ソフトテニス イップス体験記
僕が中学の頃イップス(自称)のような状態になった時のことについて書いてみました。県大会以上の大会でも勝ち上がれる人にとってはあまり参考にならないかもしれないけれど、もし似たような症状で悩んでいる人がいたら良ければ参考にしてみてください。完治はできていません。
イップスになる前
僕は中学の頃ソフトテニス部に入っていました。ポジションは前衛で、ペアの人(Y君)は僕よりもたくさん努力していてテニスも僕より上手でした。そのため僕はいつもその人の足を引っ張っているんではないかという思いがありました。先輩たちが引退した直後の秋、冬の区大会では入賞はするものの1位になることができず、3年の春の区大会でも、3位に終わり、日頃の思いが募りY君の元から逃げ出してしまいました(逃げたといっても大会会場内)。その後初めてY君とちゃんと話し合ったことで次の日に行われたブロック大会(4つの区のベスト16達が集まる大会)で優勝することが出来ました。この日は最高の調子でプレイすることができ、ショットやロブも今までで一番うまく、終盤の試合では人生で初めてゾーンを実感することも出来ました。そのときは、ボールを目で追うとき常に輪郭がはっきりと見えていて、まるでボールが上から糸で釣るされていて背景だけが動いているような感覚で、相手が打ってくるコースが既に見えているような状態でした。最終的にその日は7試合ある内、合計で2ゲームだけしか落とさずに優勝することが出来、今でも人生で最高の瞬間の一つとなっています。
中学でのイップスの始まり
大会の次の日は休みでその次の日からまた普段の練習が始まりました。普段ボールを打つときは、コートの端の2本線の間を常に狙うことが出来ていたのに、この日は、ボールを打つときにドライブ回転が異常にかかりすぎてしまい、全てのボールがネットしてしまうか浮いてアウトするという状態でした。一時的に調子が悪くなることは今までもあったので、回転をかけすぎないように意識しながらボールを打つようにしていました。しかしこの不調はその後毎日続き治るどころか悪化し、夏の大会の頃にはセカンドレシーブでさえもうまく打ち返せなくなっていて今までに何度かあったスランプとは明らかに違う状態でした。最終的に大会では全てのレシーブをロブで誤魔化すようにしていました。何だかんだで区大会では優勝することができたものの、都大会の5日前に虫垂炎を発症して3日寝たきりになってしまい、最後の都大会は初戦敗退という結果でソフトテニス部を引退することになりました。
今思い返すとブロック大会の準決勝のあたりからレシーブを確実に入れに行くために、回転を少し多くかける打ち方をしてしまっていたのですが、その時の打ち方がずっと残ってしまっているのかなと感じます。
高校でのイップスとの闘い
中学のソフトテニスの引退があまりにも残念だったので高校でもソフトテニス部に入りました。約半年ぶりのテニスで、大きく時期が開くと一瞬だけイップスの症状が弱まりましたが、数分で元に戻ります。イップスになってからはボールを打つときのラケットの面が下を向いていたので、面が垂直になるように打つようにしていましたがうまく打つことはできませんでした。実はこの方法は大きな間違いで、イップスは症状を意識すればするほど悪化します。普段から素振りやコース打ち分けなど多くの学校のテニス部が行っているような練習の他に、ネットや本で調べた様々なイップス対策を行いました。しかし症状は悪化し、2年生の頃には、レシーブをするときに(特にセカンドレシーブで)、ラケットを持っている手首を保っていることが出来なくなりました。ボールの重量に手首が押し負ける感じでどんなに勢いの弱いボールでもネットを超えて返すことが出来なくなりました。練習のラケットを使った球出しもできなくなりました。打つ場面が来るたびにものすごい不快感を右手と脳に感じます。逆に勢いのあるファーストレシーブやベースラインでの打ち合いはぎりぎりできていました。この頃は自分の理想のフォームを意識して打っていましたがそれも良くなかったなと思います。
見えかけたイップス攻略
二年の冬頃、今までは常に右手を意識して練習を行ってきましたが、これが良くないということにようやく気付きました。そのためこれからは体の回転と重心移動だけを意識し、右手に関しては一切考えずに打つようにしました。回転に関して具体的には左手を勢いよく引くことで右手が前に来る体の機構を利用していました。さらにそこからもう一つ手首とは全く別の所に原因があるのではないかということに気づきました。それは足腰の筋力不足です。足腰の筋力が不足していることから手の力に頼らざるを得ないのではと思い、筋トレを行うようにしました。この二つを実践することで、少しだけボールが打てるようになってきました。さらに今まであった不快感もかなり小さかったです。
これはついに攻略法を見つけたのではと思った直後、コロナで学校は長期休業に入り、部活動も無くなり、僕の学年はそのまま引退となりました。正直に言うともうその頃の僕にとってソフトテニスは苦痛でしか無かったので終わって良かったと思う反面イップスを解決できなかった悔しさもありました。
最後にとりあえず伝えたいこと
もしもあなたがイップスぽいかもしれないと感じたらその症状自体を治そうとするのではなく、他の身体の動きで補うようにした方が良いと思います。
他には、テニス以外のスポーツでも同じラケット競技なら、きっとソフトテニスの経験も活かせると思うので、高校に上がる時に他のスポーツを始めるのもありなのかなと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。イップスのような症状を持つ人が一人でも多く克服できることを願っています。