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『つながるアイヌ考古学』

 近年、漫画『ゴールデンカムイ』の大ヒットもあり、アイヌ文化への親しみが高まっている――という書き出しの文章はしばしば見かけます。
 じゃあ読者はどれだけアイヌ文化を知ることができたのでしょうか。タマサイやニンカリの美しさはわかった。食文化も豊かだと把握できた。と、こんな答えは返せるでしょうけれども、漫画で触れる範囲はあくまで点と点です。劇中で扱われる歴史にせよ、明治の近代以降に限られてしまいます。

 これが和民族はアイヌ文化に馴染みきれない一因かもしれません。「日本史」というとき、それは和民族の歴史であって、縄文時代から始まります。考古学からスタートを切るわけです。
 ひるがえってアイヌはどうか。
 近代以降か。シャクシャインが出てくる江戸時代か。それ以前の、たとえば大河ドラマの『鎌倉殿の13人』や『光る君へ』のころのアイヌと言われてもなかなか想像しにくいのではありませんか。
 そんな断片的なアイヌ知識に触れて、より深く知りたい方におすすめしたいのが本書です。

考古学の成果をみても、単一民族だのなんだの言えるのか?

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689字
『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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