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【ア・デイ・オブ・カブキアクター】
これはあるカブキアクターを主人公に据えたニンジャスレイヤー二次創作『カブキスレイヤー』であり、本家や実在する諸々とは実際無関係です。
梨園の一角に鎮座する秘密ぴるす製造プラント。表向きはバンテリン工場とされているその地にて、大規模な脱走事故が発生した。これはコウライ・カブキコーポレーションの信用問題にも発展しかねぬ重大インシデントである。
コウライ・カブキコーポレーションのCEOたるカブキアクター、マツモト・コウシロはプラント内通路を駆ける。彼は己のカブキトレーニングすらも切り上げ、問題解決のために駆け付けた形だ。
原因は人的ミスか、あるいは敵対メガコーポの工作か。事態は秘密裏に収束可能か、公になるのならばセプク役員が必要か。コウシロは駆けながら考える。被害がぴるす保管エリアに留まり、生産プラント本体系列が無事なのはせめてもの救いか。
コウシロは高速ロッポー歩法で通路を駆け抜ける。突き当りの角を右折したその時、視界に遠方を進むぴるす集団を捉えた。
「未だ外へ至らずか。チョージョー!ここで滅ぶべし!イヨーッ!」
コウシロは瞬時に高速スプリントし跳躍!ぴるす群に鋭いトビゲリを放つ!
…だがそこにインターラプト者あり!「ケオーッ!」キックがカラテ相殺!「何奴!」着地後0コンマ5秒で振り返ったコウシロへ、ニンジャ装束を纏ったぴるすがアイサツする!「ドーモ、プロヴォケイターです」
「ドーモ、プロヴォケイター=サン。カブキニストです」コウシロがアイサツに応じ、その姿は一瞬のうちに白黒のカブキニンジャ装束へと変わった!
そう、彼らは共にニンジャなのだ!ニンジャの…ぴるすとカブキアクター!
「provocateur(扇動者)…なるほど全てがスイと繋がった。此度の事故はお前の仕業か」「我々はもはや虐げられる者に非ず!死せるムネンを受けよ!カブキニス…」
BLAM!会話を打ち切る様に黄金のモーゼル銃がマズルフラッシュを放つ!TELLING!額に風穴を開けたプロヴォケイターは脳漿を溢し死亡!
…死亡?確かに生命反応はない。だが…死体は爆発四散せぬ!ニンジャ存在感も未だ健在!
「ケオーッ!」突如!背後からカラテシャウトが響く!カブキニストは咄嗟にボーで防御する!「イヨーッ!」「チィーッ!」トビゲリを防がれたプロヴォケイターは反作用で跳ぶ!
「逃がさぬ!イヨーッ!」SLASH!カブキニストの振り向きざまのナギナタ斬撃がプロヴォケイターの頸を撥ねた!…首無し死体は爆発四散せぬ!
「ケオーッ!」再びの背後からの奇襲!「ヌゥーッ!」カブキニストはサスマタで防ぐ!今、確かに首を跳ねた。それ以前に銃撃で確かに脳を打ち抜いた。死体も存在する。…しかし未だプロヴォケイターは生きている!これはいかなるジツか!
「ケオケオーッ!」プロヴォケイターが超自然めいたシャウトを上げると、ぴるす群が一塊の生物めいて動き、カブキニストへ襲い掛かる!
「ケオーッ!」ぴるすが飛び掛かる!「イヨーッ!」カブキニストが腕を振るうと、ナギナタが一閃しぴるすの首を切断した!「ケオーッ!?」
「「ケオーッ!」」ぴるすが再度飛び掛かる!今度は二体!「イヨッイヨーッ!」カブキニストは二本目のナギナタを取り出し、ナギナタ二刀流で舞う!「「ケオーッ!?」」斬撃の嵐がぴるすをネギトロへと変えた!
