「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」の感想
東京展最終日の前日、文字通り駆け込むように行ってきた。
桜が満開になる間際の土曜日で、上野公園は長く寒かった冬の終わりを待ちわびていた多くの人で賑わっていた。
会場になった東京都美術館も例外ではない。
当日券を求める長い列と、入場待ちの長い列と、完売のアナウンスの声が、いかに人気の展覧会であるか教えてくれる。
美術鑑賞の初心者の自分にはとてもわかりやすい、居心地のいい展覧会だった。
本展は、全5章からなる展示。
伝統への挑戦
パリと印象派の画家たち
国際的な広がり
アメリカの印象派
まだ見ぬ景色を求めて
19世紀にパリで印象派がどのように生まれて、アメリカやヨーロッパ、世界に広がったかを分かりやすい展示で教えてくれる。
パリなどのヨーロッパの絵画を横目にアメリカの印象派と聞くと、現代アメリカ特有のダイナミックさを想像していまい、どうも繊細さにかける感じを勝手に想像してしまう。失礼な話であるが、その思い込みを覆されるのが本展の醍醐味。
広大な土地をもつアメリカらしい田園風景は印象派ととても相性がいい。
ウスター美術館は、アメリカのマサチューセッツ州にある。
マサチューセッツ州といえばボストンが有名。東海岸の大西洋に面する都市で、後のアメリカ独立運動につながるボストン茶会事件という歴史的な出来事がおきている。
ボストンはもともとヨーロッパからの船舶の往来があり、欧州の文化が比較的入って来やすい風土にある。そういう背景から印象派は東海岸をつうじてアメリカにも広がったのだと思う。
とはいえ、印象派の表現を採り入れたが、「印象派」と呼ばれることを拒む作家のエピソードなどは、なんとなくイメージするアメリカ人ぽさも感じたり。
東京展は閉会したが、2024年4月20日時点で巡回展がおこなわれている。
夏には八王子展があり、再び都内に戻ってくる。
見そびれた都内近郊の人はお見逃しなく。