.オミゴトはハッキングされながらも人知れず抗い人間のために手術を行なったので「善意」を持ってることになります.
そしてイズも(善意かは分からない...)という前置きはありつつも
「ただ、私は或人社長を...信じたい。たとえ会社に損害をもたらす事があったとしても。
これは善意でしょうか、悪意でしょうか」
って言ってました
他者を犠牲にしてでも或人守りたいってのは或人視点から見れば善意だけど, 他の人から見たら善じゃない場合もある.
「AIは何を守るか」ってのは実はかなり重要なことだと思っていて
・仮面ライダードライブの元ネタの1つの「ナイトライダー」でも"人間を第1に守るAI" /"AI自身を第1に守るAI"
の対立を描いた話があったり
・ケータイ捜査官7(最後におまけで後述) でも"人間を排除しようとするAI" と "守るためなら死んでも構わないと人間に味方するAI" の戦いを描いた話があったり
します.
ベルトさんも映画サプライズ・フューチャーで「暴走する位なら私を壊せ!」と自らの命より他者の安全を取ってるし
つまり「他者のために自己犠牲ができるか」って点が大きいのかな, と個人的に思ってます.
滅亡迅雷net.の2人はヒューマギア(アーク)のために、イズは或人のために (自己犠牲も厭わない)動いているので、これからどうなるか見ものです....
※2020 5/18追記
こんなこと書いてたの懐かしい.... 滅亡迅雷netは初めはアークに尽くすことがヒューマギアの為になるという風に自分は理解してましたがどうやら迅/滅でここは考えが違う様.
そしてDr.オミゴトのこの回は、近未来でヒューマギアの「お仕事」の活躍の具体例を示す一方それを撃破する話が続いていたゼロワンに善意/悪意という概念を初めて突っ込んだ最初の話でした.
公式でも( https://www.kamen-rider-official.com/summaries/9 )この話はわざわざ現役の医師に監修してもらってまで丁寧にAI×医療を描いた、と明言され ゼロワンの中でも屈指の出来の話だと自分も思っています. (しかも不破がヒューマギアに対する認識を改めるきっかけにもなった重要な話でした.)
それが総集編で割とあっさり, "このタイミングで不破の頭に亡チップが入れられた"と説明されてしまい (せっかくヒューマギアの善性の勝利を描いたのに後付けで実は結局ハックされてた...って説明付けるのはなんか勿体なくね.....?)となりました(:3_ヽ)_ プロジェクトサウザー勢は1か月前からほぼ知ってたみたいだけどね!
(いやまだオミゴト自身の仕業って100%確定した訳では無いけどさあ... ほぼ黒に近いでしょ...)
正直ゼロワン脚本はヒューマギアの扱いに困っているというか... 考えあぐねている感じがしますね... 今のところ暴走のリスクに対するリターンが不明瞭なまま或人がヒューマギアを全肯定しているイメージです. zaiaお仕事5番勝負も結局は視聴者の混乱を招いたのみで....
それ故なのか, ゼロワンはAI観がメインテーマなのではなくて夢にテーマを移した感があります. お前ら夢夢夢夢うるせえんだよ!!!!!!!!!(刃唯阿)
なのでここで近未来の科学技術&AIとの付き合い方でゼロワンを括りに入れたのは今となっては不適当かもしれないです(当時は知る余地もなかったとはいえ)
もうここまで来たらもうゼロワンは最終回でイイハナシダナーって或人×イズと笑ってる不破さん見れて手のひら返し出来たら良いやって感じです 頑張れ不破~~~~~~!!!
おまけ 龍騎とWは好きですか?
・ ケータイ捜査官7
(窪田正孝初主演。さらに ナイト/秋山蓮役でおなじみ松田悟志やライア/手塚の高野八誠、編集長の津田寛治、Wの若菜役の飛鳥凛などライダーキャストだらけなのでぜひぜひ見てくれ~~~~~~~~~ハリケンブルーでおなじみ長澤奈央もいるよ) あとCGが異次元。ほぼ本物。
機械生命体とタッグを組んで悪と戦う点がドライブと似ているのでここで記述。 (こっちのが先だけど)
普通の高校生・網島ケイタがAIを搭載した歩くガラケー,フォンブレイバー7(セブン)と共にネット犯罪に立ち向かうというストーリー。
終盤、(以下ネタバレ)
一般普及したAI搭載型ケータイが人格を持ち人間を不必要と判断・ケータイ,pc,TVを通じて監視社会を築き上げてしまうが、人間に味方するAI、フォンブレイバー達が命を掛けて対抗しこれを打開する。
何が凄いってこの作品を2008年に生み出したことなんすよ....まだスマホなんて一般家庭に知られてもいなかったこの時代に..... 先見の明があり過ぎる
AIが築いた監視社会が、人間を信じるAIによって壊され、"新時代の幕開け"と評したendは非常に強烈でした
AIの進化と人間のために消える彼らの自己犠牲が本当に辛すぎる......
また主人公のケイタは「どんなに優れた機械でも使う人間がダメならダメなんだよ!!」と叫んでいて, ここもドライブとの描写の類似点です