「イヨッイヨッイヨッイヨッイヨッイヨッイヨッイヨーッ!」カブキニストが二本のナギナタを振るう!その傍らでは八つの武器が超自然めいて宙を舞い、ぴるすを殺す!これはカブキニストの十八番、カブキネシス!その姿はさながらベンケ・ニンジャ!「「「「ケオーッ!?」」」」ぴるす群鏖殺!
「チィーッ!これではジリー・プアー(徐々に不利)なんですけお!総員撤退!」プロヴォケイターが指令を下す!「ケオーッ!」波が引くようにぴるす群が逃亡を開始する!
カブキニストは逃がさぬ!「イヨーッ!」ウォーハンマーを投擲!「ケオーッ!?」プロヴォケイター頭部が粉砕!だが…爆発四散しない!
…その時。ニンジャ気配が頭部粉砕死体から消え…別のぴるすへと移った。「撤退ーッ!」ニンジャ気配ぴるすが叫ぶ。
「…これは!」カブキニストが唸る!「フドウノリウツリ・ジツ、フドウテンセイ・ジツの類か!厄介な!」だが、プロヴォケイターは遠くのぴるすに乗り移らず撤収中の近隣ぴるすに移った!これが指す意味は…!
「…遠くのぴるすには移れぬか!」
「それだけ分かれば十分!イヨォーッ!」カブキニストが鋭いカブキシャウトを放ち、地面を踏み締める!そして!地が抉れんばかりの勢いで駆ける!おお、皆さまの中にカブキに詳しい方がおられようか!これこそ暗黒カブキ奥義、トビ・ロッポである!「ケオオオオーッ!?」通路にいた脱走ぴるす達が全て轢殺される!「ケオアバーッ!?」その中には当然プロヴォケイターも!
「これでもう乗り移る相手もおるまい。ハイクを詠みたまえ、プロヴォケイター君」カブキニストはザンシンを決め、カイシャクの右腕を振り上げる。「ケオ……クンリケン…来世こそは…」「イヨォーッ!」カブキニストは右腕を振り下ろした。「サヨナラ!」プロヴォケイターは爆発四散した。
◆
ぴるすの死体の山を前に、カブキニストは耳を澄ます。ニンジャ聴力が近づくサイレン音を捉える。即ちタイムアップ。「リスクカットせねばならぬ」呟き、胸元から取り出した「壊」ボタンを押すと偽装バンテリン工場は自壊を始めた。
これでぴるす製造闇プラントの秘密は守られるであろう。カブキニストはIRC携帯端末を操作し、セプク役員選別を行いながらしめやかに退勤した。
【ア・デイ・オブ・カブキアクター】終わり
◆歌◆
カブキ名鑑#001
【カブキニスト】
コウライ社のCEOを務める高位カブキアクターのニンジャ。その鋭いカラテもさるものながら、強力かつ多種多様なコウライ・カブキを駆使して戦う。なお、マツモト・コウシロはカブキネームであり本名ではない。
◆舞◆
◆歌◆
カブキ名鑑#002
【サルファリック】
コウライ社に所属する高位カブキアクターのニンジャ。カブキネームはイチカワ・ソメゴロ。カブキニストの弟子であり、伝承されし伝統カブキと独創的な創作カブキ、そしてドク・ジツを使いこなす。カブキニストへのシュウメイ儀式をもくろんでいる。
◆舞◆
◆歌◆
カブキ名鑑#003
【マツモト・キンタロ】
非ニンジャ。コウライ・コーポレーション所属。カブキニストの孫であり、サルファリックの息子。ブッダ像を好むこと、自我矯正を行えること以外の詳細は不明。
◆舞◆
◆歌◆
カブキ名鑑#004
【プロヴォケイター】
ぴるすプラントに保管されていたぴるすにニンジャソウルが憑依した「ニンジャぴるす」。他人の自我に一時的に憑依するジツはぴるす間シナジーによって死後、他のぴるすに憑依・転生を行える特殊なジツとなる。
◆舞◆